見出し画像

営業事務からのキャリアチェンジ【転職1回目】

エピソード#4 自分の強み

私は、大学卒業するまでの期間に秘書検定2級、英検2級、運転免許は取得していた。ほとんどの資格は2級までぐらいであれば、ある程度の時間をかけて真面目に勉強すれば取得できるのではないだろうか。その他には、大学時代のアルバイトとして、家庭教師、塾の講師、クレジット会社事務、アパレル販売員の経験があった。改めて棚卸してみると新卒2年目で退職した私の持つ強みはそれほど多くはなかった。

初めてハローワークに行くとカウンターの前には大勢の人が待っていた。こんなにも大勢の人が仕事を探しているのか、そう思った。ハローワークの職員はカウンターごしに一人一人と丁寧に面接をしていた。そのため、かなりの時間がかかっていた。ひとまず手続きを終えて失業手当受給に関する説明を聞き、ファイルされた求人票に目を通した。求人票に載っていたのは、ほぼ無名の地元の中小企業ばかりだった。この時点で、私は自分のやりたい仕事というフィルターから、自分でもやれる仕事のフィルターでみていることに気が付いた。
そういう視点でみると、自分がやれる仕事は限られていた。

ふと、目に留まったのが税理士事務所の求人案内だった。
応募条件に「簿記」とある。公立大学経済学部出身の私は、簿記の資格を取ろうと思いながら実際に行動に移せてなかったことを思い出した。

ハローワークについて

会社員は、毎月の給与から自動的に雇用保険料を徴収されています。金額は、ごく少額で支出の痛みも少ないですが、そのありがたみがわかるのが、失業した時です。保険なのだから、使えるときに権利を行使すればよいのです。勤務年数や年齢によって異なりますが、再就職の期間中、生活ができるぐらいの給付金はもらえます。最近では、失業してから給付が開始されるまでの”待機期間”を短縮するという改正案があるらしいですね。実際に制度が改正になるには時間がかかるかもしれませんが、政府が人材の流動性を高めようとしている意図を読み取れます。
昔々、昭和の初期には定年退職年齢が55歳だったなんて、今となっては信じられません。いまでは再雇用制度を利用すると65歳まで働ける環境があります。実際に60歳を超えても働く人が増えているという統計が発表されています。20代、30代では実感がなくても、転職が難しくなる40代以降は、自分のキャリア・ゴールを考えるべきなのではないでしょうか。

また、政府がスローガンにしている”リスキリング”は、日本語に直せば、”学びなおし”です。ハローワークでは教育訓練給付金の申し込みも受け付けています。教育訓練給付金を申請して、指定機関で学びなおしをすると受講料の一部が還元される仕組みです。雇用保険で徴収されている金額以上の補助金をもらえる可能性もあるので、積極的に制度を利用を検討すべきです。私の経験上、自己投資は必ず後から自分に返ってきました。方向性さえ間違えなければ、努力は必ず報われます。

エピソード#5 未経験職種にチャレンジ


私は、退職時24歳だった。第二新卒といえる年齢であった。自分で認識はしていなかったが、「若さ」という未知数の強みを持っていた。
ハローワークの職員に簿記の資格は持っていないが、税理士事務所の求人に応募してみたいと意思を伝えてみた。職員は、事務的に求人先に電話をかけ、面接OKを取り付けた。自分で求人先に問い合わせる勇気がなくても、ハローワークの職員の方に任せれば、いとも簡単に募集条件を無視した申し込みを取り付けてくれた。
私に必要だったのは、未経験職種に挑戦する意欲だけであった。

エピソード#6 転職時の面接

転職時の面接で聞かれることは限られている。退職理由と志望動機、あとは人柄をみるための雑談であると考えてよい。
私には、寿退社という正当な理由があったのと経理をやってみたいという意欲があった。

求人を出していた税理士事務所は開業したばかりで事務職員を募集していた。税理士の先生は、当時40歳前後だったか、朗らかな人柄で、私を一目見て、数分話した後「あなたを採用します。簿記3級に合格したら連絡してください」と言った。正式な内定ではなかったが、簿記3級の試験がすぐ目前に迫っていたため、私はすぐさま書店で簿記3級のテキストを買い、独学で勉強を始めた。
簿記の仕組みは面白かった。取引を左側と右側に分類すれば、最終的に利益が計算される。過年度の利益は、累積して溜まっていく。イタリア人の商人が考案したとされる簿記の仕組みは完ぺきだった。私は、簿記の魅力に取りつかれ、そして無事に合格を手にした。
口頭で内定を出した税理士の先生に連絡をすると、先生は「来月から来てください、給与は前職レベルは保証します」と私に告げた。

会社概要

事業内容:税務申告書の作成、確定申告書作成、年度決算、給与計算、等
創業:1996年頃
代表者:税理士
売上高:不明
資本金:不明
従業員:4人

税理士事務所の仕事

税理士事務所の仕事は、もちろん経理を中心とした業務です。顧客は、個人事業主(フリーランス)の人や小規模企業の経理事務代行です。顧客の数は、税理士の営業力にかかっており、親から世襲していない税理士は顧客を一から開拓しなければなりません。税理士事務所の新規顧客は、顧客からの紹介や税理士個人の人脈から獲得する場合が多いと思われます。新規顧客獲得は難しくても、一度顧問契約を結べば、よほどのことがない限り顧客は毎年契約更新をしてくれます。
私が入社した税理士事務所は開業して間もなかったので、顧問先顧客は多くはありませんでしたが、それでも事務員一人で10社以上の会社を担当していました。私が担当した会社は、薬局、歯科医院、居酒屋、不動産、木工所、美容院、等々、個人事業主も合わせると業種はバラエティに富んでいました。

毎日の業務は、①担当先の伝票整理、②会計システム入力、③財務諸表作成、です。年間の業務は、法人税確定申告書作成、個人確定申告書作成が集中する2月、3月、4月が最も忙しく、残業での対応が必要となります。
また、関連業務として、給与計算、社会保険手続き事務や保険代理店のような業務もありました。

税理士事務所の給与水準

「前職の給与水準は保証する」と豪語した税理士の先生は、約束通り前職並みの給与額を提示してくれました。
基本給+残業代で月約16万円です。前職の営業事務では、ほとんど残業がなかったため残業分給与が上がった形となりました。
良かった点としては、様々な業種の経理事務を経験できたということに加え、先生が資格取得を応援してくれたおかげで、私は仕事をしながら日商簿記1級まで取得することができました。
そして後々、日商簿記1級という資格が何度も私を助けてくれることになります。以降の話も順を追ってお話したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?