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カラテVS示現流 ダンス・ウィズ・モーテル・ラブサバイバー(アウトサイド・モノクローム/4話 NGシーン集)

【元記事】

今回の記事は、上記後半のシークエンス(22)(23)の第2稿版です。
投稿版は、諸項目を再設計して1から書き直した第3稿版となっています。
第1稿版はラフ過ぎてアレなので、今後も公開することはないでしょう。

4話を未読の方には、一応ネタバレ注意とお伝えしておきます。シリーズを未読の方が、このアウトテイク戦闘シーンだけを読んで楽しむことは充分に可能な質は担保しておりますが、連載読者の方は充分注意してください。

注意事項は以上です。添削が面倒臭いので、記事は戦闘を含むシークエンス全部を掲載をしますが、戦闘シーンが終わった後の部分は諸般の事情により有料とさせていただきます。どうせしょうもないモノローグとかですので。

念のために断っておきますが、当記事は本編とは一切関係がありません。


【シーン開始】


6月。憂鬱な長雨が続いて心まで湿気りそうなある夜、決意が姿を現した。

「御免ください」

戸口を開いて彼女と対面した恭仁は先ず、美しい人だな、と思った。

「倉山さん、のお家ですよね?」

すらりとした身体をシックな黒のパンツスーツに包み、黒髪を後ろで一つにまとめた飾り気のない髪形。薄化粧の素肌に淡いルージュを引き、唇左下の艶黒子と右の糸目の泣き黒子が蠱惑的な、女狐じみて年齢不詳で妖艶な女。

「私、竜ヶ島中央署捜査一課の海老原朱璃と申します」

女はそう名乗り、しかし警察手帳をひけらかすことは無く、神秘的な笑みを湛えて恭仁と対面した。海老原は左手にハンドバッグを携え、バッグの口に右手を隠していた。恭仁は意味深なバッグを見て、海老原に視線を戻す。

「利義さん、いらっしゃいますか?」

肉感的な唇が蠢いて、恭仁は息を呑む。自分の美しさを熟知する者の所作で自然と心を開いてしまいそうな危うさがあった。本能では逆らえない魅力を感じつつ、女性への恐怖が魅了をも上回り、恭仁は海老原を警戒した。


「いえ。お義父様はまだ、帰ってきておりません」
「嘘」
「エッ!?」
「あの人はいつもならこのぐらいの時間には帰ってくるはずだもの」
「そう仰られましても、戻って来てないものはどうしようもないのですが」
「私あの人のこと何もかも知ってる。今更なかったことにするなんて」

海老原は無造作にバッグを落とし、右手に握る警察用の38口径リボルバーの引き金に指をかけ、恭仁の顔面に狙った。甘い香水の匂いが漂ってきた。

「……そんなの許さない」

恭仁は息を呑んで両手を挙げ、慎重に後退る。海老原は狂気をまとう笑みで拳銃を突きつけ、玄関に歩み入った。恭仁は顔を海老原に向けつつ、咄嗟に武器を探して視線を動かす。棚の把手に金属製の靴ベラ。届くだろうか。

海老原の動きが早かった。恭仁は一瞬反応が遅れて、額へと振り下ろされた拳銃のグリップをまともに食らい、流血する。恭仁は徒手を構えて抗おうと試みるが、海老原の双腕が鞭のように撓り、恭仁を瞬く間に叩きのめした。

「武器を探そうと思ったところまでは良いけど、長いこと視線を逸らしたら隙だらけになるよ。構えだけは一丁前だけど、喧嘩慣れしてないね、キミ」

土間にへたり込む恭仁へと、海老原が屈みこんで糸目を細め、拳銃の銃口で遊ぶように額を小突き、色気を振り撒く微笑みで唇をペロリと舐め、諭す。

「言わせておけばッ!」

恭仁が腹に力を込めて起き上がろうとした瞬間、拳銃のグリップが再び額に叩きつけられて音を立て、鋭い痛みと共に閉ざした瞼の裏に星が飛んだ。

「邪魔したら殺す」

海老原は糸目を見開き、残忍な獄吏じみて低い声で告げ、崩れ落ちた恭仁の顔をドクターマーチンの革靴で踏み躙る。苦痛に呻く恭仁に満足げな笑みを浮かべると、廊下に土足で上がり込み、扉を片っ端から開けて中を調べた。

