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このテープもってないですか 考察&感想

いやー!つまらなかったね!

「放送禁止」と「意味深系テキストホラー」の上澄みだけ集めた感じ。

考察

キーワードとしては「もうすぐだから大丈夫」、「赤子」、「暗いところ」、「向かう先」といったところか。

赤子

異変を生じさせている。
庇護の対象。

支離滅裂な発言をしている人々

日常の「死角」・「窓の外」をみることで、これまでとは違う世界を認識した。

全世界が「そっちの世界」になる時が「もうすぐ」、と言っているのかは不明だが、赤子を安心させようとしているように見える。

想定される大枠

我々が生きている日常とは別の世界がある。

暗いところ(死)と明るいところ(生)の死角ということは、「生と死の狭間のあいまいな空間」を指しているのかもしれない。

投稿者はすでに別の世界を認識しており、「ミッドナイト」の出演者は投稿動画を通じて認識し始めている。

いとうせいこうら「このテープ」の出演者ならびに「このテープ」の視聴者(我々)も、「ミッドナイト」のVHS映像を通して巻き込まれてしまっている。

そして、我々も「もうすぐ大丈夫」になる。

ここがつまらない

冒頭で書いた通り、「考察系ホラー」、「視聴者巻き込み型ホラー」の上澄みだけ組み合わせた感じだ。

一番よくないところは、「具体的なオブジェクト」を出してしまったところ。

曖昧な内容・少しの違和感で恐怖を感じさせるところが醍醐味なのに、

  • 赤ちゃんの泣き声

  • 赤ちゃんの顔など(画面を明るくすると見える)

  • 窓から流れる血など

  • パプリカのパクリみたいな会話(長すぎる)

など、物理的なビビらせを取り入れている。ひよったのか?

坂谷一郎の末路

第三夜には「坂谷一郎へインタビュー」と称して、病院で寝ている坂谷一郎が映される。

ここで、番組当時の年齢を若めに見積もって35歳と仮定しよう。

放送は1985年なので、2022年までに37年経過している。

つまり、坂谷一郎は「このテープ」の放送時に72歳なのである。

普通に病気で入院していてもおかしくない年齢だし、呪われたにしては長寿ではないだろうか。

つまらない「言語崩壊」

特に「狂いを演出するための会話」は「高学歴芸人が考えた、本人だけが面白いと思っているコント」または「痛い大学生のイキった会話」でしかない。

「ミッドナイト」内では支離滅裂な会話のように描いているが、いとうせいこう達は単語に一貫した意味を持たせて議論が成り立っている。

これは我々視聴者に具体性を持った恐怖を植え付けるための仕掛けだと思うが、どっちつかずの印象を与えてしまうため失敗ではないだろうか。

あと、東京タワーの前の女性だけ「いきなりキレる」という別軸なので適当感が否めない。

大失敗の「仕込み」

参加型ホラーとして制作されたのは明確だが、ネット辞書へのリテラシーのない仕込みによって台無しになってしまっていることも残念でしかない。

「考察系ホラー」から「投げっぱなし雰囲気ホラー」に格下げになってしまっている。

現実とリンクしたホラーを作るなら「SIREN」を見習えとまでは言わないが、テレビ局のクオリティとしてはお粗末すぎたのではないか。

投げやりな「投稿動画」

投稿動画についても疑問がある。

投稿動画は白黒で、著しく画質が悪いものや、顔が不鮮明なものも多い。

誰がどのように投稿した(設定)かは知らないが、「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」が放送された1985年はハンディカムが発売された年でもある。

テレビ映像がカラーであるのと同様、一般人もカラー録画をできる機械を持っている時代だ。

投稿者が「坂谷さん、聞いてください」と発言している以上、「時代を超えた呪いの映像が送られている」という可能性は低い。

投稿者によって画質(品質)が異なるのは、「それっぽい動画を複数流したら怖いだろう」という雑な考えを感じざるを得ない。

結論

軸がぶれすぎたことが、このつまらなさの原因だろう。

「考察」によせるならもっと曖昧にするべきだったし、「呪いの映像系」にするならもっと具体を出さなければならなかった。

中途半端な曖昧さと現実へのリンクが結果として「誰にもささらない創作ホラーもどき」になってしまった。

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