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AIは、「利用する」だけでないではない視点も必要だと実感できる番組【NHKBS世界のドキュメンタリー「生成AIの正体 シリコンバレーが触れたがらない代償」】

NHKBSで4月23日放送された↓のオランダ制作のドキュメンタリー。

AIについて、違った視点を授けてくれる作品でした。

「よく知りもしないテクノロジーを、あまりにも信用しすぎている」

ハッとさせられる言葉から始まる。本作。

この言葉が象徴するように、AIを考える上で、私たちはいくつもの視点を見落としている。
そのことに気づきを与えてくれたように思います。

「立ち上がって部屋の灯りをつけることさえ面倒だと感じる人のために、情報はここからアメリカに行って帰ってきます。身体を動かす代わりに惑星規模のシステムを動かしているのです」

このような視点で考えたこともなかったので、なかなか衝撃が大きいです。

私もそうですが、AIが進化することで、社会が、未来が大きく変わる。AIはパラダイムを変えるビックウェーブだと思っていましたが、AIに読み込ませる初手ともいえるデータセット(データ集合体)ですら意外に脆いというのは驚きでした。

あと見えないこととして、AIテクノロジーのソーシャルワーカーともいえる人たちの存在であったり、想像以上にエネルギーを必要とすることであったり、デジタルデバイスがアフリカでのレアアースの採掘から中国での製品組み立て、そして中古品の流通まで、世界的な「垂直統合」となっている現実であったり・・・。

断片的に知っていることもありましたが、本作のようにテーブルの上に並べて見ると意外な一面も理解できたように思います。

そして想像すらできない桁外れにかかる金銭的コスト。

「人々の血と汗と金属でできた、AIの世界」は、アウトプットする部分だけが可視化され、本当か嘘か判別が難しいデータをまき散らす。
すでにデジタル・ジャンクが日々製造される世界になった現実を理解すべきなんだろうと実感しています。

AIはどのような未来を描くのでしょう。GAFAによる支配がより強化されるのか。Aのひとつだけでなく、そう遠くない未来には、創業者の「人間」はこの世からいなくなる。それでもGAFAによるデジタル支配は続くとしたら、社会は何によって支配され、私たちはどんな影響を受けることになるのでしょう。

未来について、いいことしか言わないデジタル系インフルエンサーの方々への違和感もまた理解できたように感じます。何事もそうですが、光があれば、当然影もある。
光の部分しか言わないのは、やはり、その背後に何かあるとみておいて損はないない視点なのでしょう。

本作はNHKオンデマンドで視聴できます。配信は5月10日までです。


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