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不幸中の幸い/HLA

僕が再発と聞いても動揺しなかったのには一つの理由があったんだ。

美月(娘)の急性リンパ性白血病細胞ににおいて
再発した場合、次の治療法は骨髄移植になるのだけど、
そこにはドナー確保と言う壁がある。
そのドナーが美月には担保されていたから。

遡る事、3年前、
当時僕は、小児がんや血液がんの知識や情報の拠り所として、ルークトーク(白血病談話室)と言う名のメーリングリスト)に参加していた。
僕はそこで知り合ったHLA研究所のN先生の元で、既に家族4人のHLAを調べていた。
そして、美月の唯一の兄妹、正弘が完全一致と言う結果を得ていたんだ。
仮にもし再発したとしても、ウチにはおおにい兄ちゃんがいる。
移植の道は開けている。
そんな幸運をつかんでいた。

ただ、今にして思えば、それは本当に愚かな思い違いで、
妻のように、単純に
白血病を憎み、絶望し、哀しみ、涙し、、
それが親である、自分のあるべきだ姿だ。

なのに、当時の僕は
「来るなら来い!」と勝手に気負っていた。

いつの間にか僕は、娘の闘病に、自らの存在意義をおいていたんだ。

〜HLA〜
とは、ヒト白血球型抗原と言われる自己と非自己を識別する抗原の型の事。
普通、血液の型と言うと、A.B.O.ABの四っつを思い浮かべるが、移植医療ではHLAが一致しないと拒絶がおきる。
血液型の4種類は、両親からの遺伝したものの組み合わせで、実際には、A=AA/AO,B=BB/BO,O=OOそしてAB,の6種。
HLAの場合、血液型のA.B.O.にあたる型をハプロタイプと呼ぶ。このハプロタイプは、一般的に4座(箇所)の遺伝子情報の組み合わせで、4座それぞれに数種類の抗原が存在する。
なので、血液型と比べると途方もない数の種類(数万通り)が存在することになる。
*骨髄バンクの必要性はこの為
誰しもが両親由来の二つのハプロタイプを持っており、子供にはそのどちらかが受け継がれる。(遺伝時の減数分裂)つまり遺伝子は父親由来のものと母親由来のものとの組み合わせなので、その子供は2×2=4通りの組み合わせができる。
つまり、HLAは
親子であっても完全一致することはきわめて稀で、兄妹間であっても完全一致は1/4の確率なのだ。



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