MASAHIRO SHIMIZU

新規事業開発について書きます。新規事業企画開発はベンチャーで5回、大企業で1回、米国ス…

MASAHIRO SHIMIZU

新規事業開発について書きます。新規事業企画開発はベンチャーで5回、大企業で1回、米国スタートアップ日本事業立上げ1回、起業して2回経験。責任者として新事業を企画開発・立ち上げ後は、そのまま事業責任者/日本市場責任者/社長。 Simpact:

最近の記事

人と異なる見方で世の中をどう捉えるか【事象やモノゴトの捉え方】

新規事業は、社内の既存と異なる新しいプロダクトを創り出す営みです。 新しいプロダクトを創る前段として、そのプロダクトが解決する新しい課題を見出す必要があります。新しい課題を見出す前段として、とある事象や事柄を世の常識や業界慣習とは異なる捉え方をする必要があります。 「人と異なる見方で世の中をどう捉えるか」「何もなさそうなところから何を見出すか」とは、ある状況や情報に対して「どこに目を向けて、何を読み取るのか?」「感じ取った情報を、どう解釈するのか?」という情報取得・処理プロ

    • 初期アイデア案のスジの良し悪しを判断する【初期アイデア創出ステージ】

      新規事業の初期アイデアたる「顧客・課題・ソリューション・ビジネスモデル・単価・顧客数」のセットを考え、検証方法の目処をつけたら、次の「顧客と課題定義ステージ」に進みます。 新規事業の検討は1人で進めることもあれば、複数メンバーで複数アイデア案を考えることもあるでしょう。いずれの場合も、初期アイデアを次ステージに進めるか否か選別する必要があります。 選別の仕方で最もやってはならないのは、上司や新規事業部門責任者が「しっくりくるかどうか」で選別すること。ある人の好みや気分で選別し

      • 新規事業アイデア着想の切り口7種【初期アイデア創出ステージ】

        新規事業の初期アイデア創出ステージでは、初期アイデアの着想をもとに、顧客・課題・プロダクト案・ビジネスモデル・単価・顧客数まで一気に初期案を考えます。 初期アイデアは、市場や顧客課題起点のものもあれば、経営陣の思いつきの場合もあり、自社の業界内の別領域に機会を見出すこともあれば、既存顧客に新しいプロダクトを提供する場合もあります。先端領域中心に考えることもあれば、他社のマネした後追い参入事業もあります。様々なパターンがあるがゆえに、初期アイデアの着想自体に難しさを感じるかもし

        • 新規事業アイデア創出のクセ9選【初期アイデア創出ステージ】

          初期アイデアの着想起点やきっかけは、市場や顧客起点の場合もあれば、経営陣の思いつきに端を発することもあります。着想の起点やきっかけに良し悪しはないものの、より良く検討を進めるために、自社の無意識な思考のクセやパターンを把握しておくのは有効です。 仮に、あなたの会社が革靴ビジネスを営んでいるとして、新規事業を開発するとしましょう。 思考の切り口はいろいろあります。靴ですから、靴革の品質や製法に着目するかもしれません。データ活用すべくIoTチップを靴に仕込み3Dプリンター活用パ

        人と異なる見方で世の中をどう捉えるか【事象やモノゴトの捉え方】

          業界専門家こそ問題を見出しづらいパラドックスにどう対処するか【初期アイデア創出ステージ】

          初期アイデア創出ステージでは、適切な課題を見出す必要があります。 業界内で半ば常識とされるような、顕在化した課題を捉えることは簡単です。一方で、潜在的な課題を見出すことは容易ではなく、特に業界に詳しければ詳しいほど、自社の保守本流事業の経験が長ければ長いほど、潜在的な課題を見つけ出せなくなるパラドックスが存在します。 業界専門家は、その業界に関する深くて広い知識や様々な経験を有しており、業界内で一目置かれる存在です。業界のことは何でも知っている自信もあるでしょう。自社本流事

