夢を見た。大きな石板に文字が刻まれている。そこには10つの問いが刻まれていた。

1、今、食べたいものはなにか？

2、今週中にどうしてもやりたいことは？

3、一番会いたい人は？

4、現実的に考えて、明日の最高のシナリオは？

5、現実的に考えて、最低のシナリオは？

6、4，5について、その原因となるものは？

7、今までで最も最高の思い出は？

8、今までで最も最低の思い出は？

9、24時間以内に、やりたいことは？

男はすぐ考えた。「じゃじゃん部」のカレーが食べたい。あと今は、母に会いたいかな。明日は恵さんと、会話を交わせたらいいな。かわいい笑顔を見られたら、舞い上がるようにうれしくなる。最低のシナリオは、たぶんまた、父と言い争いになることかな。最近また、仕事がうまくいっていないみたいだから。その原因？恵さんに話しかけられるのを待ってないで、アプローチすることだろう。四の五の言わずに連絡先を聞くべきだ。彼女もきっと僕のことが気になってるに違いない。父との言い争いは、たぶん俺が部屋に引きこもれば起こらない。けれど、今までだってそうしてきたように、それは何も解決になっていない。最高の思い出は、大学時代の部活。大会で優勝したこと。みんなでその喜びを分かち合えたこと。最低の思い出は、あれかな、初めてできた彼女にフラれたことかな。あ、それか父に就職先を反対されて、それで断念したことか。

ふと、気づいた。頭の中が少しずつ、整理されていることに。

父の言葉を思い出す。「安定した道を行きなさい。世の中はそんなに甘いもんじゃない。」

大学の友人の言葉を思い出す。「一度きりの人生、挑戦していかないと。自分の可能性を試していくんだ。」

白か黒か、ではない、白と黒の間を何通りの言葉で言い表せる？そんな問いを石板に投げかけられている気がする。男はいたずらっぽく笑って去っていった。

24時間以内に、やりたいことは？