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孤独でも合格できる!ロー入試(既修)Tips

はじめに

 はじめまして!名古屋大学ロースクール(既修)に進学予定の小海と申します。
 私がロー受験する際に経験したことや多くの方から頂いたアドバイスを基に、今後ロー受験をする方に向けて、特に周りにロー入試仲間がいない方に向けて、合格のための一助となればと思い、筆を取りました。
 上記の通り、私の主観や私見が主となっているため、あくまで参考程度に活用してくださると幸いです。よろしくお願いします。




筆者の概要

 どんな輩がこの記事を執筆しているのか気になる方のために、以下に概要を記載しておきます。
大学:地方の大学(法曹コース非設置かつ同大学にローなし)
GPA:3.4程度
司法試験の勉強開始時期:学部3年の夏頃から
予備校:アガルートがメイン
予備試験:2023年度短答落ち
ロー入試戦績:関学ロー◯、同志社ロー×、名大ロー◯、京大ロー×
特筆点(多くが手前味噌です):私の周り(大学内)にロー入試勢は私を含め片手で数えられる程しかいなかったこと、そして私以外未修コースの受験者しかいなかったため、結果的に勉強仲間を持たず、自主ゼミを行わず、答案を添削してもらうことなく一人でロー入試(既修)を乗り越えました。そのため、「孤独でも合格できる!」というタイトルになっています。また私のロー入試の戦績は華やかなものではありませんが、それ故に伝えられることもありますので、良ければ本記事をお読みください。

孤独受験生の苦難①(受験決断まで)

 周りにロー(既修)受験者がいないけど、受験してみよう!という方に、私が体験した苦難を以下に記していきます。
 まず孤独受験生がほぼ確実にぶつかる壁として、「何から始めれば良いのかわからない」というのがあります。何せ周りに受験仲間がいないため、参考にしたり比べたりする人がいません。
 そこで、この苦難の解決方法を以下に列挙します。

①(もし利用するなら)予備校を決めよう!

 何から始めたら良いか分からない方は、予備校の利用を検討しましょう。予備校は合格までの道筋を示してくれる有用な一つのツールです。司法試験受験生(勿論ロー受験生も)のほとんどが予備校利用者です。そのため、他の受験生と差をつけられないためにも、どうしても予備校代を捻出できない、という方以外は利用するのがオススメです。

②受験するローを決めよう!

 勿論仮決定でも構いませんので、とりあえずどのローを受験するかを決めましょう。ゴールが見えていた方がモチベになりますし、何を勉強すれば良いのか鮮明になります。もし気になるローが見つかったら、入試説明会等が開催されるかどうかもチェックしておきましょう。

③X(旧Twitter)を始めよう!

 孤独受験生は司法試験用のアカウントを作成してXを始めましょう。良き勉強仲間や先輩に巡り会えます。Xには勉強において有用な情報があちらこちらに転がっています。また主観になりますが、Xにいる方は優秀な方ばかりです。
 そして司法試験やロー入試は情報戦でもあります。孤独受験生は積極的にかつ貪欲に情報を得に行きましょう。

孤独受験生の苦難②(予備校選び)

 これは本当に難しい問題です。この世には多くの司法試験予備校があります。値段の高い安い、知名度やシェア率の高さの違い等々、何を基準に選んだら良いんだ!という悩みを多くの受験生は抱えると思います(かく言う私もそうでした)。
 そこで、個人的な予備校選びの基準を以下に列挙します。

①値段の違いは内容のクオリティと信頼の有無の違い!

 はい、まずは値段ですね。これは真摯な悩みでしょう。例えば地方にいる学生の中には、金銭面の都合から都心に行かなかった、という理由の方もいると思います。しかし、ロー入試についてはできる限りお金を出し渋らないことをオススメします。予備校選びに関しては特に、です。予備校の講座は、勉強を始める方でいえば予備試験1年合格カリキュラムといった講座の購入を検討すると思います(詳しくは後述しますが、このようなまとまったカリキュラムを購入するのはオススメしません)が、そういった講座は何十万と飛んでいきます。その何十万が少しの出し渋りでパー(=その予備校を使わなくなる)になることもあり得ます。値段が高いということは、それだけ講座内容のクオリティが高く、そしてそれだけ高くても受験生は信頼して購入するような予備校と講座である、ということです(※勿論値段が高ければ高いほど、全ての講座が当然に比例して質が良くなるわけではないので、そこは吟味が必要です)。
 上記の観点から、もし予備校を選ぶなら下記の3つをオススメします。

