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【胞状奇胎-全経過まとめ】流産〜侵入奇胎の治療まで/HCG推移など

もうすぐ3歳になる子をもつフルタイムワーママです。夫は海外赴任中の為、子供と二人で生活しています。
秋頃を目標に、11年働いた会社を退職し帯同予定でしたが、第二子妊娠を機にとても珍しい疾患になり諸々保留中です。

胞状奇胎ってなんぞや...?

自分が診断を受けるまでは、胞状奇胎という言葉は一切耳にしたことがありませんでした。

この病気、発生頻度は非常に稀ですが、健康な男女の妊娠にあたり誰しもに起こりうる可能性があります。

昔はブドウっ子🍇と呼ばれていたそうです。

お腹に宿った赤ちゃんの種が、ブクブクっと泡のように消えてしまい、流産後も残された細胞が体内で異常増殖してしまう。。 

そんな感じの病気です。

ただ妊娠を望んだだけなのに、
その後の避妊期間が伸びてしまったり、
進行すれば癌の前駆体の扱いとなり抗がん剤治療をせざるを得ません。

それでも完治できず絨毛癌になってしまう方もいます。

私はこの診断を受けてから、情報収集や理解にとても苦労しました。

専門誌や学会抄録以外で一般の人が得られる情報が少ない病気なので、同じように苦しまれている方の為になればと思い、心の整理のためにも少しずつ書き留めて行くことにしました。

参考になれば幸いです。

はじめの経緯

2020年  第一子出産 @街の産婦人科

2023年春 第二子妊娠 @同上
6週目 胎嚢確認(影2つ。片方血腫疑い)
8週目 心拍確認
9週目 心拍停止で稽留流産(この時点で、胎嚢は1つ。その周りにブツブツの影あり)

  →翌日に子宮内容物除去手術を実施

流産手術直前の最後のエコー。前回より小さくなった赤ちゃんと、その周りにある胞状奇胎様のブツブツ。

<初回の流産手術以降の流れ>

①部分胞状奇胎が発覚(流産手術から6日後)

街の産婦人科に再診。流産手術で摘出した組織の病理検査の結果は【部分胞状奇胎】。
すぐに大学病院を受診するようにと紹介を受ける。

胞状奇胎とはいわゆる異常妊娠のひとつ。
【部分〜】は受精段階で一つの卵子に精子が2つ入ってしまうことにより3倍体と呼ばれる69本の染色体となる。胎児は途中まで形成されるが成長・出産することは100%無い。
その他、胎盤のみが作られてしまう全胞状奇胎、正常な胎児と全奇胎の合併例の胎児共存全奇胎の3種類がある。

(胞状奇胎とはなんぞやについては、記事の最後にわかりやすいリンクを引用しています。)

②大学病院にて全身麻酔で再手術(初回手術から10日後)

診断書をもって即日受診。まだ胎盤らしき組織が結構残っておりHCGも高値の為、最短の手術日にて予約。この時のHCGは63304.5。

2泊3日の入院で、胞状奇胎を出来るだけ根こそぎ取り切る手術を受けた。
全身麻酔で時間は40分程度。すやすや寝ている間に終わり、術後の痛みもほとんど無し。

3週間後の受診予約を入れて翌日には退院。

胞状奇胎は、通常このように2回の子宮内容物摘出手術を受けた後、定期的に血液検査でHCGを追いながら侵入奇胎に移行しないよう経過観察をする。

※侵入奇胎:胞状奇胎の組織が子宮の筋肉の中などに侵入してしまった状態。血行性転移が早く、高い確率で肺などにも転移する。 全胞状奇胎の10~20%、部分胞状奇胎の0.5~4%に侵入奇胎が発生するとされているらしい。尚、胎児合併全奇胎ではさらに高い頻度で移行する。

③経過観察受診(2度目の手術から3週間後)

HCG:63304.5→7458.4(下降が遅め)
病理の再検査の結果、
部分胞状奇胎から【胎児合併全奇胎】に診断変更

先日の流産は正常な胎児側の流産であり、全胞状奇胎との合併であったことが判明。

元から育つことの出来ない受精卵だと思って流産への心の整理がついていたが、正常な胎児がいたことにショックを受ける。

また、胎児合併全奇胎は格段に侵入奇胎への移行リスクが高くなる。
文献により様々ではあるが、3〜5割が移行すると言われているらしい。(→私も後に移行)

