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酒:アルメニア産ブランデー、アララト20年ナイリ(お散歩100日目記念開封)

 昨年8月28日から通算※100日、1日25分3,000歩の運動(散歩とも言う)を達成したので、当初の目標通りブランデーを飲むぜ! 勝利の美酒に酔え。

(※ ”連続” 100日ではない。計131日中31日サボり、131日中100日できた)

 ハーイ、というワケで素浪汰 狩人です。久しぶりにお酒の話するね。あれついこの前したばかりだったかしら? まあいいや。何と言っても今日飲む酒は特別なんです。と言っても、当初の目標だったテセロンLot.№29みたく高嶺の花じゃないけれど、安いブランデーでも心は錦、とっておきだぞ!

 というわけで、ヤフオクで仕入れて来たるは6,000円のブランデー。そんな安値でまともな酒なのかだって? ちっちっち、侮ってもらっては困るよ。これは冷戦時代にチャーチルも好評を贈った(厳密にはメーカーが同じでも銘柄は違う)逸話を持つ、知る人ぞ知る銘酒『アルメニア・ブランデー』。

 今で懐かしい往年のニューメタル、システム・オブ・ア・ダウンの曲でもお馴染み、カフカース地方のアルメニア共和国、聖書のノアの箱舟の伝説に謳われた霊峰・アララト山(現トルコ領内。現トルコ領。大事なことなので二度言っておく)の名を頂く、その名も『アララト』というブランデー。

 ちなみに製造所は、エレバン・ブランデー・カンパニー。エレバンの名はアルメニア共和国の首都であり、ソ連崩壊から今日まで内戦と貧困に苦しむ同国でも指折りの産業、それも旧ソ連時代から続く由緒正しい輸出企業だ。

 ぶっちゃけアルメニアという国、私はSOADを聴いてた高校生の時代から思い入れのある国(なので、トルコとアゼルバイジャンにはまあ何というかその……あれだ、思う所はある)であり、アララトは前から欲しかった酒。

 因みにアルメニアという国、アルメニア人という人種は、説明し始めるとこの記事だけでは収まり切らないほど膨大な話になる。大筋ではユダヤ人と似たような物と理解していただきたい。古代は商業に強かったが、今でいうトルコ、第一次世界大戦時代のオスマントルコがアルメニアに行ったという組織的虐殺(当のトルコ側は組織的関与を否定しているが)は、アメリカのアルメニア人ニューメタルバンド『システム・オブ・ア・ダウン』も様々な歌で引用している。アルメニア、隣国のアゼルバイジャンとの係争地であるナゴルノ・カラバフ地方の紛争が近年再燃し、アゼルバイジャンに敗戦して現地人が追放されたのも記憶に新しい。なおアゼルバイジャンは親玉であるトルコと民族的に近しく、同紛争をトルコはバリバリ支援していた。そこで名を上げたのが、ウクライナ戦争の初期にも活躍したとされる高性能無人機バイラクタルTB2とされている。話が脱線したのでこの辺で打ち切るが。

ちなみにアルメニアの北にはジョージア(旧グルジア)があり、ジョージアの北にロシアがある。ジョージア領内には分断国家が2~3か国ぐらい転がっており、中々カオスなことになっている。ジョージアも美味しいワインを作る国なのだが、カフカース地方もバルカン半島に劣らぬ火薬庫。
ていうかジョージアも立派な紛争地帯なんだわ。
更に付け加えると、アルメニアの南西はトルコであるが、真南にある国は何とイランである……😱
Wikipedia『コーカサス地方』より引用

 ☝の地図中の『アルツァフ』って言うのが、確かアルメニア語で言う所のナゴルノ・カラバフ地方だったはず。色々とツッコミ所の多すぎる地図。

 ボサッとしてると撃ち殺されるような場所だが、酒は旨いぞ! トルコやアゼリーみたいなイスラム国家とは違い(トルコが世俗派と謳っているのは有名だが、エルドアン政権になりイスラム主義に回帰しつつあるらしいけどどうなんですかね?)、由緒正しきキリスト国家のアルメニアならば堂々と酒が造れるし、飲める! そして北のジョージアと並び、この地はブドウと醸造のメッカ(※イスラム的表現だが)とでも言うべき土地柄でもある。

 旧ソ連のロシア貴族たちが、この地でブランデーを造らせたわけだ。

 熟成年数によって値段はまちまちなのだが、手頃な20年物・ナイリならば新品で12,000円前後。フランスの名の知れたコニャック、ポールジローとかラニョーサボランの20~25年物とタメ張れるぐらい値段するのだが、ここでヤフオク闇市に良い出物。出品価格は何と6,000円! これは買いでしょ!