①アガルート:私の使用している予備校です、個人的にイチオシです。私は予備試験1年合格カリキュラムを受講しています。シェア率で言えば3つの中で2位(主観)、値段の高さも2位(最新の予備試験最短合格カリキュラムだと約85万円(https://www.agaroot.jp/shiho/cr/yobihoukaa-2/))です(グループ割等々を使えば十数万安くなるのでその場合は3位になり得ます)。欠点は後述します。
②伊藤塾:圧倒的信頼と実績の伊藤塾です。司法試験を受験しようと思った方なら一度は耳にしたことがあるでしょう。シェア率でいえば1位(主観)、値段も1位(伊藤塾は様々なカリキュラムがありますが、例えば呉先生のコースなら約135万円(https://www.itojuku.co.jp/shiken/shihou/kouza/23A00101_0.html))です。高いです。もし選ぶなら先述の呉先生のコースを選ぶのがオススメだと思います。
③加藤ゼミナール:最近台頭してきている予備校です。上記2つの予備校の欠点を補うような特徴が多いです(アガルートの欠点としては、憲法関係の評判が悪いことが挙げられるのですが、加藤ゼミナールの憲法の論証集はかなり評判が良いです。伊藤塾の欠点は値段の高さですが、加藤ゼミナールは伊藤塾の大体半額です。)。シェア率は3位(主観)、値段も3位(最新の予備試験合格パックは63万円(https://kato-seminar.jp/yobisiken-goukaku-pack-detail/))です。でも選択科目が労働法と経済法しか選べないのが欠点です。

②フルパッケージ講座へ安易に近寄るな!

 何を言っているか分からないかもしれませんが、簡単に言うと、予備校が勧める全部てんこ盛りプラン(講座)は安易に購入しないほうが良いです。全部てんこ盛りプランのメリットはこちら側がとりあえず小難しいことを何も考えずに購入できることや合格した場合に講座費用を全額返還や現金贈呈、といった合格特典があることですが、欠点として要らない・使わない講座が混ざっていることが挙げられます。費用最安値を目指しているなら、必要最低限の単講座を複数購入するのがベストだと思います。
 例として、私の受講しているアガルートのカリキュラムで必要・不要だった講座を列挙しておきます(要らない講座がアガルートの個人的な欠点でもあります)。

重要問題習得講座(必要でした。民事系だけでも絶対購入してください。これを周回するだけで多くのロー入試は突破できます。)
論証集の「使い方」(必要でした。でも全科目が全て完璧な論証集、というわけではないので、最低限としては民事系と刑事系だけでも良いかもしれません。憲法は加藤ゼミナールの総まくりでも良いです。因みに先述の「論証」とは、ある論点が問題となる場合に論じるべき事項のことです。)
ーーー(ロー入試と予備試験の壁や賛否両論の壁)ーーー
③総合講義300(かなり賛否両論(否:受講し終わっても結局覚えていない、講義時間が長い等、賛:基礎基本が身についた、中級者以降で真価を発揮する等)ですが、ロー入試では基本書代わりになりますし、個人的には余裕があればオススメです。)
④短答過去問解説講座I・II(個人的にはかなり有用です(特に映像講義)。しかし、値段が高く、短パフェといった短答過去問問題集を買う方が安上がりな上に、そのようにしても予備試験は合格できます。あとロー入試段階で短答プロパー知識は基本的に不要です。)
⑤短答知識完成講座((単体では)微妙です。民法刑法憲法しかない上に、択一六法といった同じ目的の教材の方が安いです。でもアガルートの他の講座との互換性は高いです。)
⑥予備試験論文過去問解析講座(予備試験を受験する人には有用です。でも値段が高い上にロー入試にはオーバースペックです。)
⑦選択科目対策講座(同上)
⑧法律実務基礎科目対策講座(同上、しかし京大や東大といった難関ローを受験する人、そして民法や民訴をより理解したい方にはオススメです。)
ーーー(必要と不要との壁)ーーー
⑨論文答案の「書き方」(不要です。重問の簡易版という感じの講座であるため、それなら早く重問(※重要問題習得講座のこと)を回しましょう。)
⑩旧司法試験論文過去問解析講座(不要です。司法試験の論文過去問を全部一周して余裕がある人だけ購入してください。)
11一般教養科目対策講座(不要です。短答で法律科目は完璧、という人は購入を検討しても良いと思います。)
※他の予備校については把握できていないので、他の方のnoteの記事等を是非参照してみてください。

