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入試の現場から見える、旧AO、旧推薦入試の風景(5)

私は、旧AO入試(総合型選抜)、旧推薦入試(学校推薦型選抜)への疑問を持っています。それは、私の体験によるところが大きいです。

そのような考えに至った私の体験を書いています。今回はその5回目です。

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本記事は、以下の前提で書いております。予めご理解いただけるとありがたいです。
・非一般入試を選択する受験生を批判している訳ではないこと。
・総合型選抜、学校推薦型選抜入試をサポートされている先生方を批判している訳ではないこと。
・この入試選抜方法について、継続して検証されている大学の先生方を非難している訳ではないこと。
・この入試制度が過渡期であること理解していること。
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前回の第4回は、多くの方に読んでいただいたようで、ありがとうございます。

今回からは、別の若者のAO入試(総合型選抜入試)の顛末から思うことを書いていければと思います。

家庭教師時代のAO入試サポートを通じて、感じた学ぶ意欲という指標の不安定さに一抹の疑問を残しつつ、月日が流れました。

私は、家庭教師に見切りをつけ、人づてでご紹介をいただいた塾に転じることになりました。オールラウンダーの家庭教師から、各教科に深い知識とスキルが求められる塾講師に転じたことで、日々の業務に忙しくしていました。そんな状況でもあり、AO入試とか推薦入試とかが随分と遠い世界に感じられるような日々を送っていました。

当然、AO入試への違和感は遠のき、すっかりと過去の出来事になったころ、ある男子受験生との出会いがありました。仮にXくんとしておきましょう。

Xくんは、ipadとmacbookを持ち歩くような人でした。東京とかでは珍しくはないのかもしれませんが、九州の高校生としては目立つ存在でした。

Xくんは、私が担当する数学ⅠAⅡBの講座を受講していました。初回の授業の日に、話を聞くと
「志望は、九州大学の共創学部が第一志望。ここでの学びに魅力を感じるので、ぜひ行きたい。受験の選択の幅を広げたいので、一般入試だけでなく、別の入試にも挑戦したいと思っている」
とのこと。

調べてみると、別の入試というのが、総合型選抜とのことでした。

ただ、あくまで一般入試で受験するのが筋で、AO入試(総合型選抜)は合格の確率を上げるための補助的な役割だと言っていました。

なので、数学ⅠAⅡBも頑張りたいとのこと。
その言葉通り、1学期の間は、熱心に勉強し、青チャートを軸に勉強を重ね、成果を実感している旨の報告ももらっていました。

ところが、夏が近づいた頃、塾長からある報告を受けました。

「X君は、AO入試対策のため、夏期講習は小論文の講座を受けたいと言っています。なので、夏は数学の講座をお休みしたいとのことです」

当時の私は、「ふーん、そうなんだ」という認識でした。

ここから、X君の迷走が始まるとは夢にも思っていませんでした。

そして、彼を通じてAO入試って何なのだろう?という疑問を持つにいたるのです。

(次回へ続く)

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