 即決価格は無かったけど(上がるな……上がるな……)無事、底値で落札。

 まあ99%勝利は確信してましたけどね。ぶっちゃけ日本じゃアルメニアのブランデーは人気も知名度も無いことなど百も承知だったからな! しかもスタイリッシュな新ボトルじゃない、旧ソ連感満載なクラシックデザインの旧ボトル! これが地味に嬉しい! これが欲しかったんだよこれが!

 難しい能書きが色々と書いてあるが、ともかく。大事なのは結局味だ。

 メイド・イン・アルメニア。こんな酒でも買わなきゃ、日本に居る限りは殆ど縁がないであろう国の製品。どこかの情報で、純粋なブランデーでない事は予め知っていたが、実際そうであるか飲んで確かめよう。どれ……。

 うむ、ストレートでもスイスイいけるな(※真似しないでください)。

 匂いはネットリ甘め。つっても黒糖というかプルーンというかレーズンと言うべきか、フルーティな感じで嫌味は無い。カラメルっぽいね。この味は何かに似てるんだよなァと思ったがあれだ、デーツ(ナツメヤシの実)だ。

Wikipedia『Date Palm』より引用。乾燥デーツ。噛むとグジュッと潰れて、黒糖みたいな癖のある甘さが口一杯にジュワーッと広がる。グリコのキャラメルばりに栄養価の高い食べ物だ。

 何、デーツを知らない? 食べたことが無い!? それは勿体ない、是非一度食べてみて欲しい。どっちかっつーとデーツはキリスト教圏というよりイスラム圏に馴染み深い食べ物であるが、国の立地を考えれば当たらずとも遠からずといったところか。デーツ由来の甘味料を添加しているというのも強ち的外れな推測とも言えんだろ。ともかく、ドライフルーツが好きな人はデーツを試してみて欲しいね。私は値段が下がれば常食したいぐらいだ。

 話があっちゃこっちゃ飛ぶが、フランスのコニャックを正統派とするなら確かにこれは邪道寄りの味かも知れない。私は一口目、マルスブランデーの『宝剣16年』(※現在は製造中止。熟成年数の長い30年物が出回っているが価格は55,000円と高すぎて手が出ない!)の味が記憶を過ったが、あの酒はブランデーにも関わらず、カスクストレングス58度のクレイジーな際物!

 あれと比べると、20年物で加水40度のアララトは大分マイルドで飲み易い酒ではある。単純にアルコール度数を下げているだけでなく、この癖のある風味は添加物の影響も感じられる。確かワインも混ぜられているとか……。

 興味深い味だ。オススメか否かと言われると、割とアリ寄りのアリ。

 でもこれ6,000円で買ったから割安感は大分あるけど、12,000円で買ったらうーん、まぁ納得は、できるのかな? アララトにも宝剣のように30年物があるのだが、お値段178,000円(2024年1月時点)! 値段上がり過ぎだろ!

 やっぱ20年物のコスパは超えられんすわ。

 因みに、チャーチルがスターリンから贈られたという『ドゥヴィン』なる銘柄も現行版が存在し、Amazonでも並行輸入品が13,660円(時期同上)で売られている。人柱になりたい奇異な酒好きは試してみて欲しい。

 実は旧ソ連圏で言うと、モルドバもブランデー(これもドゥヴィンという通称。普遍的な呼び方なのか?)を作っているのが、こちらも機会があれば試してみたいな。長くて10年と、熟成年数が短いのが心配だけれど……。

 ブランデーは他にも南アフリカのKWVや、中国のKOYA/可雅など興味をそそられるメーカーが色々あるんだな。全く肝臓が休まる暇が無いな!


(※飲酒は適量が大事です。アルコール耐性は個々人で異なるので、健康を損なわない程度に適量を楽しみましょう。飲酒は二十歳から)


 そして、今一つ入手を試みている酒が……手に入ったら報告します。

 乞うご期待。

 おしまい!

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