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スモールファーマーズカレッジ「はじめての農作業、やってみた!」

2022年11日3日、青くあおく晴れ渡った空の下、スモールファーマーズカレッジ・23期生の「プレ農作業体験」が開催されました。

スモールファーマーズカレッジは就農や移住、半農半Xを目指している人が、農の知識や技術を体系だてて学ぶことができる社会人向け週末農学校。「入学前からも、農作業を体験したり、屋外で動く機会をつくっていこう」と企画されたこの体験会、いったいどんな一日になるのでしょう。ちょっとおじゃまして来ました!


一日の、始まりはじまり。

スモールファーマーズカレッジ・宇治の圃場で開催された体験会。プログラムは午前と午後、それぞれに畑の観察や農作業体験が用意されています。朝早くから先生方やスタッフのみなさんが準備を進めます。

午前の部の予定。他にも収穫体験などもありました

「おはようございます!」と、朗らかな笑顔で出迎えてくれたのは、講師の野木先生と古谷先生。
新しい生徒さんたちに出会うときは、先生たちも緊張しますか?と尋ねると「ちょっとだけね笑。でも楽しみの方が大きいですよ!」とのお返事。さすがこれまで600人以上の受講生たちを迎え、送り出してきたお二人です。

古谷先生(左)と野木先生(右)
出番を待つ農具たちも、何だか凛々しい顔立ちに見えます

午前9時、いよいよ体験会が始まりました!
集まったみなさんもちょっと緊張気味のお顔。あまり緊張しないでね、と言われても緊張しますよね。。。そんな気持ちも受け止めながら、岩崎代表が今日の予定を説明します。

快晴の空の下、プレ農作業体験スタートです!

「じゃ、やってみましょうか!」と軽やかな岩崎代表の声で動き出した参加者のみなさん。先生方も颯爽と持ち場に向かいます。
野木先生は畑の中で堆肥や野菜の観察を、古谷先生は農具の使い方をそれぞれ担当されます。

「現役生や卒業生には懐かしい風景です」と教えてくれたのはスタッフさん。スモールファーマーズカレッジでは、入学当初の授業で同じように畑で土や野菜を観察したり、農具の使い方を教わるそうです。
これまで少し農作業の経験がある人も、初めて土に触れる人も、同じように学んでいける環境があるんですね。

古谷先生、岩崎代表、野木先生

思わず唸る、はじめての鍬、はじめての農作業。

「あ~!難しい!」「今の、ちょっといい感じやったかも」そんな声が聞こえてくるのは、古谷先生が担当されている鍬の体験コーナー。鍬ってどうやって持ったら良いの?どう動かせば良いの?あー!助けて~!!。。。初めて鍬を持った日にそんなことを思った人も多いのではないでしょうか?(筆者はあまりにのことに「私に農作業は無理だ…」と肩を落としました笑)

それでも「体をこう動かしてみて」「そうそう良い感じ!」と古谷先生やスタッフさんに励まされ、参加者のみなさんが鍬を土に下ろす音、そして体の動きがだんだんリズミカルに。

さぁ、初めての鍬使いはいかに??

「さぁ!次は畝たてをしますよ~」と颯爽とした鍬使いでお手本を見せる古谷先生。「え~!そんなのどうやってできるんですかぁ~」と驚きながらも「やってみます!」と挑戦する参加者さんたち。
ザクザク、ザクザクとたくさんの土の音が、青空の下に響き合います。

鍬の使い方を説明する古谷先生。普段は座学がご担当で
農作業姿を拝見できるのはレアなんだそう

だんだんと鍬と仲良くなってきた頃、今度は残渣を鍬で切る練習。「土と違う~!」「鍬が入らない~!」と新たな難敵に立ち向かう姿を、古谷先生がにこやかに励まします。

「鍬って土耕すだけじゃないんや」「ザンサってどんな字書くんですか?」と初めての経験や言葉に戸惑ったり興味を持ったり。
参加者それぞれが、たくさんの出会いを体験した時間となりました。

鍬で残渣を切る練習も

興味津々!はじめての観察。

さて、場面は変わってこちらは野木先生担当、畑の観察コーナー。
「え!これが元野菜??」「臭くない…」「フワフワしてる!」みなさんが興味津々で手に取り匂いをかいでいるのは、スモールファーマーズカレッジの圃場でつくられている、残渣を微生物のチカラで分解していった堆肥。

