どこまでをわたしのものだと言ってもいいの(20191208_したため#7『擬娩』)
人間には生物学的にオスとメスの二種類があって、メスにはできてオスには何をどうしてもできない唯一の行為が「妊娠」と「出産」だ。けれど世界のいたるところ同時多発的に消えたり起こったりを繰り返して歴史を繋いできた人間のそのまた一部に、「擬娩」という行為を行うコミュニティ、部族、集団、がある。妻の出産に合わせ、夫が「出産」を擬態する。実際に床に伏せって仮想の陣痛に呻いてみたりして、妻の出産の苦しみを分かち合う、いや引き受けようとする。
そういう習俗が、世界をひっくり返してばらばら落ち