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【妄想好き集合➁】架空の小説の冒頭から妄想してみてください!


輪廻転生という言葉がある。これはいわゆる生まれ変わりだ。同じ魂が違う形となって生死を繰り返す様を表す。もしこれが本当に起こっているのだとしたら、残念ながら、私たちの記憶は前の記憶がリセットされた上で今の人生が始まっていることになる。ただ、不思議なことにリセットされないまま人生が始まってしまうケースもあるそうだ。そうなった場合、リセットされなかった人はどのような行動をとるのだろうか。

大学2年生の僕は大学の講義を終え、学内のコンビニへ向かっていた。毎度のことながら、一緒にご飯を食べる友達はおらず、コンビニでご飯を購入した後、小さな広場のベンチで昼食をとっている。

大学入学後はそれほど孤独ではなかった。
同じ高校の友達はいたし、サークルの仲間も数人いた。昼食をとるときは友達を誘って、中身のない会話をしながら、ご飯を食べていた。高校まで勉強ばかりしていた僕にとってはこの上ない自由なキャンパスライフで、とても気持ちの良いものであった。
ある日のこと、なんとなく一人でご飯を食べたくなった僕は、広場のベンチでコンビニ弁当を食べていた。たまにはこんな日もいいなと思いながら、ぼーっとしていると、白猫が僕の足元にやってきた。真っ白な毛に、小さな顔、細い足。とてもかわいらしい猫だった。元々猫が好きで、よくペットショップに行っていたくらいだが、この猫はなによりも目が大ききかった。真ん丸な目でずっと見ていたので、思わず僕は持っていたパンを一口あげた。すると満足そうにパンを食べて、顔を一度こちらに向けて、その場を去っていった。なんとも穏やかな気持ちになった。友達と話しながらご飯を食べているのも良かったが、この穏やかな気持ちには勝てなかったようで、それからしょっちゅうベンチに向かっては、白猫に会っていた。
やがて僕には友達がいなくなったが、それに気づかないほど、僕は彼女のことを好きになっていた。最初はパンをあげているだけの関係であったが、次第にベンチに座らせて、話を聞いてもらったり、なでなでしたりと、関係を深めていった。シロとベタな名前をつけるまでに至った。テストの結果が悪かった時も、人と喧嘩をした時も、相談相手(一方的ではあるが)になってくれたりした。とてもその存在がありがたかった。

今日もご飯を食べながら、色々と話をしていた。「さっきこんな授業受けたよ~」「今日の占い一位だったよ~」とか。友達と話す内容とさほど変わらないが、相手は絶対にシロが良かった。静かに話を聞いてくれて、時々鳴いてくれる。それくらいが僕は良かった。

そんなこんなで月日は流れ、大学3年生の冬、いつものように大学へ向かっていた。今日は実験があるようで、白衣を入れているので、リュックがパンパンだ。「そもそも実験が苦手な上に、こんな重い荷物まで背負って学校に行くなんて信じられん。」そんな感情が渦巻いているなか、僕は知らぬ間に、リュックにつけていた大切なお守りを落としてしまった。

実験が終わりへとへとになっていた僕は帰り道、お守りがないことに気がついた。酷く焦っていたところにシロがやってきた。この時間はいつもシロはここにいないはず。なんでここにいるんだろう。なにかあったのかな?
「シロ、どうしたの?」
と声をかけたが、真ん丸な瞳でこちらを見つめるばかり。暫くすると、反対側を向いて車道の方へ走り出した。車道には自動車が高速で行きかっている。
「シロ、戻っておいで、あぶないよー」
そんな声を無視するように、シロは車道へ一直線に走っていった。
「あぶない!とまって!」

シロは亡くなった。車と衝突したときに激しく体を打ち、ほぼ即死だったそうだ。後で分かったことだが、シロが向かった先には僕の落としたお守りがあったようだ。僕はそれを知らされた後、悔し涙が止まらなかった。なぜ、どうして、気が付かなかったのだろう。気が付いていれば、、、。後悔が僕の心を押しつぶした。それを境に僕は大学に一切顔を出さなくなった。

※この先は読者の妄想におまかせします!


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