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2023年3月まで大学院でスポーツバイオメカニクスを学んでいました。 相撲の指導法とス…

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2023年3月まで大学院でスポーツバイオメカニクスを学んでいました。 相撲の指導法とスポーツバイオメカニクスの方法論を中心に執筆を行っていきたいと思います。 連絡先:sm2bmch@gmail.com

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自己紹介・活動方針 はじめに(相撲編) はじめに(スポーツバイメカ編) 相撲指導理論関係 スポーツバイオメカニクスの基礎理論構築を目指して

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        • 私の幻の博士論文 第9回 スポーツ技術の目的論的意味解釈のための基本枠組みの検討その1

          前回 1. はじめに 今回から次々回までの全3回では、スポーツ技術の目的論的意味解釈を行うための基本的思考枠組みとはどのようなものであるべきかということを検討していきたいと思います。提案される枠組みの基本的なコンセプトは単純なもので、「ある技術を使用する(あるふるまいをする)ことによって望ましい出来事/状態が生じるという効果があるとき、その技術/ふるまいには、その望ましい出来事/状態を発生させるという目的論的意味がある」というものです。 前回、因果関係の定義について考えた

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        • 私の幻の博士論文 第9回 スポーツ技術の目的論的意味解釈のための基本枠組みの検討その1

          私の幻の博士論文 第8回 条件間の比較と紐づけられた因果関係の枠組みとその難点

          前回 1. はじめに 前回は、IAA(Induced acceleration analysis)による機能分析をスポーツ技術の目的論的意味を解釈するための分析ツールとして使用することができるかということを検討しました。この点についての私の見解は、そのようなアイデアは上手く行かない(場合がある)というものでした。 このアイデアが上手く行かないと考えられる理由は、IAAによって主に可能なことは、ある瞬間に身体に作用した力のその瞬間において発生する因果的効果を表現するというこ

          私の幻の博士論文 第8回 条件間の比較と紐づけられた因果関係の枠組みとその難点

          私の幻の博士論文 第7回 IAA(運動方程式)から目的論的解釈を導くことは可能か?

          前回 1. はじめに:IAAによって個別筋が発揮した力(トルク)の機能が分かる? 前回はIAAと呼ばれる解析手法を用いて、運動中の時々刻々において全身に作用・発生する関節トルクや重力、角速度が、並進加速度や角加速度、関節力の発生に対してどの程度貢献しているかを定量的に評価する際の基本的考え方を紹介しました。 第1回および第2回では、スポーツ技術の目的論的意味を解釈するということに関心を向けていました。実は、IAAを用いて「個別の筋が発揮した力(によって発生するトルク)が運

          私の幻の博士論文 第7回 IAA(運動方程式)から目的論的解釈を導くことは可能か?

          私の幻の博士論文 第6回 IAA―関節トルクの関節力への貢献の定量―

          前回 1. はじめに 前回は、垂直跳びのパフォーマンス(跳躍高)に対して、動作開始から離地までの間の時々刻々において身体各所に作用する上下方向の並進力(関節力と重力)がどの程度貢献しているのかを定量的に比較・評価する際の考え方について紹介しました。他方で、前回紹介した内容だけだと、ある種の不満点が残ってしまうということも、最後に少しお話ししました。 まずは、「残ってしまう不満点」とは一体何なのかということについて確認していきたいと思います。それは、「関節力や重力のパフォー

          私の幻の博士論文 第6回 IAA―関節トルクの関節力への貢献の定量―

          私の幻の博士論文 第5回 力のパフォーマンスへの貢献を定量するという発想-垂直跳び跳躍高を例として-

          前回 1. はじめに 前回および前々回では、ある身体の動きを計測し、その情報を基にして、その動きがどのような全身の筋による力(トルク)発揮によって実現されているのかを推定するという作業の概略を紹介しました。そうして得られた解析データと力学についての基本的知識を組み合わせることで、個別の身体セグメントに対して時々刻々に作用した力が、最終的なパフォーマンスにどの程度の貢献をしているのかを定量的に比較・評価が可能になりそうな場合があります。今回は、どのようなロジックに基づいてそう

          私の幻の博士論文 第5回 力のパフォーマンスへの貢献を定量するという発想-垂直跳び跳躍高を例として-

          相撲基礎練習法 第4回 四股その1

          前回 1. はじめに:四股を踏むことの意味は何か? 今回からは、計5回の予定で四股を中心にしたお話をしたいと思います。初回である今回は、股割の時と同じように、四股というトレーニング法が何を目的としたものであるかということについて整理することから始めたいと思います。 四股を踏むということに相撲の上達との関係でどのような意味があるのかということを理解しておくことはとても重要なことです。なぜなら、そのような認識を持っておくことで、具体的にどのような四股を踏めるようになることを目

