最近の記事
日曜日の本棚#39『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子(講談社)【食を通じて描かれる「正しさ」に翻弄される現代人のリアル】
毎週日曜日は、読書感想をUPしています。 前回はこちら。 今回は、第167回(2022年上半期)芥川賞受賞作で、高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』です。 タイトルにもあるように「食」を通じて描かれる、現代人の複雑な感情が織りなす物語です。第167回芥川賞は、候補作すべてが女性作家だったことで話題になりました。純文学こそが時代を最も反映するのであれば、それは当然のことだろうと思います。 なぜなら、時代が生み出す矛盾やしわ寄せは、その大半が女性に襲い掛かる