孤独受験生の苦難③(勉強のモチベ維持)

 よし!予備校も決めたし、早速講座を受講するぞ!と始めたは良いものの、孤独受験生は数ヶ月(もしかしたら1ヶ月かもしれません)でモチベ維持が難しくなる可能性が高いです。なぜなら、勉強仲間がいない故に自分がどれだけ成長しているのか相対評価ができず、またゴール(ロー入試合格)との距離も測れないからです。私がそうでした。前者に関しては、今も成長を実感することは全然少ないですが、後者は何とかできます。
 そこで、孤独受験生関係なく個人的なモチベを維持、また怠けることを防止する方法を以下に列挙します。

①ロー入試の過去問を解いてみよう!

 はい、簡単な方法ですね。大学受験を経験された方なら過去問の大切さは実感できていると思います。過去問を解けば、自分の成長や自分とローの距離も実感できます。でも起案(※答案を書くことを司法試験界隈では「起案」と言ったりします)したり答案構成(※どのように答案を書くのか簡単に紙に書いてみること)をしてみても、ローのホームページには過去問と採点実感や出題趣旨しか載っておらず、どこにも模範解答は載っていませんし、残念なことに大学受験の赤本にようなものはロー入試にはありません。しかし、ロー入試の再現答案や参考答案を載せてくれている親切な方やサイト(サイトでいえば、The Law School Times(https://lstimes.jp)が有名です)があるので、それらを参考にしながら取り組んでいきましょう。個人的に最新年度の過去問は、入試が近づいたら安心のために解けるように残しておくのがオススメです。

②自分の勉強時間を計ってみよう!

 これも定番ですね。例えばStudyplusが有名ですが、計れれば何でも良いですよ。勉強時間を計れば自分の勉強時間の蓄積も見られますし、その日の勉強合計時間を実際に見ることで、少ないときに焦ることもできて多いと嬉しくなれます。

③勉強時間以外も計ってみよう!

 私の個人的な取り組みですが、勉強時間以外も計っています。例えば休憩を何時間したとか、食事や睡眠時間は何時間とかを計っています。これのメリットは、勉強以外の無駄な時間がないか一目でわかることです。私は「合計の休憩時間が長すぎたな・・・」と反省する日もあります。計る際のオススメアプリは、「ATracker Time Tracker」(https://atracker.pro/home.html)です。

孤独受験生の苦難④(講座終了後の勉強方法について)

 さて、予備校の講座も一段楽した・・・。では次に何をしますか?
 今まで予備校のオススメの進め方で受講してきたけど、いざ受講し終わってしまうと何をすれば良いかわからなくなってしまうことがあると思います。
 そこで、オススメの勉強方法を以下に列挙します。

①短文事例問題集(例:重問)をとにかく周回しよう!

 はい、とにかく周回(※ここでいう「周回」は、例えば重問でいえば問題文を読み、どのような答案構成になるか脳内で考えてみたり紙に書き出してみたりすることを指します。方法は人それぞれ自由であるため、自分に合った方法で周回してみてください!)してください。はじめて一周した時は、まるで何もわからなかったと思いますが、2周目から徐々にわかってきます。因みに2周目で何もわからなくても、最終的にわかるようになるまで周回すれば良いので大丈夫です。とにかく何度も周回、です。私が使っていた短文事例問題集である重問を周回する際に気をつけていたのは、⑴各問題でどんな条文がどのように用いられるかを理解すること、⑵答案の型を把握することで法的三段論法を理解すること、⑶論証の使われ方を理解すること、の3つです。論文問題は条文が大切なので、まずは条文から意識しましょう。

②論証集を周回しよう!

