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土地登記の公図データに期待したけど、農地の住所はまだ出力できなさそう

土地の登記データというのは一般に公開されていなかったのですが、登記所備付地図データという形で公開されるようになりました。
こちらのデータが公開されると、私的には位置情報データから正確な住所が判るようになる、という事で期待している所です。


何故公図データに期待しているのか

何で期待しているか?
簡単に言うと、農地の住所が欲しいんです。

今までも逆ジオコーディングと言って、緯度経度情報から住所データを逆引きする、というサービスがあります。
こちらのデータに関しては住居地など人が住んでいる所については情報が充実しています。が、その反面、農地はほぼデータが無いためか判りません。
逆ジオコーディング以外の何かしら新しい情報は無いか、と探している所に公図データがオンライン公開される、というニュースが出まして

「これで農地の住所データも取得ができるようになる」

と期待したものでした。

そのまま使えない感じがするぞ?

データとして公開された後、色々と閲覧してみましたが、

「ん?」

と、感じるようになりました。
データを見ようにも何だかうまく地図に重ね合わせる事が出来ない…
何故だ?

そこで初めて、公図データに公共座標系と任意座標系というものがある事に気づきました。

公共座標と任意座標の違い

なぜそのまま使えないか、という点ですが、公開されたデータが「公共座標」に基づくものと「任意座標」に基づくもので分かれていて、任意座標を元にしたデータはそのままでは利用できません。

ここで、公共座標と任意座標というキーワードが出て来たのでそれぞれを解説します。

任意座標:任意の点を原点とした座標
公共座標:国の管理する座標体系上の原点を与点とした座標

つまり、公共座標で作られたデータは元は東経xxx度、北緯yyy度が基準で、そこからどれだけの距離であるかという事が判るようになっています。
これだとGISソフト上にデータをインポートしても、そのまま表示できますね。

対して任意座標で作られたデータは、それぞれがこの点を原点とするよ、東経とかそういうのは知らないよ、という事で作られています。
なので、データの形は分かりますが、それがどこにあるのかは分かりません。GISソフト上に読み込んでも、よくわからない場所に表示されたりしま
す。

一例として浜松市天竜区の公図データをそのままプロットすると、長野県南相木村の上にデータが描画されてしまいます。
しかも、各データがジグソーパズルのようにバラバラのピースになっているように思われます。

バラバラの土地ピースを組み合わせてみた

バラバラの土地ピースの一部、左下の部分をGISソフトを使って組み合わせてみました。おそらくこれが本来の姿でしょう。ただし、ピースとピースがジグソーパズルのようにピッタリではなく、所々隙間が空いていたり重ね合わさっていたりします。
これが積もっていくと、地方の土地境界問題という事につながっているのではないでしょうか。

全国では任意座標で公図データが作られている所が多い

日本全国の土地データ、公共座標と任意座標がどれぐらいの割合で作られているか、という整理状況が公開されています。

こちらを見ると、地方によってバラバラで、北海道から東北太平洋岸、西日本の一部の県が公共座標で登録されている割合が多いようです。
逆に三大都市圏などは低いですね。愛知県は10%無いぐらいです。

地域によって地図座標に変換されていない箇所も結構あります

静岡県の公共座標の筆数は36%。愛知県よりは高いですが、半分も行っていません。

静岡の公共座標として登録されているのは全体の36%


https://labs.mapple.com/mapplexml.html#11.32/34.8047/137.4325

Mapleなどでも地図ビューアがありますが、公共座標として登録されている状況を見ると、数値以上に少ない、という印象を受けます。
農地は壊滅的な印象で、住所検索は今の所実現性が低そうだ、という事になりました。

この状況が改善するのか、今後継続して見ていきたいと思っています。

と言う訳で、地図や衛星データの情報をまとめるべくnoteのマガジンを作りました!

私が共同代表を務めているGREEN OFFSHOREでは農業向けのIoTサービスを展開しています。
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