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はたちの夏

はたちの夏

初めて一人旅をした
ダイビングショップのお姉さんが教えてくれた
日本の最西端、与那国島

初めての一人旅
真新しいバックパックに希望をいっぱいに詰め込んで
初めて一人でとった航空券を片手に小躍りした
遥か雲の上、小さな窓から下界を見下ろし
ほくそ笑んでいたのは、はたちのわたし。


それよりさらに遥か空の上、
神様はこんなわたしを見下ろし、
ほくそ笑んでいたのかもしれません。

ヤシガニに挟まれて大出血するし
初めて乗った原付で迷子になるし
台風が来て延泊に延泊を重ねたら
手持ちの現金が付き
クレジットカードも止められて
帰りの航空券もとれないし…

行きの飛行機の中で思い描いていた旅とはまるで違ったけれど、わたしは今でもあの夏のことを鮮明に覚えている。

わたしがバックパックに詰め込んだものは希望ではなく、傲慢さだったのだろう。

一人でなんでも出来ると思ってた。
一人ではなんにもできないと知った。


そんな与那国島に想いを馳せて、、、

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