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フードバンク京都|誰かの役に立ちたい。その思いが生み出す、ひとり一人のストーリー

フードバンクは、“まだ十分食べられるけれど、売り物にできないために捨てられていく食品”や、市場に出せない米や野菜、各家庭で余っている食品などを寄付で集め、食を必要としている人々に無償で届ける活動です。
個人への食糧支援だけでなく、地域福祉への支援、食品ロス、ひいては環境問題への取組みにもつながるこの活動を実践する団体「NPO法人フードバンク京都」を訪ねました。

その関わりが、嬉しい

寄付で集まった食品を、地域の福祉施設や子ども食堂・ホームレス支援団体・個人宅などへ届けるフードバンク。行政と連携し、今すぐ食糧支援が必要な人への緊急対応も担っています。

「コロナ渦に入ってから、この緊急支援がグッと増えたと感じます」と話すのはスタッフの山村さん。「活動を始めた当初は月に1件程度だったそうですが、最近は一日に4件っていうこともあります」
緊急支援の要請が来ると、山村さんたちはすぐに事務所へ。必要な食糧をセットし、配送スタッフが支援を待つ人の所に向かうのだそうです。

「仕事が終わって帰宅して、晩ご飯を食べた直後に連絡が来たりしてね、でも今すぐ食べものを必要としている人がいる、急がなきゃ!っていう気持ちで走ります」

朗らかな笑顔溢れる、スタッフ・山村さん

「困っている人の役に立ちたい」という気持ちでフードバンク京都の活動に参加した山村さん。現在は、寄付食品の仕分け・分類や野菜栽培、小学校などへの講演活動を担っています。

「講演に行くとね、最初は『フードバンクなんか興味ないし』と言っていた子が『ぼく、大人になったらフードバンクの人になりたい』って講演の後に言いに来てくれたりして。今はね、そういう関わりがね、すごく嬉しいんです」と顔を綻ばせ、教えてくれました。

小学生への講演風景

思い立ったその気持ちを叶える場所

フードバンク京都は2015年にその活動をスタート。きっかけは東日本大震災だったそうです。

「当時はボランティアに行きたい、やろう!という気持ちがあっても、距離的にも状況的にも制限があってうまくいかなかった。そんな自分の中のモヤモヤを行動に変えようと思ったんです。その時、人にとって絶対に欠かせない食を提供するのはどうだろうって考えたことが、活動の始まりです」

やってみよう、誰かがそう思う自分を発見した時に、活動できる場所があったなら。そこからまた自分ができることを見つけて拡げられる、ここがそんな場所になったら良い、とフードバンク京都の理事長・高畠さんは思いを話してくれました。

スタッフを見守る目も温かい、理事長・高畠さん

ひとつひとつの作業に、気持ちを乗せる

「喜んでもらいたいからさ」と話すのは、スタッフの図師さん。

フードバンクの作業は、寄付食品の賞味期限の確認や仕分け、精米や倉庫の整理、配達などなど多岐に渡ります。
その中の、届先に応じて食品をセットしていく“アソート”という作業。このアソートへの思いがフードバンク京都の特徴のひとつ。

「こういうのを作るんだよ」と図師さんが見せてくれた箱には、ビシッと詰められたカラフルなお菓子やレトルト食品たち。
一日に必要な食品の量と人数を計算し、その家に大人がいるのか、子どもがいるのか、性別は、年齢は…と考え、食品をセレクトするのだそうです。

スタッフ・図師さんと、考えに考えてつくられる食品セット

「女性だったら少しオシャレな食品を入れてみたり、調理ができる環境かどうか確認したり、子どもだったらどんなお菓子が食べたいだろうとかさ、そういうことを考える。あと栄養のバランス。それで配達のスタッフが聞いてきた話で食べられないものがあったら、また情報をアップデートするんだよ」そうやって、箱を開けた瞬間の“相手の顔”を想像しながらセットするのだと言います。

ひとつひとつの作業に相手を思う気持ちを乗せる。それがフードバンク京都のスタッフにとっての当たり前なんだよ、と図師さんが教えてくれました。

配送準備の様子。配送はスタッフの自家用車で行われています
取材の日。配送の品を車に積み込む様子
寄付食品満載の車。この日、スタッフが遠方まで車で引取りに行かれたそう

おいしい野菜を届けよう!