 はい、論証集も周回(※ここでいう「周回」は重問とは少し異なり、論証を実際に声に出して読んでも良いし黙読でも良いのでとにかく論証全てに目を通すこと、です。勿論どうしてその論証になるのか、いつどのようなときに使うのか、どんな条文をどのように使うのか、ということをきちんと「理解」しましょう。因みにアガルートの論証集を全部音読するのは構時間がかかりましたが、個人的にそれだけの効果はあったと思います。)しましょう。論証集に「とにかく」がついていないのは、重問の方が周回すべきだからです。論証集は周回するのも大切ですが、内容を暗記ではなく「理解」することの方が大切なので、周回には特に重きを置いていません。またロー入試ではアガルートの論証集でいうCランクは不要です。AランクとBランクを重点的に周回し、Cランクは目を通すくらいにしましょう。
 因みに、アガルートの論証集の「使い方」には映像講義が付いていて、さらに音声ダウンロードも可能であるため、映像を見て周回したり、音声を、例えばiMovieを使って音声ファイルを科目ごとで一つにくっつけて聴きやすくしてしまうのもありです(もし詳しいやり方を知りたいという方がいれば、私のXアカウントにDMでご連絡ください)。

 以上です。意外と少ない、と思いましたか?実際少ないです。ロー入試で必要なものは基礎基本と条文操作力(因みに私はこれができていなかったため、同志社ローに落ちました。)ですから、それを身につけるなら上記の2つで構いません。また、上記の2つに疲れてしまった場合は、他の演習書や基本書を利用するのもありですよ。例えばオススメとして、刑法でいえば『刑法事例の歩き方--判例を地図に』や『刑法事例演習--メソッドから学ぶ』、『応用刑法I』があります。(他の科目も後述しています。)

孤独受験生の苦難⑤(ロー出願)

 そんなこんなしていたら、もうロー出願の時期になっています。ここでも孤独受験生特有の苦難があります。それはステメン(※ローへの志望理由書や自己評価書のことです)です。これも他の受験生が何を書いているかわからないし何を書いて良いのかすらわからないと思います。
 そこで、対策方法(主に学部生向け)を以下に列挙します。

①先輩のステメンを見てみよう!

 「孤独受験生なんだから先輩もいないわ!」という方、安心してください。これも優しい先輩がnote等にステメンを載せてくださっています。以下、私が参考にしたnoteや執筆者の方の一覧です。
のだ さん (https://note.com/nodatomo
まぷれ さん (https://note.com/mapurenn/n/n6d582b61e6c0)(数少ない名大ローのステメンを載せてくださっています。)
(※まだ参考にした方がいたのですが、記事が削除されていたため、載せることができませんでした。そのため、私なりのステメンに関するアドバイスを対策方法②に後述しておきます。)
 また、私も言われれば全然ステメン等を見せますので、遠慮なく仰ってくださいね。

②ステメンに書けることを事前にしておこう!

 私が学部3年生からステメンを意識し始めたので、3年生の方までへのアドバイスになることに留意しておいてください(※既に4年生だけど書くことがないという方は、対策として筆記点に対して書類点が低いロー(例:同志社ロー)の受験も検討しましょう)。

  1. ゼミ論文を執筆する

  2. 法律事務所でバイトしてみる

  3. 高GPAを取得する

  4. サークルに所属する

 では、順番に説明していきます。
 まず、1の「ゼミ論文を執筆する」ですが、要するに3年次までにゼミで論文を執筆しようということです。これはステメンの定番テーマである「あなたがどうして法曹を目指すようになったのか」における回答として有用です。例えば「論文執筆の際に〜という問題に気がついた。〜という問題を解決できるのは法曹である。」といった文章を書くことができます。(そのため、個人的にゼミ選びは重要だと思っていて、楽さよりは興味関心があって論文を書いてみたいような分野のゼミに入るのがオススメです。)
 次に、2の「法律事務所でバイトしてみる」について、これは地方であればあるほどするのは難関ですが、もしできれば言わずもがな、志望理由でも自己評価でもかなりステメンに書きやすい内容です。因みに私はしたことないです。
 そして、3の「高GPAを取得する」ですが、もしできるなら個人的に一番オススメです。特に法学部であれば、「高GPAを取得しているのだから私は真面目ですし貴学に求められている一定水準の法律の知識も獲得しています!」と言えます。これが強いです、ほとんどのローでこれは書けます。さらにGPAはローに成績証明書を送付するときに証明できるので、説得力もあります。この証明できるか否かがステメンの点数に直結していると個人的に考えています。
 最後に、4の「サークルに所属する」ですが、これはサークルによって志望理由でも自己評価でも書けると思います。法律に関するサークルであればそのまま活動に関して書けば良いですし、例えばディベートサークルであれば「自分は社会問題に対して多角的な視点から解決を試みることができる能力を涵養した」みたいなことも言えます。また何かの大会に出て賞状を貰えたら、それが証明証書になってステメンの高評価につながると思います。あとサークルの代表になるとその代表である時にした活動における紆余曲折もステメンに書けます。

③ステメンは必ず添削してもらおう!

