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<Transition Town> Totnes 探訪 Day2

<Transition Town> Totnes 探訪2018: Day1 もご覧くださいませ

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〜トットネス 2日目は、トットネスのトランジション・タウン運動 (TTT) を主導する Future Boundという組織の代表、Halさんにツアーを組んでもらい、街の中を散策しながら活動をじっくり紹介して頂きました。私たちに半日もかけてくれたので、感じたこと学んだこと沢山あるのですがとても書ききれないので.... もっとも印象に残ったものを私の独断と偏見でまとめてみます〜

※Transition Town Totnes (TTT)のより詳しい情報やツアーの申し込みは以下のサイトまたは、同組織のFBページを見てみてください!

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TTTツアーは、街の中心の市民会館に集合してスタート。この日はちょうど週末の野外マーケットが開催され活気に溢れていた。マーケットには地元の生鮮食品にチーズ、ジャム、ブラウニーなど美味しいものがたくさん。その他にもアンティーク雑貨に古着、楽器に家具となんでもあり!

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写真からは分かりにくいが市民会館の屋根には、ソーラーパネルがびっしり。建物の正面に取り付けられたパネルからは発電量を確認できる。

【Skillshare project】

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Benさんの話に聞き入る仲間たち。
:マーケットでは幸運にもスペシャルな人物に出会えた。Doctor bikeとして親しまれるBenさんは、Hopkins氏と共にTTT運動をこの地ではじめた人物!! 彼は休みの日になるとマーケットにやってきて、町民の自転車を修理している。この街には自転車屋さんがないから、彼は非常に貴重な人材なんだそう。修理代はお金ではなくて、近くの商店で売っている彼の大好きなパイだったり、ハグだったり、楽しいおしゃべりの時間だったり...とってもユニーク。彼のような活動は "Skillshare project"といって、12ステップあるTTT活動のひとつ。町民の自主自立とレジリエンスを高めるための活動で、個々人が持ち得るスキルを共有し高め合うというもの。

【品揃え豊富なオーガニックスーパー 】

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:市民会館のすぐ横にあるこちら、おそらく町で一番大きなスーパーマーケット(私の見た限りでは、「スーパー」と呼べるものはあと1店舗のみ)
イギリスに来てずっと探していたブランドのオーガニックコスメを発見てトキめいたり、天然素材のみを使ったエナジードリンクを見つけて驚いたり。とんでもなく豊富な品揃えで、私たち3人は大興奮。

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いよいよ、町の中を散策スタート。地形がTotnes Castleを中心に丘のようになっているため、そこらじゅう坂だらけ。小道がいたるところに入り組んでいて迷路みたいな感じ。小さな町であるため半日もあれば歩ききれてしまうコンパクトさ。でも、この上がったり下がったりの地形はお年寄りには大変じゃないかなと思ったり。

【Totnes Renewable Energy Society (TRESOC)】

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:ソーラーパネルをつけた家々は結構な確率で見うけられる。これもTTTの運動から生まれた組織:TRESOCの働き。住民で組織し、運営する再生可能エネルギーの推進団体で、太陽光発電・風力発電・水力発電所の運営など、石油に頼らず、かつ輸入エネルギーへの依存から脱するべく、町民が生活するための電力は少しでも域内でまかなおうというもの。

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Dart川に設置された水力発電所

【Eco Home】

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人様のお家なので、正面からの写真撮影を控えたが、セルフビルドのエコホームのひとつ。採光量を最大化し照明のしようするため、屋根は斜めに大きく傾いている。
現在、トットネスには17のエコホームが存在する。環境負荷を最小限に抑えた建築法および管理・特徴を備えた住居の普及を促進すべく、TTTでは毎年、 Transition Town Totnes Eco Homes Fairを開催し、環境配慮を意識した建築事業者や資材メーカー を招き住民との交流の機会を用意している。また、すでに存在するエコホームを実際に訪れ、自身の生活に取り入れられるアイデアを探るツアーも定期的に実施されている。

【Totnes pound】

写真のステッカーが貼られたお店でトットネスポンドが使用可。私がみた限り、訪れたほとんどの店舗で使用可能!

