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心を燃やせ!真冬USJとメルカリ無限検索編(投稿企画)


2021年冬、キーンと冷たい空気が張り詰めるUSJに僕たちはいた。

期間限定の「鬼滅の刃 XRライド」では、"300分待ち”の電子表示が煌々と光を放っている。
煉獄さん等身大フィギュアの前には、興奮やまぬ子供たちと厚い防寒着に身を包んだ親たちが列を作っている。

鬼滅の刃の世界を模した「藤の花の食事処」で蒼の御膳を平らげた妻は、牛鍋焼きカレーセットを夕飯に食べるのだとスマホのメニューとにらめっこしながら意気込んでいる。

遠くから聞こえる無限列車の音楽、重厚な汽車の音。
テーマパークに疎かった僕を、その世界は力強く引き込んだ。



妻が鬼滅の刃にはまったのは2021年の夏。
旅行先のホテルで、たまたまつけたテレビでアニメが放映されていたのだ。

当時の妻はアニメに関心がなかった。
アニメは子供が見るものという理解だった妻にとって、少年が刀で異形の者を切り倒していく様は強烈だったようだ。

最初は顔を引きつらせていたが、徐々にその世界に引き込まれていった。

帰路、旅の余韻はそっちのけで、僕たちは画面越しに炭治郎の旅立ちを追い始めることになる。



USJ旅行では、パーク近場のホテルに宿泊した。

夜食を求めて近くのコンビニへ買い出しへ。
そこで見かけたのが鬼滅の刃ウエハースチョコだった。妻が大好きな煉獄さんのカードが当たるかもしれないそうだ。

妻は気になっているものがあるとき、それを横目にその周りをぐるぐる歩く習性がある。

「これ買ってみる?」と声をかけると、
「買う!!」と即答。
やはり買いたかったらしい。

ホテルに帰り、ワクワクしながら開けてみると、出てきたのはピンク色の禰󠄀豆子のカード。
わぁ!、と喜ぶ妻。
だがやはり狙っていたのは煉獄さんだったようで、明日も買おうとなったのだった。

USJは二泊三日で遊びつくした。
二日目の夜、妻はまたコンビニでウエハースチョコを真剣に選んでいた。
どうしても煉獄さんのキラキラカードが欲しいらしい。

ここは大人の特権、まとめ買いを発動。5つ買った。
これなら煉獄さんが出るだろう、と自信ありげな妻。

しかし、出ない。
最終日の朝も追加で買ってみたが、出ない。

「大丈夫!ワクワクして楽しかった!」
そう言った妻は笑顔を見せたが、裏には小さな悲しみが隠れていることはすぐに分かった。


帰宅後、僕はメルカリでこっそり煉獄さんのカードを探した。
「・・あるわけないか。」

当時大人気だった鬼滅の刃 無限列車編。
みなが欲しがるレアカードがそうそうメルカリに出回っているはずがなかった。

でも、諦められなかった。

メルカリで「検索条件を保存」。
最大頻度の日に2回では足りないので、30分に一度チェックした。

続けること2日。ついにその時は訪れる。
出品リストに凛々しく佇む煉獄さんのお姿が!!

「あった!!!!(速攻ポチッ!!)」

購入後、僕がどんなにこのカードを待ち望んでいたことか、出品者へ熱いメッセージを送ってしまった。
こちらの熱量に驚いていた様子だったが、奥様は絶対喜びますね、と温かいメッセージが返ってきた。

こうして僕の”無限検索編”は幕を下ろしたのだった。


数日後、丁寧な包装の小箱が届いた。

カードにしては大ぶりすぎる。間違った商品が届いたか?、と一瞬悪い予感が頭をよぎったが、開封したらそれは喜びに変わった。

カードのほかに、煉獄さんのグッズ(キャラクターストラップ)が同梱されていたのだ!
よく見ると小さな紙片も入っている。

購入いただきありがとうございます。
アプリでの熱いメッセージ、少しびっくりしましたが、奥様のために一生懸命な旦那様は素敵だなと思いました。
おまけでストラップもお付けします。気に入って頂けると嬉しいです。

こっそりコンビニでウエハースチョコを追加購入し、カードを当てたふりをしようと思ったが、メルカリで起こったこの素敵なエピソードは妻に伝えられずにはいられなかった。



ニュースではその夜は冬一番の冷え込みだった。
キーンと凍てつく空気が張り詰めた静かな夜の街。底が見えない真っ黒な空から、今にも大粒の雪がこぼれ落ちてきそうだ。

街の一角の部屋には橙色の光。
ゆったりと旅行の思い出に浸る僕たちの身体は芯からぽかぽかしていて、冬の真ん中にいることを忘れていたのだった。


#メルカリで見つけたもの


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