 孤独受験生でも添削してもらえる方法があります。それは、例えばゼミの担当教員の方にお願いすることです。教員の方に添削してもらうと色々と気づきがあって、とても参考になるのでオススメです。因みに私は同志社ローのステメンだけ添削してもらい、その他は一切添削してもらっていませんが、同志社ローのステメンを添削された経験が他のステメンにも生きています。全く添削してもらわないのは言葉遣い等の間違いに気が付かないままローへ送付してしまう可能性があるので、最低でも一回はしてもらいましょう。もしいれば先輩等に添削してもらっても良いと思います。

孤独受験生の苦難⑥(ロー入試直前〜ロー入試当日まで)

 ついにロー入試間近!一体何しよう・・・、となるのも孤独受験生にはあるあるです。そしていざロー入試前日や当日は何をしたら良いのか。これも対策方法を以下に列挙します。

①ロー入試直前も短文事例問題集と論証集、そして過去問!

 実は「孤独受験生の苦難④」で述べた内容とあまり変わりません。一定の評価がされている短文事例問題集であれば、何回も何回も周回すると自ずと力がついてきています。そして、ロー入試はみんなが書けていることを書き落とさないことが肝要な試験ですから、短文事例問題集で培った基礎基本や条文を書き漏らさないようにしましょう。また、論証もAランクは何も見ず、キーワードを含めて自分なりに書けるようにしておきましょう。Bランクも民法刑法憲法会社法は上記のように書けるようにしておきましょう。民訴や行政法はほとんどのローで同じ分野が出るので、その対策を重点的にしておきましょう。
 また、過去問が残っているなら消化しておきましょう。個人的には最低でも5年分は解くか答案構成しておくと安心です。1年分は本番での感覚を掴んでおくため、きちんと時間に計って解くのもオススメします。

②直前期には新しい教材へ安易に手を出さないのがオススメ!

 直前期は不安になるものです。そのため、他の受験生と差をつけようと、もしくは他の受験生に追いつこうと思い、新しい教材に手を伸ばしたくもなります。しかし一度冷静になって考えてみてください。本当に残りの期間でその教材を試験に活かせるのか、またその教材は本当に必要なのか、ということを。
 例えばXでは、日々多くの有益なポストが流れてきます。それ故に直前期にも評判の良い基本書や演習書の情報を得ることになるかもしれません。しかし、これまで短文事例問題と過去問を解いて、自分の現状と必要なものは把握したはずです。その自分を信じて、今自分の持っている書籍を完璧にして試験に臨みましょう(※勿論絶対に新しい書籍へ手を出してはいけないのではなく、勉強の際に生じた疑問を解決するために持っていない体系書等を参照するのは全然構いませんし、自分が持っている書籍はもう完璧だという場合なら話は別だと思います。)。

③前日はしっかり寝て、当日は適度な緊張感で受けよう!

 今住んでいる場所から遠めのローを受験するのであれば、恐らく前泊をすることになると思います(※前泊するホテルは何ヶ月も前から予約しておくのがオススメです、入試直前だと会場の近場はどこも空いてないなんてことがあります)。私の体験談になりますが、ロー入試の前日はどのローでもかなり緊張しました。孤独受験生故に周りのレベルもわからず、本当にこのままで受かるのかという不安、そしてその不安を後押しするかのように流れるロー入試難化説(詳しくは後述)。そのため前日は全く寝られませんでした(あるローの入試では、一睡もせず当日を迎えました)。しかし、普段から一夜漬けには慣れていたため、本番当日は何とか乗り越えましたが、絶対に万全のパフォーマンスは発揮できていなかったと思います。どうか私を反面教師にして、皆さんは試験の前日、しっかり寝てほしいと思っています。ただ、もし全く寝られなくても、私みたいに何やかんや合格できるので気にしないでくださいね。ベッドで横になって目を瞑ったことが大切ですから。
 そして当日、ロー入試は結構朝が早いです。多くのローでは5科目以上を1日に詰め込んでいるので、朝から夕方までみっちりやります。そのため、緊張してばかりでは疲れますし、一方で余裕をかましてリラックスし過ぎていると書き落としがあるかもしれないので、適度に緊張しておきましょう。あと休憩時間にはラムネ等でブドウ糖を摂取するのがオススメです(あと私は昼休憩後等に、GABAが含まれているチョコを食べてストレスや疲れを持ち越さないようにしていました。しかしGABAは摂りすぎるとリラックスどころか却って眠たくなってしまうので注意が必要です。)。
 また、当日のお昼休憩、孤独受験生は一人で黙々とご飯を食べることになりますが、気にすることはありません。ご飯を食べながら論証集に目を通していたら休憩はすぐに終わります。でも、周りの受験生は仲間と話している人が多くて若干メンタルやられます、でも負けるな我ら孤独受験生!
 その後、入試が終わったらすぐ帰ってゆっくり休んで、次の日(もしくは明後日)からまたコツコツ次の入試に向けて、もしくは司法試験に向けて頑張りましょう。