          業界専門家こそ問題を見出しづらいパラドックスにどう対処するか【初期アイデア創出ステージ】

          新市場型破壊的イノベーションの作り方【後編+事例】

          「不満足な解決策」を刷新するやり方「イノベーションの最終回」や「ジョブ理論」によると、もう1つの新市場型破壊的な成長機会は「既存の不満足な解決策」の刷新です。 大企業の多くは、自業界や市場にプロダクトを提供し、多くのユーザーに利用されています。そのプロダクトに凄く満足し、積極的に購入するユーザーもいれば、プロダクトは正直イマイチだけど、他に選択肢がないため消去法で選択するユーザーもいます。ユーザーがイマイチだと思いつつも、やむなく購入しているプロダクトが「既存の不満足な解決策

          新市場型破壊的イノベーションの作り方【後編+事例】

          スタートアップやベンチャーが挑む新市場型破壊的イノベーション事例

          クリステンセン教授の名著「イノベーションのジレンマ」に書かれるとおり、無消費者層向けの新市場型破壊的イノベーションは、業界大手企業ではなく、スタートアップ企業や別業界からの参入が引き起こすことが多いです。 その理由は単純明快で、大手企業が無視するユーザー層が、無消費者だからです。大企業がターゲット顧客外と定義する無消費者層を、自社のターゲット層としようなどと思いもよりません。 クリステンセン教授は著書にて、大手企業が狙う「消費者」と「無消費者」という分け方をしました。しかし新

          スタートアップやベンチャーが挑む新市場型破壊的イノベーション事例

          新市場型破壊的イノベーションの作り方【事例】

          これまで世の中にない事業創りは、これまで解決されてない問題に取り組み、それを解決する新プロダクトを創ることであり、名著「イノベーションのジレンマ」の著者クリステンセン教授のいう「新市場型破壊的イノベーション」な事業です。 新市場の創出を狙い、「無消費者」に向けた新プロダクト創りの事例を2つ書きます。 ■無消費者向け新プロダクトで新市場創造事例1:受験サプリリクルート社のスマホ予備校「受験サプリ(現スタディサプリ)」は、無消費者層に、既存と全く異なる新しいプロダクトを提供し

          新市場型破壊的イノベーションの作り方【事例】

          新市場型破壊的イノベーションの作り方【前編】

          これまで世の中にない新規事業を創るとは、ヤマト運輸小倉氏の「初めから需要など存在しない、需要は私たちがつくっていく」と考えや、ソニー盛田氏の「マーケットクリエーション」 の考えを、愚直に狙おうとすることです。 これまで世の中にない事業創りは、言い換えれば、これまで解決されてない問題に取り組み、それを解決する新プロダクトを創ることであり、名著「イノベーションのジレンマ」の著者クリステンセン教授のいう「新市場型破壊的イノベーション」な事業です。 新市場型破壊的イノベーション

          新市場型破壊的イノベーションの作り方【前編】

          既にある市場に新規参入する難しさ。事例:ユニクロ野菜生産・販売新規事業の場合

          新規事業のパターン「2:世の中に以前から存在するが、自社にとって新規事業(既存と大きく違うやり方で参入)」は、日本経済全体が拡大した昭和の経済成長期や対象市場が拡大中のタイミングではうまくいくケースもありましたが、市場規模が横ばいにある業界では、新規参入の成功率はやはり10%未満といえそうです。 以前から存在する市場に、満を持して新規参入して失敗した事例として、ユニクロの生鮮野菜の生産・販売事業があります。 ■ユニクロによる生鮮野菜の生産・販売新規事業 2002年の秋、

          既にある市場に新規参入する難しさ。事例:ユニクロ野菜生産・販売新規事業の場合

          世の中的な新規事業と、自社的な新規事業の違い【初期アイデア創出ステージ】

          新規事業は、それまで社内にない新しい事業創出の営みです。初期アイデア創出ステージでは「顧客・課題・ソリューション・ビジネスモデル・単価・顧客数のセット」の仮説を作りますが、世の中にとっての新規事業か、世の中には既にあるけど自社にとって新規事業か、によって取り組み方は大きく変わります。 このパターンは、大きく4つに大別されます。  1世の中に以前から存在するが、自社にとって新規事業(既存と同じやり方で参入)  2世の中に以前から存在するが、自社にとって新規事業(既存と大きく違