※胎児合併全奇胎(complete hydatidiform mole coexistent with a fetus;CHMCF)
全胞状奇胎と正常妊娠の言うなればコラボで、2〜10万回の妊娠に1症例しかないかなり稀なケース。

④膣の入口に異物を発見(診察日の夜)

術後3週目、保育園帰りに子供を抱き上げて階段を登ると突然お股に違和感。

恐る恐る手鏡で確認すると、どこに潜んでいたのか"この世のものとは思えない、人差し指ほどの赤紫がかった謎のきの子様の球体"が膣口からコンニチワしていた🍄(別投稿にてイラスト掲載)

⑤大量出血で救急搬送(2度目の手術から3週と4日後)

🍄発見から4日後の深夜、次の診察を待たずして突然500mlを余裕で超える性器の大出血で人生初の救急車を呼ぶ(痛みはゼロ)

→🍄付近からの出血と見られ、既出の大学病院にて応急処置で膣に4連ガーゼをパンパンに詰め込まれ止血。しまいには尿管カテーテルの刑に処され、どちらかというとそれらへのショックで放心状態のまま即入院。

Hbは6程度(基準下限値11.0)となり輸血案件になるも断固拒否して耐え抜く。

ちなみに、尿管カテーテルは挿入時がかなり痛く、その後24時間はずっと膀胱炎みたいな痛みで一日中心が死んでいたが、2日目から痛みも無くなりむしろトイレに行かなくていい楽々機能と化していた。

(キノコ体験談詳細はコチラ)

⑥【侵入奇胎】及び肺・膣への血行性転移の疑い(流産から約1ヶ月後)

入院時検査の結果、HCGがこの1週間で微増し8000を超えていた。

造影CT、造影MRI、レントゲン等諸々の検査をした結果、侵入奇胎及び肺&膣への血行性転移の疑いあり。

悩む間もなく翌日からメソトレキセートでの抗がん剤治療開始。

💉HCGの経過と抗がん剤治療内容

【治療内容】
❶剤目
💉メソトレキセート(MTX)筋肉注射
→5日間投薬・9日間休薬の計14日間で1クール
(代表的な副作用は口内炎無限ループ

【HCG】
初診察時:63604.5
2回目除去後:7458.4
膣、肺転移後:8743.1
MTX1クール終了時:2460.6
MTX2クール開始時:699.7
MTX2クール終了後:271
MTX3クール開始時:334 (微増...)
MTX3クール終了時:654 (完全増えてる)
MTX3クール休薬期:122.7(減ったー!)
MTX3クール休薬最終日:43.6(2桁へ‼︎)
副作用でさらに1週間の休薬延長:96(増👻)

→薬剤変更:ACTD(コスメゲン)

ACTD1クール開始時:96
ACTD1クール休薬中:23
ACTD2クール開始時:6.8  ☜イマココ
ACTD2クール休薬中:0.5未満
ACTD3クール開始時:1.2未満(微増)
ACTD3クール休薬中:0.5未満
ACTD4クール開始時:0.5未満(以降2C地固め)
ACTD5クール開始時:0.5未満

MTX3クール、ACTD5クールの約4ヶ月の投薬にて治療終了。

<薬剤変更について>
順調に減っているのでMTXを継続したいが、3クール目の休薬期に副作用の口内炎がひどすぎてついに救急受診しそのまま入院。
口内炎もグレード3で白血球・好中球もよくない数値が続いているということでガイドライン上続けられなくなり、アクチノマイシンD(コスメゲン)に変更となりました。

ざっくりと全体像をつらつら書き記してみました。
各項目の詳しい症状や検査の流れ等も、これから備忘録として少しずつ投稿していきたいと思います。

おまけ👇

各胞状奇胎の解説はこちらがおすすめ。医療者向けですがイラストがわかりやすく理解に役立ちました。

それから、胞状奇胎を英語名で画像検索するとリアルな画像が沢山出てきます。かなりショッキングですが私は状況の理解に役立ちました。

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