「海老原朱璃でーす。利義さーん、いらっしゃいますかー?」

なるようにしかならないな。恭仁は泥だらけの顔を手で拭うと、腹を括って立ち上がり、キッチンに戻った。夕飯の支度の続きがあるからだ。物々しい足音が屋敷の隅々まで行っては戻り、キッチンに続く扉が跳ね開けられる。

「キミ、よくこんな状況で呑気に夕食の準備とかできるね」

海老原は呆れたように笑い、恭仁の後頭部に拳銃の銃口を押し当てる。

「死なない限りは、お腹が空きますから」

肩越しに振り返って応えた恭仁に、海老原は微笑んで発砲した。野菜を刻む恭仁の真横、アルミ鍋が銃弾で貫かれ、湯がこぼれてコンロの火が消える。

「キミ、面白いね」

海老原が恭仁を背後から抱きしめて、ゾクリとする声で囁く。右手で恭仁の顎に銃口をねじ込み、左手で包丁を掴み、台所横の勝手口に投げ捨てた。

「じゃあ、キミのお名前を聞かせてもらえるかな?」
「恭仁。倉山恭仁です」

甘い香水の匂いに脳髄が痺れる感覚を覚え、耳元に吐息がかかる。海老原の滑らかな指に羽箒じみて優しく顔を撫で回され、恭仁は総毛立って答えた。

「恭仁クンって言うんだ。キミの新しいお母さんから、お願いがあるんだ」
「お母様か。これで3人目だな」
「うん?」

海老原は左手の親指で恭仁の唇を弄びつつ、恭仁の呟きに引っ掛かりを覚え不思議そうに唸ったが、やがて考えるのに飽きると左手を引っ込める。

「じゃあ、恭仁クン。お父さんに電話できるかな?」

海老原は左手で、恭仁の眼前に彼のスマホを差し出した。

「どうして貴方が電話なさらないんですか」
「私の電話、出てくれないんだもん。お母さん嫌われちゃったのかな?」

海老原は困ったように笑い、恭仁のこめかみを拳銃の銃口で小突く。恭仁は溜め息がちに、左手で海老原の手からスマホを受け取り、電話を操作した。

「……出ませんね」
「出るまでかけなさい」
「もしかすると、家からの電話なら出るかも」

海老原は少し考えるように喉を唸らせ、恭仁の首根を掴んで引きずった。

「恭仁クン。妙なこと考えたら、お母さん痛いことするからね」

痛いじゃすまないだろうと心中ツッコミつつ、恭仁はアンティーク電話機の受話器を上げると、震える手でダイヤルを手繰った。海老原は恭仁の背中にべったりと貼りつき、リボルバーの銃口を顎にねじ込み、何なら少しばかり引き金を引いてすらいた。恭仁は生きた心地がせずに受話器を握り、電話の呼び出し音が鳴り続けるのを聞く。藁にも縋る思いで電話を鳴らし続ける。

「俺だ。今忙しくて手が離せないんだが。何か急用か」
「と、利義さん……お義父様」
「どうした、改まって。もしかして、母さんから電話があったか」
「いえ、お義母様ではなく」
「新しいお母様ですよ」

海老原が恭仁に頬を寄せ、ねっとりとした声で割り込む。利義が彼女の声を聞いた瞬間、電話の向こうで露骨に息を呑んだ。恭仁もまた固唾を呑む。

「海老原朱璃さん、という方が、今家にいらっしゃっております」
「家には絶対に来るなと言ったはずだ。全く……」

利義は呆れ果てたように溜め息をこぼした。疲弊が伝わるように、長く。

「いいか恭仁、よく聞け。これは父さんの問題だ。何が起ころうとお前には関係ない。詮索するのも許さん。俺は今日家に戻らない。そう彼女に伝えてお引き取り願え。家にまで乗り込むなど呆れたヤツだ。もう切るぞ」
「ちょっとお義父様!? そんなこと言――」