フードバンク京都の農園

フードバンク京都の大きな特徴が“農園”を持っていること。
「実は私、畑に惹かれたんですよ」と笑うのは、スタッフの山村さん。同じように、この農園に惹かれてフードバンク京都の扉をたたく方もいらっしゃるのだとか。

農園の始まりは、2016年。理事長の高畠さんが「新鮮な野菜を届けたい」と耕作放棄地を提供してもらい、栽培を開始。しかし当初は水捌けの悪さに悪戦苦闘……。
そんなときに出会ったのが「人のために」という同じ志を持った、野木氏。野木氏は、社会人向け週末農学校・スモールファーマーズカレッジで専任講師を務め、有機農法・自然農法・伝承農法などの知識や経験の豊富な方でした。

そんな野木氏の協力もあり、今ではこの農園で年間約30種類の野菜を栽培。農薬・化学肥料を使わずに育てられた野菜は、インスタント食品などに偏りがちな食品の中で、栄養バランスや自然の力を伝える支援にもつながっているそうです。

図師さんと共に、農場のリーダーとして活躍しているスタッフ・加藤さん

たくさんあったよ、畑のおしごと 

今日はブロッコリーを収穫
きれいに育ったブロッコリー
枯草マルチの準備
サトイモのお世話
笑顔溢れる!
とれたてラディッシュ!
野菜の仕分け作業
袋詰めもします
大根のお届け準備完了!

農園の一角に立つ小屋。中を覗いてみると、スタッフメンバーのひとりがつくったというその棚に、たくさんの道具がズラリと並べられています。
温かみと居心地の良さを感じる農園と小屋。それはメンバーたちの手がひとつ一つ、つくってきた空間だからなのかも知れません。

農園の一角に佇む小屋
手づくりの棚と農具たち

つながり、つなぐ支援

今度は、小屋の向こう側で「何て書こう」「これでどう?」とスタッフ同士相談している様子が見えました。それは?
「支援先のご家庭に、不登校のお子さんがいるんですよ。その子に、一度農園に来てみない?っていう手紙を書いてます」と見せてくださったカードには、スタッフたちの手書きの文字。

「わたしも悩みがあったとき、それを癒してくれたこの畑だから。それをほんの少しでも感じてホッとしてもらえたらって。自分の経験からくる気持ちなんですけどね」と話す山村さんからも、スタッフの皆さんからも、そっと隣に佇むように相手を思う気持ちが伝わってきます。

メッセージを書くスタッフ
待ってるよ。「あなた」に向けたメッセージ

たくさんの人のつながりで織りなされる、フードバンク京都の活動。その運営について伺いました。
「支援してくださる方の輪も広がってきていて、例えば高知県から野菜やお米、卵を届けてくださるグループがあったり、京都市内の和菓子屋さんとか、個人の方もホームページを見て連絡してくださったりします」

発足当初に比べ、その活動の範囲は大きく広がったと言います。

運営の要のひとり、副理事長・守岡さん

「活動もどんどん大きくなって、やめるわけにいかないっていう責任感と、頑張ろう!っていう気持ちがある反面、落ち込むときもあるんですよ。でもそんなときは他のスタッフが励ましてくれたり、できなくて良いんだよって言ってくれて。そうやってお互いに支えながらやっています」と山村さん。

「頑張る人たちがいるから、自分もって思うし、今日もそう、こうやって取材に来てもらってまた新しい出会いがある。そういうのがね、嬉しいんです」「そうだね」と、頷き合うスタッフの皆さんに、取材に行ったわたしたちこそが、新しい出会いをもらうことができた、そんな一日となりました。

誰かの役に立ちたい、その思いで集まったスタッフたち。
食糧をただ届けるだけで終わらない、人と人のつながりと、それぞれの思いを大切に活動し続けるフードバンク京都。
あなたも一度、訪ねてみませんか?


援農インフォメーション

フードバンク京都では、援農を受け入れています。
詳しくは下記ページをご覧ください。


フードバンク京都のホームページはこちら


レポートする人
今井幸世さん

2021年の夏から野菜づくりの勉強を始める。はじめての土、はじめての野菜、これまで想像もしなかったたくさんの経験と自然のふしぎを通じて、環境と状況の中にある自分を発見。自然の摂理に沿って生き、はたらき、出会い、食べる暮らしを目指し自給農に挑戦中。


NPO法人スモールファーマーズでは、農を通してより良い世界をつくる活動に共感いただける「仲間」を募集しています。
ご自分のペースで、ゆっくりゆる~く関わっていただけたらと思います!

Small Farmersサポートメンバー

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