神童は輝き、木村王位は二度負ける。だがしかし…

王位戦第2局 木村王位-藤井七段の将棋をabemaTVでみていました。
どうにも熱が冷めやらないので、感想というか、ボヤキの駄文になります。

本局の99%が「木村ツエー!!」でできていた…

はじめにいいますが、自分は木村王位に防衛してほしい人間です。藤井さんも大ファンではありますが、この度はさすがの藤井さんも負けていいじゃないかと祈る者です。最年少タイトルは棋聖戦でとればいいじゃないしょうか?

という自分からみて今回の敗戦はなかなかに痛いものでした。
私見ですが、今回の将棋は対局の全体を評価すると「藤井ツエー!!」ではなく「木村ツエー!!」の時間が99%だったかと思います(断言)。事実、終局直後の藤井さんのインタビューでも真っ先に反省の弁があったように、木村王位に序・中盤に力で上に行かれていた意識が藤井さんにもあったと思います。終盤も木村王位の方が最後までAIの示す最善手を連発していて▲4二銀と打った辺りは勝ちになったのかと思いました(実際AI評価値は優勢)しかしその後はさすがの藤井七段。▽5三香、▽4六銀、▽2六角など寄り付きのはいはずの先手玉に対していつのまにか反撃の砲台を配置しつつ、結局ソフトの評価で一瞬緩手となった▲4二歩と打った一瞬の隙を逃さず体を入れ替えて藤井さんが差し切ったという将棋でした。(そこからの正確さもまた異常なのですが)結果を見れば天才が1%を引き寄せてそのまま二度と手放さないという「藤井ツエー!!」の結果になってしまいましたが、私がいいたいのは、実態はそうではないギリギリの戦いだったということです。

私が印象に残ったのは感想戦。

感想戦の中で、最終盤に▲5六香が攻防手で実は木村王位に最後勝ちがあったのではないかという話になりました。木村王位は「そうか、残ってましたか」という趣旨のことを確かめるように呟いていました。しかしそのあと藤井さんがボソリボソリとつぶやいて披露した手順はその幻の勝ち筋すらぶっ潰すものでした。それはと金で玉を左辺に追ってく詰め手順の途中でもう一度、玉をバックして元の位置に戻りそのことで「連続王手の千日手の禁止」という将棋のマイナールールによって詰めを逃れるというなんともカッコいい&盲点を突く非凡な手順でした。それにより、やっぱり木村王位の勝ちはないということを示すものでした。(このあたりは局後の郷田さんの解説が詳しくあったのでありがたかったです)そのあと木村王位が放心したように「そうか、それじゃ負けですか、負けですか…」と何度もつぶやいていたのがとても印象に残りました。これは将棋界で言われる、対局で負かされて、感想戦の読み筋でも上回れてもう一度負かされるという事の典型例かと思います。このシーンを生放送でみるのは胸が痛いものがありました。特にそういうギリギリの受けの手は木村王位こそが得意とするところであり、感想戦とはいえ、その部分においても藤井さんが読みで上回っていたという現実も厳しいところです。そういう意味でタイトル戦の通算成績でも二敗目ですが、本局だけで木村王位は二度負かされたように私には映りました。この時ばかりは「藤井ツエー…」と唸るしかありませんでした。

だがしかし…

木村王位の座右の銘は「百折不撓」(幾度失敗しても志をまげないこと。)木村王位の座右の銘は「百折不撓」(大事なことなので2回言う!)
たかだか2回や3回の負けで折れたりはしないはずです。(これがいいたかたった!)
藤井さんも木村王位の強さを本局で存分に知ったかと思いますし、木村王位はここから昨年のように力を尽くしてくれることは間違いありません。
本局での木村王位の発言として「対局中常にプレッシャーを感じていた」というものがありました。しかしこの先残りの番勝負であきらめずに折れることなく差し続ける木村王位がいたとしたら、次にプレッシャーを感じるのは藤井さんのほうかもしれません。(去年の対豊島さんのように)

いずれにしてもますます目の離せないシリーズとなりました。
次局以降も熱戦と待望の勝利を期待します!

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