恭仁の反論を待たず、利義は無情に通話を切った。海老原は油断なく拳銃を恭仁の側頭部に突きつけ、彼の答えを待った。恭仁は身を震わせ、受話器が手から零れ落ちる。固唾を呑み、ガチガチと歯を噛み鳴らして振り返った。

「お義父様は……家に戻らないと……」

海老原は恭仁の答えに、糸目を細めてニコリと笑って拳銃を振りかざす。

「使えないガキ」

リボルバーが弾かれ、電話機に着弾して破片が飛び、煙を吹いた。海老原は双腕を撓らせて、笑みを浮かべて恭仁をボコボコに殴りつけ、蹴り転がすと電話機に歩み寄って持ち上げ、床に叩きつけてから滅茶苦茶に踏み壊す。

「前のお母さんが居たら、殺そうかなって思ってたけど。まあ居ないものは仕方ないよね。お父さんが居ないのも仕方ない。代わりに恭仁クンがいる」

海老原は靴底で恭仁の顔を再び踏み躙り、襟首を掴み起こして微笑んだ。

「じゃあ、恭仁クン。お母さんとちょっとドライブしよっか?」

恭仁は海老原に引っ立てられ、土間に突き飛ばされる。海老原は握りしめたリボルバーのシリンダーを開き、楽しそうに微笑みつつ残弾を確認した。

「靴は履いてくれるかな。お母さんの愛車に裸足で乗ってほしくないから」

恭仁は銃口を突きつけて命じられ、使い古しの運動靴に手を伸ばした。

「そんなのじゃなくて。もっと綺麗な靴がいいな。折角のお出かけだもん」

恭仁は肩を落とし、叔父の善吉に買ってもらったサンダースのスエード靴を海老原に示し、彼女が頷いて了承が出ると足を通した。考えようによってはこれが最後の死に装束ならぬ、死に靴となり得るわけであって、余所行きの綺麗な靴を履くのは寧ろ的を射ていると言えた。恭仁には予感があった。

海老原は銃口で恭仁を促して先に行かせると、玄関に放り捨てていた自分のバンドバッグを拾い上げて肩に預け、陰鬱な雨の降る屋外へと歩み出た。

屋敷の前に停まった深紅のクーペ、インフィニティQ60の助手席へと恭仁は押し込まれ、海老原が運転席に乗って3リッターV6ツインターボエンジンの凶悪な排気音を轟かせた。車が屋敷を出て、雨打つ竜ヶ島の街を駆け出す。

カーステレオに流れるアデルの『ローリング・イン・ザ・ディープ』の歌に合わせて、海老原は流暢な英語で歌う。宵の街を走る車のフロントガラスに雨が叩きつけ、人工の明かりが滲んで宝石のように煌めいた。恭仁は無言で赤革のスポーツシートにもたれ、行く先も知らぬドライブに身を任せる。

竜ヶ島市街地から1ケタ国道を北上して郊外に抜け、山道を川沿いに遡って鄙びた3ケタ国道へと曲がる。道路沿いの人家はまばらとなり、森林地帯が道の両脇に広がる。通行車両は姿を減らし、深紅のクーペは陰鬱な雨の降る山道でぐんぐんと車速を上げる。道の傾斜が次第に増し、峠道に入った。

道路脇に立つ、朽ちかけた鉄の看板。それが見えるより早く、海老原は車のウィンカーを上げていた。ラブホテルの看板を横目に国道脇の山中へ向かう細道に乗り入れ、車は急激に速度を落として、草の生い茂る道を進んだ。