番外編:ロー入試のFAQ

 勉強を始めたばかりの人や、勉強が進んできた人が抱えがちだと個人的に感じる疑問に、私なりに答えていこうと思います(※公開後にも追記する可能性あり)。参考になれば幸いです。また、質問の順番に特に意味はありません。

(質問の例)Q.孤独受験生でもロー(既修)合格できますか?

A.できます。私が証左です。 

Q.法的三段論法はどのようにして身につけますか?

A.(私も身についているのかと言われれば自信を持って「はい!」とは言えませんが、)最初は他の方の再現答案や参考答案を見て、その論理構造を真似してみるのがオススメです。再現答案なら優しい先輩方がnote等に残してくれています。司法試験の再現答案を集めた書籍(例:ぶんせき本)を購入してみても良いと思います。法的三段論法は答案を書く際の大原則ですが、再現答案や参考答案と似たような論理構造で書けているなら問題ないと思います。何も参考にせず、自分独自の書き方をするのはあまりにもリスキーすぎるので避けた方が良いです。

Q.GPAが低いとロー(特に国公立ロー)に合格できませんか?

A.ローによりますが、多くのローはできます。国公立となると、例えば東大ローはGPAによる足切りがあるのでそのGPAによりますが、一方で阪大ローは書類点が筆記点に比べて低め(書類点20点:筆記点400点)です。勿論、GPAが高いに越したことはありませんが、是非様々なローを検討してみてください。

Q.ロー入試と就活は並行できますか?

A.かなりかなり大変ですが、やろうと思えばできると思います。ロー入試日程は私立ローが大体8〜9月で、国公立ローが9〜11月のため、就活と被らないようにすることはできると思います。でも個人的には片方に一本化した方が良いと思います。

Q.ロー入試は併願した方が良いですか?

A.個人的には併願した方が良いと思います。私立ローは奨学金が充実しているところが多く、去年の関学ローでいえば、A日程で合格した人は入学金相当額と学費全額相当額の奨学金に採用されました。そのため、ローによっては合格すれば入学金すら不要、という場合もあるので、一発勝負するリスクを負うよりは、併願した方が良いと思います。

Q.ロー入試にTOEICは必要ですか?

A.原則不要です。しかし、一橋ローのようにTOEICで足切りを行うローやローの入試形態によっては必要です。またTOEICの点数がかなり高ければ書類点が加点される可能性はあると考えていますが、法律科目の勉強を疎かにしてまで取り組まなくとも良いとも思います。

Q.法学検定は受験しておくべきですか?

A.学部2年以下であれば、受験するのもありかなと思っています。例えばアドバンスト〈上級〉に合格していれば、関学ローだと資格能力加点があります。でも3年以上ならロー入試までの時間と要相談かなと思います。

Q.予備試験の短答で何点あれば難関ローに合格できますか?

A.個人的に予備試験の短答の点数とロー入試合格率の相関関係はそんなに強くないと考えています。確かに短答の知識は論文式試験でも使えますが、ロー入試では短答ではなく論文式試験の能力が問われているので、そこまで気にしなくても良いと思います。

Q.ロー入試はスーツで受けますか?私服ですか?

A.(筆記試験のみなら)どちらでも構いませんが、主観として私服の受験生の方が多かったです。

Q.憲法の答案の書き方がわかりません、どうしたら良いですか?

A.私は『合格思考憲法』(辰巳法律研究所の書籍です)で憲法答案の書き方を学びました。アガルートの憲法重問の欠点は、憲法答案の書き方の理解が難しい点にあるので、『合格思考憲法』で補っていました。とてもオススメです。

Q.ロー入試に憲法の統治分野は出ますか?

