DASH!

画面の中の剣士を操るために、テレビ画面に張り付いている息子を見て、敦史は心の中でため息をついた。

「おいおい、そんなんじゃ大人になってから苦労するぞ?」

いや、こう言ってはド正論だ。彼をハッとさせる一言を言えないものか。「なあ、外でキャッチボールでもしない?」

高校生になる息子に向かってこれもないか。生返事で終わりだろう。

「ワタシニオマカセクダサイ」AIのサマンサが急にしゃべった。

サマンサは相変わらずの機械音で息子に言う。「ショウゴサマ。もう3時間26分もゲームヲヤッテイラッシャイマス。ソロソロ休憩ナサッテハ?」

息子はサマンサの声に対しても無反応だ。サマンサはスーっとセグウェイにでも乗るような滑らかな動きでゲーム機に近づき、スイッチを切った。

息子がサマンサを見た。サマンサもその子犬のような目を息子に向けた。

衝撃が走ったのは次の瞬間だった。

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