ドライブの終着点は、荒れ果てたラブホテルの廃墟だった。海老原は拳銃を恭仁に向けて降りるよう促し、自らも車を降りてトランクから大きな荷物を持ち出した。振り返る恭仁の目に、大きな革のボストンバッグが目に入る。

「さあ、行きましょう」

海老原はバッグを肩にかけ、胸ポケットに差した強力なL型ライトを点けて闇を照らすと、恭仁を先に歩かせて廃ホテルに侵入する。周囲に立ち込める森と土と黴と廃材の臭いが混ざった不快な空気に、恭仁が咳き込んだ。

「ここは心霊スポットで有名。悪ガキとかカップルとかが、肝試しに来ては足を取られたり、床を踏み抜いたりして怪我してるの。攫ってきた女の子を集団でレイプしたり、自殺死体が発見されたりしたのも1度や2度じゃない」

海老原は恭仁に説明しつつ、1部屋ずつライトで照らして状態を確認した。

「僕たちも、肝試しに来たってことですか」
「肝試しねぇ。恭仁クンが楽しんでくれると、お母さんすっごく嬉しいな」

海老原は1つの部屋の前で足を止めた。比較的に損壊が少なく、床には埃が積もっているが、踏み抜いてしまうほど老朽化してはなさそうだった。

「……うん、ここがいい。ここにしようか」

海老原は入口から室内を隅まで照らして見定め、遊園地のアトラクションを決めるように楽しげな口調で、恭仁の頭を銃口で小突いて入るよう促す。

「さてと。恭仁クン、お母さんと少し遊びましょうか」
「遊ぶですって?」
「そう」

海老原はボストンバッグを床に放り、ジッパーを開いて電子式のランタンを取り出した。明かりをつけると、荒れ果てた部屋に舞い踊る埃の1つ1つまでつぶさに分かった。海老原はテーブルにランタンを置くと、首を鳴らした。

「ここは泣いても叫んでも誰も助けに来られない、山奥の廃墟。逃げようと思っても簡単にはいかない。ここに居るのは私と貴方の2人だけ。お互いが戦って、片方を暴力で叩きのめしたら、勝った方が負けた方を好きなように出来るってこと。簡単な話だよね。貴方に最後のチャンスをあげるわ」
「要するに……いつも通りってことか」

恭仁は双眸を窄め、海老原から後退ると拳を握った。柔道も空手も合気道も稽古を辞めて1年以上経つし、そもそも徒手格闘には全く自信がない。

「私が勝ったら、貴方のこと好きにするわ。可愛がりたいけど、勢い余って殺しちゃうかも知れない。もし貴方が勝てたら、私のこと煮るなり焼くなり犯すなり殺すなり好きにすればいい。でも恭仁クン弱いから、難しいかな」
「僕はただ、いつも通り家に帰って晩御飯を食べたいだけですよ!」
「出来れば私もそこに居たいのだけど、いけないかな?」
「どうやらそれは、僕が決められることではなさそうです!」
「そうだよね。お母さんも分かってるよ。これはお父さんへの当てつけ」

海老原は拳銃を上着のポケットに突っ込むと、上着を脱いで床に放った。

「銃は使わないのはハンデね。いきなり死んじゃったら楽しくないから!」

海老原は摺り足で恭仁に近づき、革靴で鋭いローキックを放った。空手だが恭仁の習った流派と違う。何より恐ろしく早い! 恭仁はボディーへ浴びて痛みに呻く。恭仁は柔術の構えで手足を取ろうとしたが、海老原はすかさず近づき恭仁の顔面に1発2発3発と拳撃! 恭仁が投げを放とうと襟を掴むも海老原がの方が早く組みつき、膝蹴りを連続で叩き込まれ、恭仁はたまらず腰砕けとなり尻から崩れ落ちる! 仰向けの恭仁をローキックの雨が打つ!

