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私たちがこの30数年で失ったものを問う(6)【『いちばんすきな花』と『恋ノチカラ』の間にあるビジネスの空白】

私たちは、この30数年で何を失ったのか。それを考えています。

前回はこちら。

10月になり、ドラマは秋シーズンになりました。知人から紹介していただいた作品を観ています。

ちょうど1年前に話題となった『silent』のスタッフが制作したというフジテレビの『いちばんすきな花』です。

ちょっとしたカルチャーショックでした(・。・)

よくできた作品だと思います。

商業ドラマなので、どうしても恋愛を軸に描かれますが、その背後にある「生きづらさ」がなんとも生々しい。

そして、4人の主演のキャラクターがみんな元気がないように感じられるのがちょっと気になりました。

みんな気持ちが途切れたときに、ため息をついているような感じがします。

今の若者のリアルの一面として理解していいのでしょう。

このフジテレビのドラマ枠は木曜劇場として長く作品をつないできました。

本稿のテーマもあり、30年前はどんな作品かを調べました。
『素晴らしきかな人生』(浅野温子、織田裕二)1993年
『愛という名のもとに』(鈴木保奈美、唐沢寿明、江口洋介)1992年
と名作があったようです。

観ていた記憶がない・・・(・。・)

なので、観ていたドラマで比較すると、20年前の

『恋ノチカラ』(深津絵里、堤真一)2002年になります。

初回のタイトルが、「女30歳さようなら終身雇用!!これはあなたの物語」

このころから、じわりと社会情勢が変わりつつあったんだなと感じます。

本作は、今風の表現では起業とかスタートアップがテーマでもあります。今の若い人が積極的に起業活動をしていることは、いいことではありますが、この時期に起業のロールモデルを形成できなかったことは今に大きな影響を与えたともいえるなあと思いながら観ています。

それは、内田先生がご指摘されているように、

後手に回るデメリットはビジネスにおいては、多大な影響があるからです。

このころに起業の成功モデルが多く出ていれば、そのころの経営者世代は、これまた今風に言えば、「FIRE」して、

たくさんの人が層をなして「エンジェル」になっているだろうと思うからです。

この30年で、産業の世代交代に失敗したことは、結果として経団連系の企業が今もなお影響力もっていることにつながり、ビジネスモデルの性質上、メリットがあった円安政策につながった。

本来自己責任は、これら大企業に向けられる言葉だったのでしょうし、もし新しい産業を育てた経営者が政治に影響力を持っていたら、円安政策はとられなかったかもしれない。

この30年でビジネスの新陳代謝に失敗したことは、改めて問題として大きかったんだなと感じているところです。

ドヤ顔で、消費税を19%にしろと言っているゾンビ企業経営者は、若者から希望を奪ったことを少しは反省すべきでしょう。

今の若者は、マイナスからのスタートを強いられている。その責任は、間違いなく、私たち大人にあるからです。


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