:こちらは、ずっと気になっていた「地域通貨」 トットネスポンド。この紙幣はトットネスの町の中だけで使える。 地域経済を循環させて、利益を域外に流出させないためのアイディア。最近は電子マネーバージョンもあるんだそう。この町では、住民の運動でフランチャイズのスーパーもレストランも進出させないという撤退ぶり。確かに、おなじみのTE○C○、や S○ins○urysはどこにも見当たらない。地域通貨は、日本でいう商店街の「商品券」とアイディアを共有するところもあるなと思ったり。 説明を聞きながら、終始 興奮で前のめり、鼻息が荒かった。しかし、Halさん曰く、地域通貨のメインストリーム化にはまだまだ程遠いようで、あくまで実験的取り組みのひとつであるとのこと。

【REconomy Project】

REconomy centreの壁にはたくさんのマインドマップが。見ていてワクワクが止まらない。
: ツアーの後半は、TTT運動の活動拠点、REconomy centreにお邪魔して、地域経済の活性化のために行われている活動、リ・エコノミープロジェクトについてじっくりお話を聞かせて頂いた。上で紹介したトットネスポンドもその活動のひとつ。2011年に始まった同プロジェクトは、域内における経済の活性化と若者の雇用機会創出を目標に据える。「リ・エコノミー」という言葉は「コミュニティ」「イノベーション」「サステナビリティ(持続可能性)」「プロフィタビリティ(収益性)」という4つの柱からなる考え方で、地元での起業を支援してトランジションを実現しようとする試み。
代表的な活動は、2012年から毎年開催されてる  "Local Economic Forums (LEF)” と呼ばれる社会企業ビジネスコンテストである。地元の社会起業家・町民・投資家が一堂に会するこのコンテストでは、 "community supported entrepreneurism” をテーマに町民の誰もが投資家となれ、小規模ビジネスをサポートする仕組みである。この5年間で27のプロジェクト提案され、21が実施運営されている。以下に中でも代表的なものを紹介する。

● New Lion Brewery:<Transition Town> Totnes 探訪 Day1 でも紹介したクラフトビールの醸造所復活プロジェクト。トットネスで1926年まで営業し、一度は閉鎖を余儀なくされたライオン醸造所の失われたレシピを再現し、地元デヴォン州の原料を使ってトットネスならではのクラフトビールをつくっている

● School Farm CSA:イギリスで唯一のノー・ディグ方式(土を掘り起こしたり耕したりせず、堆肥や厩肥を土の表面に敷く方法)のオーガニック認証取得コミュニティーファーム。住民が自身の食べる食材がどのように作られているのか学び、農業スキルを身につけることを目的とする。

● Grown in Totnes :Food Miles(食料の量×輸送距離)を削減することを目的とし、地産地消と環境負荷の低減を目指す。現在、域内の主要産業は畜産と酪農であるため、農業栽培の多様化が必要であるとし、主に穀物(飼料ではなく、食用)の自給率を高めるべく、LEFで得たサポートを元に穀物加工施設および設備を備える。

 ​grownintotnes.co.uk

以上のようなリ・エコノミープロジェクトを立ち上げるために、TTTは地元経済の状況を分析した、「ローカル・エコノミック・ブループリント」という報告書を発表している。トットネスの住民が何にどれくらいのお金をつかっているのか、その支払ったお金は地元に還元されているのか、またトットネスの企業や商店はどこで資材や原材料を調達しているのかなど、金銭の流れを各種データから徹底的に解明し、それに基づいて人々に地域経済の活性方法を提言したもの。この報告書を土台に、リ・エコノミープロジェクトは展開されている。報告者は以下から↓

Local Economic Blueprint https://reconomycentre.org/home/economic-blueprint/                               

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REconomy centreの壁にかけられたローカル・エコノミック・ブループリントの提言パネル

〜以上、私たちが見聞きしてきたトランジション・タウン運動 (TTT) の活動をまとめてきました。TTTが目指しているのは、化石燃料依存型社会からの「トランジション」を、町民主体の小さな活動の有機的なつながりによって達成することだと理解しました。それはそれは地道で一つ一つのインパクトは小さく、時間がかかります。しかし、そのプロセスに多くの住民が参加し、地元に愛着を持って、個々のライフスタイルを楽しみながら構築していくことの可能性を垣間見ることができました。そして何よりも驚いたのは、TTTの手数の多さ!とてもまとめきれないくらい沢山のプロジェクトが同時並行に実施されていました。まだまだ日本では知られていないトランジション・タウン運動ですが、このノートを読んで少しでも興味を持ってくださる方がいたら嬉しいです。最後にTTTの紹介が簡潔にまとめられたサイトや動画を載せてあるので、参考になったら幸いです。〜

おわりに、移動に半日もかかるような長旅に付き合ってくれたMA仲間の2人に大感謝。ここまで興味関心を共有できて、共感できる友達に出会えたことが本当に幸せだなと噛み締めた旅でした。

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Totnes駅から見えるのどかで雄大な景色。必ずまた戻ってくるよ。

<参考ソース/ ビデオ>
【日本語紹介記事】
     ECOネット東京62、第71回トランジション・ムーブメント発祥の地:イギリス、トットネス

【ビデオ】My Town in Transition: Rob Hopkins at TEDxExeter  

【ビデオ】Transition Town Totnes: where we've come from     

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