A.出るローもあります。特に難関ローでは大体出題されるので、受験したいローの出題範囲は把握しておきましょう。

Q.ロー入試に基本書は必要不可欠ですか?

A.アガルートの総合講義300のような講座を受けている場合は、ロー入試だけの話なら不可欠とまでは個人的に思いません。それ以外の場合は持っていた方が良いです。

Q.ロー入試が難化しているのは本当ですか?

A.客観的なデータを持っていないので一概には言えませんが、個人的には難化している可能性が高いと思っています。ローの人気が高まり受験者数が増加したことで難化しているのかなぁ、というのが所感です。でも難化していたとしても、きちんと頑張れば合格できます。

Q.予備試験対策をしながらロー入試対策もできますか?

A.できます。ロー入試は予備試験対策をすると自然と対策できます。しかし予備試験の方が範囲は広いため、ロー入試までの時間との兼ね合いを踏まえてどこまで予備試験対策をするかを決めてくださいね。

Q.受験するロースクール選びのコツはありますか?

A.基本的には好きに選んで構いませんが、もしローの希望は特にないという人がいれば、とりあえず司法試験合格率(と合格者数)で選ぶのがオススメです。そして次に留年率が高くないか、また立地はどうか、学生数はどうか等を意識してみてみると良いと思います。

Q.予備校を利用せず、独学でロー入試に合格できますか?(※個人的にオススメな基本書・演習書等も記載しています)

A.(かなり難しいですが、)できます。しかし、予備校利用者と同様の知識を得るために、講座は利用せずとも市販の書籍だけでも積極的に利用していきましょう。例えばアガルートの論証集(『アガルートの司法試験・予備試験 合格論証集』)は公法系以外は市販されていますし、上記の『合格思考憲法』といった有用な予備校の書籍は購入するのがオススメです。
また、以下に個人的にオススメな基本書も載せておきます。

(前提として、どの科目も総じて呉基礎本が初学者にはオススメとよく聞きます)
憲法:(初学者向け)基本憲法I(※統治分野がまだ出ていないため、他の書籍で補う必要がある)、新4人組(※渡辺・宍戸・松本・工藤『憲法I』『憲法II』のこと)、(中級者以降)憲法学読本、芦部憲法(芦部憲法は個人的に論文というよりは短答向けの書籍です)
行政法:(初学者向け)スタンダード行政法、興津行政法(IIがまだ出ていないが今後刊行予定とのこと、オススメです)
民法:(初学者向け)民法の有斐閣ストゥディアシリーズ、(中級者以降)総論:佐久間民法の基礎I 物権:佐久間民法の基礎II 担保物権:道垣内担保物権 債権総論:中田債権総論 各論:中田契約法 家族法:窪田家族法
商法(もとい会社法):(初学者向け)有斐閣ストゥディアシリーズ、(中級者以降)田中会社法、紅白本(※高橋・笠原・久保・久保田『会社法』のこと)
民訴:(賛否両論ですが)リークエ民訴、(個人的には)和田民訴、(多くの人が支持している)瀬木民訴、(副読本として)読解民訴
刑法:基本刑法I、II(基本刑法でいえば応用刑法も併用して使うのがオススメです)、井田刑法
刑訴:基本刑訴I、II、酒巻刑訴

以下は市販の演習書のオススメです。
憲法:個人的に憲法は書き方を覚えた後、演習書ではなく司法試験や予備試験、ロー入試の過去問を解くという形で良いと思います。
行政法:事例研究行政法か基礎演習行政法、(演習書ではないかもしれませんが)行政法解釈の技法や行政法解釈の基礎もオススメです。
民法:サブノート210問(※でも民事系(民法商法民事訴訟法)の演習書はアガルートの重問が一番オススメです。)
商法(もとい会社法):ロープラクティス、論文演習会社法
民訴:事例で考える民事訴訟法、実戦演習民事訴訟法
刑法:刑法事例の歩き方、刑法事例演習教材、(答案の書き方を学ぶ書籍として)十河刑法事例演習
刑訴:事例演習刑事訴訟法、峰刑事訴訟法演習

 最後に、ここまで読んでくださった方の貴重な時間を割いていただいたことに深く感謝致します。もし疑問等があれば遠慮なくXのDMやこちらのコメントにご質問ください。拙筆がロー入試で悩まれている多くの方の支えとなれることを心から祈っています。ご清覧有難うございました。



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