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          相撲基礎練習法 第4回 四股その1

          私の幻の博士論文 第4回 身体の動きを記述する方法:逆動力学的アプローチによる関節トルクの推定

          前回 1. はじめに 前回は、モーションキャプチャ―によって取得される、全身に貼りつけられたマーカーの位置情報を基にして、分析対象とする全撮影フレームにおける、重心やセグメント同士の連結点(関節中心)の位置、重心の速度・加速度、セグメントの姿勢角とそれを微分していくことで得られるセグメントの角速度・角加速度などを算出するという作業について、その概略を紹介しました。今回は、これらのうち、加速度、角加速度、関節位置についての情報を用いて、全身の各セグメントに作用している力(並進

          私の幻の博士論文 第4回 身体の動きを記述する方法:逆動力学的アプローチによる関節トルクの推定

          相撲基礎練習法 第3回 股割その3

          前回 1. はじめに 開脚姿勢から上半身を前に倒し、胸やお腹をべったりと地面につけられるようになるためには、 ①固いとスムーズな前傾動作の妨げになる部位の柔軟性を高めること ②正しい前傾動作の仕方を習得すること という二つの要素が重要になるということをお話ししてきました。前回は、①と関係する練習方法について紹介したので、今回は②と関係する練習方法について紹介したいと思います。  開脚姿勢から、相撲の鍛練法という観点から意味のある前傾動作ができるようになるためには、

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          相撲基礎練習法 第3回 股割その3

          私の幻の博士論文 第3回 身体の動きを記述する方法:モーションキャプチャ―から全身の加速度算出まで

          前回 1. はじめに 前回まで、バイオメカニクス的動作解析研究における標準的(基本的)研究手法とは、動作を記録し、そこから全身の筋が発揮している力を推定するというものであるということについて、ところどころで言及してきました。しかし、その実態については特に紹介することなく話を進めてきました。スポーツバイオメカニクスについて専門的に学んでいる方々にとってはそれでも問題ないかもしれませんが、それ以外の読者の方々にとっては、今後の議論を円滑に進める上でも、このあたりで一旦、私が標準

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          相撲基礎練習法 第2回 股割その2

          前回 1. はじめに 前回も少しお話したことの確認になりますが、股割(開脚姿勢から胸やお腹を地面につけること)ができるようになるために必要な要素としては、主に以下の二つがあると私は考えています。 ①固いとスムーズな前傾動作の妨げになる部位の柔軟性を確保すること ②骨盤(股関節)から前傾する動きを習得すること 今回は、①の点について、普段どのような取り組みをしているか紹介したいと思います。  股割が苦手な人は、内腿(うちもも)の筋肉が固いからだと思っている人が多いので

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          相撲基礎練習法 第2回 股割その2

          私の幻の博士論文 第2回 因果的説明と目的論的説明を区別する必要性

          前回 1. はじめに 前回は、スポーツバイオメカニクスにおいて、分析対象としたい技術や動き、行動に対して目的論的解釈(説明)を行うための枠組みを整備するという課題を提示しました。そして、この問題に取り組むべき理由として、目的論的視点からの解釈や説明が、スポーツについての日常的な論評としては頻繁に行われているにもかかわらず、スポーツバイオメカニクスにおける学問的分析の次元においては、そういった解釈や説明をどのように取り扱えば良いのかがはっきりしていないということを指摘しました

          私の幻の博士論文 第2回 因果的説明と目的論的説明を区別する必要性

          相撲基礎練習法 第1回 股割その1

          1. はじめに 今回から三回にわたって股割についてお話します。股割は苦手な人も多いと思いますが、相撲を取る上では、出来ていることが望ましいものです。 昔は、人が後ろから無理やり押すようなやり方もあったようですが、もう少し無理なく少しずつできるようになっていくためのアプローチについて紹介できればと思います。 また、開脚することはできていても、もう少し細かなポイントを抑えていないと、相撲の練習法としてはあまり意味がなくなってしまう場合があります。このあたりについても、どのよ

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          相撲基礎練習法 第1回 股割その1

          私の幻の博士論文 第1回 私がスポーツバイオメカニクスを勉強し始めた頃に抱いていた問題意識

          1. はじめに 私がこれまで中心的に考えてきたのは、スポーツバイオメカニクスにおいて、得られたデータを目的論的に解釈するためには、どのような考え方をする必要があるのかという問題です。「目的論的に解釈する」とはどういうことなのだろうと思われた方も多いのではないか思います。差し当たり、「後続局面における事情との関係によって、先行局面における行動を説明したり評価したりすること」程度の意味で捉えておいてください。 今回は、このような問題意識がどのような背景から出てきたのかについて

          私の幻の博士論文 第1回 私がスポーツバイオメカニクスを勉強し始めた頃に抱いていた問題意識