「遅い遅い遅い! 少しは根性見せたらどうなの、男の子でしょ!」

このままでは意識が飛ぶ。顔面への打撃を両腕で庇う恭仁が、周囲を見渡し武器を探した。壁際に角材。届くだろうか。海老原の強烈な蹴りで、恭仁は身体をくの字に折って激しく苦悶! 壁際に身を捩り、角材を掴み取った!

「クソッ!」

恭仁が腹に力を籠め、身を起こしざま振り上げた角材に、海老原がすかさず反応してクロス腕のガード! 恭仁は相手を殺すかも知れないという心配を一旦脇に置き、海老原に歩み寄りつつ右肩左肩と示現流の剣撃を打ち込む!

「エェーィ! エェーィ! エェーィ! エェーィ! エェーィ!」

海老原は顔を庇って後退しつつ、恭仁の猛打を浴びる! 壁に追い込まれた彼女の前で、恭仁は残心から蜻蛉を取ると、渾身の一撃を叩き込む! 腕のガードを外れて首根に角材が当たるも、朽ちた角材が圧し折れた! 打撃の入りが僅かに浅く、致命傷には程遠い! 腕の隙間から海老原が笑った!

「ちょっと、武器を使うなんて反則! 男らしくないんじゃないかな!」
「貴方は銃を捨てましたが、僕が武器を使わないとは言ってません!」
「もう棒っきれは折れちゃって、使い物にならないよ。どうする!?」

海老原がぬるりと近寄り、顔面に正拳突き! 予期していた恭仁は後退してダメージを減らす。バックステップで打撃そのものを躱さぬ理由は、彼女の正拳の右腕に自分の左腕を絡め、背後に回り込むため! 関節を極める!

「しまった――」
「エェーィ! エェーィ! エェーィ!」

恭仁は海老原の片手を封じて背後に回り込むと、右手に持った折れた角材で海老原の心臓目がけ何度も突き上げる! 示現流、小太刀! 武器の長さが短くなったからと言って、剣術としての攻撃力が削がれるわけではない!

「トゥアーッ!」

海老原は噎せ返りつつも恭仁の足を鋭く踏みつけ、胸への打撃が緩むや否や右手を握り、親指の一本貫手を突き出し恭仁の右こめかみを抉る! 恭仁の頭に火を噴きそうな激痛が走り、たたらを踏んで壁に後退った! 海老原は瞬時に振り向き、顔面への手刀からローキック! 恭仁が歯を食いしばる!

「エェーィッ!」

中断蹴りをもろに食らい、腹筋を引き締めて歯を食いしばりつつ右手一本で小太刀振り下ろし! 海老原の側頭部で角材が炸裂! 黒髪が何本か散って折れた角材が更に折れ、完全に使用不能に! 海老原が手刀足刀を連打!

「トゥアーッ! トゥアーッ! トゥアーッ!」

恭仁は拳大になった角材を手放し、顔面を両手でガードして後退するも壁に追い詰められ、ボコボコにされて今度こそノックアウト、崩れ落ちた。

「ヤバ。楽勝かと思ってけど、意外にもいい勝負するから驚いた。棒切れで胸を突かれた時は、さすがに死ぬかと思っちゃった。恭仁クン、殺す気?」

海老原はシャツの前ボタンを乱雑に外し、その下に着けていた防弾ベストを露わにすると、片手でパタパタと仰いで暑気を払った。恭仁が床に転がってその姿を見上げ、小太刀で刺し殺せなかったカラクリを理解して苦笑した。

「ケボッ……防弾チョッキとか……勝てるわけないだろ」
「大人は汚いんだよ。勝てる戦いしかやらないんだ」

海老原は勝ち誇って言うと、恭仁の顔面を靴底で踏みつけにした。それから彼女はシャツの両袖を脱いで腰から垂らし、防弾チョッキを脱ぎ捨て素肌と濃紺のブラジャーを露わにした。恭仁を部屋の片隅の寝台まで引きずる。

「さーてと、じゃあお母さんが勝ったから、恭仁クンで遊んじゃおっかな」

【戦闘シーンここまで 以降 大人の時間】


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