「初めて見たときは、残渣が堆肥になることが本当に不思議でした」と言うスタッフさん。授業ではこの堆肥づくりもカリキュラムに入っているそうで、単に野菜をつくることだけでなく、野菜づくりを取り巻くたくさんの環境や、微生物の働きも実践と共に学習するそうです。

残渣が堆肥に変わっていく姿に興味津々

微生物のチカラ、自然のチカラ。野菜をつくろうと思っただけでは考えたことのなかったような話が野木先生から飛び出します。
人も自然も野菜たちも、全部全部つながっている。だから全部学ぶんだ…参加者のみなさんと一緒にお話しを聞きながら、筆者もいつの間にか受講生のように聞き入っていました。

情熱いっぱいの授業が人気の野木先生
今日もたくさんの情熱を参加者さんに伝えます
野菜の観察タイム。防虫ネットの違いって??益虫って何??
畑の中はたくさんの不思議が溢れています

種まきはかんたん?とんでもない!

さぁ、本日最後の体験は「緑肥の種まき」です。
スモールファーマーズカレッジではこの時期、緑肥として植えていたソルゴーを刈って、新たな緑肥の種を撒くのだそうです。

ここで「はて、リョクヒとは?」と初耳の時、漢字も思い浮かばなかった筆者のため、ちょこっと補足してみます。

緑肥は益虫の住処となったり、土が雨や風の影響で地表から流れてしまうことを防いだり、太陽光を遮断して雑草が生えるのを抑制したり、というすごい役割りがあります。
シロクローバーやレンゲ、ハゼリソウなどは鮮やかな花を咲かせるので、景観を良くしてくれる効果もあるんです。緑肥、すごいですね!

左からシロクローバー、ハゼリソウ、クリムソンクローバー

「今日は、みなさんにシロクローバーの種を撒いてもらいますね」と野木先生。自分たちが学ぶ圃場の環境整備も自分たちでやるっていうの、経験も知識も得られてとっても良いな、と思いました。

さて、いざ種まき!とイソイソと現場に向かうと「足の踏ん張りが~!」と聞こえてくる、そこは圃場を囲むのり面。
鎌でのり面の草を刈り、筋をつけて播種。覆土をして鎮圧。それだけのこと?と思うことなかれ。見た目にはわずかな傾斜でも、そこで作業をしようと思うと足腰のチカラもバランスも必要に。みなさん、これまたひと苦労。

斜面で踏ん張りながら、草刈りと播種作業の体験です
鎌を使うのも初めての経験

全員が真剣な面持ちで作業に臨みます。その横顔からは、農作業ってこんなに大変なのか、と心の声が聞こえるよう。鎌に絡まる雑草、こぼれ落ちて思うように覆土できない土、鎮圧って何?どんな強さですれば良いの?と、またまた新しい体験とハテナに囲まれる参加者さんたち。

徐々に暮れる陽を背中に、野木先生のアドバイスを聞きながら、最後までひとつひとつ丁寧に作業を進めていきました。

参加者さんにアドバイスをする野木先生

こうして、スモールファーマーズカレッジのプレ農作業体験は終了時間を迎えました。
感想を伺うと、「思った以上に大変…全然うまくできなかった。でも楽しかった!早くここに来たいです」と、2月からの授業への期待をにじませた表情で、ある参加者さんは話してくれました。


今日の日に、ありがとう。

たくさんの人が行き来して、その人の数だけ「農」がある。そんな多様な価値観を共有しながら学ぶ場。そんなスモールファーマーズカレッジの一端を見ることができる一日でした。
23期生のみなさんにとって、素敵な農ある暮らしが始まりますように、と願いつつ、私も圃場を後にしたのでした。

スモールファーマーズカレッジのみなさん、見学させていただき、ありがとうございました!23期生のみなさん、お疲れ様でした!

圃場から見える夕焼け空は「癒される」と人気

レポートする人
今井幸世さん

2021年の夏から野菜づくりの勉強を始める。はじめての土、はじめての野菜、これまで想像もしなかったたくさんの経験と自然のふしぎを通じて、環境と状況の中にある自分を発見。自然の摂理に沿って生き、はたらき、出会い、食べる暮らしを目指し自給農に挑戦中。


NPO法人スモールファーマーズでは、農を通してより良い世界をつくる活動に共感いただける「仲間」を募集しています。
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