          世の中的な新規事業と、自社的な新規事業の違い【初期アイデア創出ステージ】

          初期アイデア思考順番は着想により変わる【初期アイデア創出ステージ】

          初期アイデア創出ステージでは、検証可能な「顧客・課題・ソリューション・ビジネスモデル・単価・顧客数」を同時に考えると言われても、何からどう手をつけて良いかわからないかもしれません。厳密にいえば全要素同時検討ではなく、クイックに順番に検討します。 初期アイデアの着想起点やきっかけ別の、典型的な検討の進め方パターンを紹介します。会社の新規事業の初期アイデアきっかけは、おおよそ次の5パターンに大別されます。  1市場や顧客課題起点  2研究開発資産や技術力起点  3経営陣の思いつ

          初期アイデア思考順番は着想により変わる【初期アイデア創出ステージ】

          顧客・課題・ソリューション・ビジネスモデル・単価・顧客数を同時に考える【初期アイデア創出ステージ】

          初期アイデアを着想する起点は様々です。具体的な顧客ニーズや困りごとが起点のことがあれば、社内の技術研究資産が起点のこともあります。業界の不合理への憤りのこともあれば、別業界のサービスにヒントを得ることもあります。何か特定のもの起点でなければならない、ということはありません。 ■顧客・課題・ソリューション・ビジネスモデル・単価・顧客数のセットで考える 着想の起点を得たら、そこから一気に、想定する顧客と課題、プロダクト案やビジネスモデル、金額感まで、初期案を考えましょう。 誰

          顧客・課題・ソリューション・ビジネスモデル・単価・顧客数を同時に考える【初期アイデア創出ステージ】

          新規事業ネタは会社の長期ビジョンと創業理念に照らして考える【初期アイデア創出ステージ】

          初期アイデア創出ステージでは、取り組む顧客課題を見つけ、検証可能な初期事業仮説・プロダクト仮説を思い描くことを目指します。 新規事業の活動を進めるためにも、自社にとって「筋の良い」新規事業ネタを考えたいものです。筋の良いアイデアの中でも、自社にとって「筋の良い」新規事業ネタを思いつくには、自社の長期ビジョンと、創業理念や創業者の思いや精神を意識するのが良いでしょう。 新規事業開発は、自分の個人的な私的活動ではなく、勤める会社における業務です。そのため自社の将来方向性、つま

          新規事業ネタは会社の長期ビジョンと創業理念に照らして考える【初期アイデア創出ステージ】

          新規事業開発7つのステージ【補足2:各ステージの期間と売上規模】

          新規事業開発の7つのステージは、それぞれやるべきことは異なるものの、各ステージは完全分割された活動ではなく、一定の連動性をもって取り組まれます。 ■最初の大きな判断 ③事業企画&プロダクト企画の承認新規事業開発プロセスにおける、最初の大きな判断は、③事業企画&プロダクト企画を承認し、④プロダクト具現化のための投資判断をすることです。 スタートアップでは、新規事業開発はあらゆる意味でアジャイルなため、新プロダクトを開発しながら顧客に当てて検証を進め、スジが悪いと判明したら、社

          新規事業開発7つのステージ【補足2:各ステージの期間と売上規模】

          新規事業開発7つのステージ【補足:超重要な最初3ステージ】

          新規事業開発の7つのステージは、それぞれやるべきことは異なるものの、各ステージは完全分割された活動ではなく、一定の連動性をもって取り組まれます。 ■①初期アイデア創出〜③事業企画&プロダクト企画の3つのステージが決定的に重要新規事業開発7つのステージは、研究開発や商品開発で用いられるステージゲート法を、新規事業の特性に合わせてアレンジしたものです。 ステージゲート法は、1980年代にカナダのロバートクーパー教授が開発した、研究開発や製品テーマを効率的に絞り込む方法論。研究開

          新規事業開発7つのステージ【補足:超重要な最初3ステージ】