見出し画像

しっかり「腹落ち」して投資するために重要なことは?

こんにちは。
SMBC日興証券note編集部です。

投資初心者の素朴な質問に、投資のプロ・竹山さんが回答していくQ&A。
前編では、「そもそも、なぜ投資が必要なんですか?」という最初の一歩から、気になる元手や始めるべきタイミングについてお話いただきました。

後編となる今回は、竹山さんご自身の経験やキャリアを考慮しながら、もう少しだけ踏み込んだ内容に。

「しっかりと腹落ちして投資することが大事」と語る竹山さんの言葉には、普遍的に役立つ投資のヒントがたくさん詰まっていました。

これから始めたい方にも、すでに始めている方にとっても重要な「投資の本質」に触れているので、ぜひ最後までご覧ください!

------------------------------------
【竹山 悟史(たけやま さとし)】
SMBC日興証券CIO部長。1996年以降、資産を戦略的に分散して投資するスタイルで、長年資産運用業務に従事。大手運用会社、ヘッジファンドにてファンド・マネージャー及びチームヘッド職を歴任し、20年以上にわたる運用経験を持つ。2021年3月より現職。

【CIO(チーフ・インベストメント・オフィス)】
資産運用に関わる様々な情報や投資戦略の提供を通じて、主に個人投資家の資産運用を支援する専門組織。
------------------------------------


日本に「投資」が根づいていないのはなぜ?

― 投資の全体像がなんとなくつかめてきました。もっと早く知っておきたかったことばかりです(笑)。

竹山:それはよかったです(笑)。
そうですね、日本における「投資の教育」は欧米に比べるとまだまだ遅れているので、みなさんの中でも(前編の内容を)初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれません。

― 欧米の大手運用会社やヘッジファンドを経験された竹山さんから見ても、やはり欧米と日本の差は大きいですか?

竹山:大きいです。米国には、みなさんもご存知の世界的に有名な企業がたくさんありますよね。長期にわたって米国経済が成長するに伴い、米国の株式市場も好調な時期が継続してきました。

ここで思い出してほしいのが、これまで私がお話してきた「長期」を見据えた投資。
母国のマーケットに長期で投資してきた国民が着実に報われてきたという「成功体験」の多さが、日本との大きな違いになりますね。日本国民が投資での成果を積み上げていくのは、まだまだこれからという段階です。

― なるほど。長期を見据えての投資となると、成果が出るまでに時間が必要。日本で「成功体験」が出始めるのも、まだ先になってしまうんですね。

竹山:そうなんです。米国ほどではないにしても、日本経済も好調な時期はありましたし、ずっと前から海外に目を向けるなどして長期の投資を継続してきた方々は「成功体験」を積まれています。ただ、まだまだ割合としては少ないですね。

親から子、子から孫へと、「長期の投資で成果を出してきた」という経験が世代を超えて継承されていくことで、はじめて投資は根づいていくもの。そうやって日本に投資が浸透するように、私たちも尽力していきたいと考えています。

長年実践してきた「投資」スタイルとは?

― やはりキーワードは「長期」なんですね。竹山さんのキャリアとも関係があるんですか?

竹山:はい。私は1996年以降、一貫して「長期」と「分散」を意識した投資を行ってきました。

様々な資産を組み合わせることによってリスクを適正な範囲でコントロールしながら、長期を見据えて運用する「長期分散投資」は、運用会社などのプロの投資家の間では、実は当時から知られていた投資スタイルなんです。

長期目線と適正なリスク。これが理解できると、市場が不安定になった時でも「慌てて資産を売ってしまう」事態を避けながら投資できる。そういった考え方を、個人投資家の方や一般家庭にも広げていきたいと考えて立ち上げたのが、現在所属している組織「CIO(チーフ・インベストメント・オフィス)」なんです。

CIOの「投資」情報はどこで手に入る?

― SMBC日興証券のCIOは、個人投資家の間口を広げていますね。具体的にどうやって情報にアクセスすればいいんですか?

竹山:私たちCIOが四半期ごとに発行している季刊誌でご覧いただくことができます。投資家のみなさんの視点に立って、様々な市場に対する見通しであったり、実践的な投資戦略など、情報を多角的にまとめています。

多様な国・地域やマーケット、業界、それぞれの専門分野のメンバーが、独自に行った調査・分析をもとに緻密に作り上げているんです。

― プロが扱っている投資情報に個人でも触れられるのは、すごく学びになりそうです。

竹山:SMBC日興証券に口座をお持ちの方であれば、多くのレポートについてオンラインからでもアクセスできますよ。

全支店にも配布共有されているので、例えば、お客さまがわからない内容については、各支店の担当者を通じてご説明させていただくこともあります。そういった点は、当社ならではの「人」の強みだと思います。

AI時代、「投資」はどうなっていく?

― 素朴な疑問なのですが、「AI(人工知能)」の急速な進化によって、投資に影響はあるのでしょうか?

竹山:私たちも、AIやテクノロジーの進化に遅れを取らないように日々学んでいます。例えば、リサーチ作業のサポートやモデル構築などの領域で活用していくことは考えられますね。

ただ、すべてをAIに任せるということは難しい。長期の投資を考えるとき、お客さまそれぞれの将来設計や投資目的、価値観やものごとの判断基準など細かい部分をふまえて戦略を立てなければいけません。

AIを活用することは重要ですが、お客さま一人ひとりに寄り添った運用サポートは「人」だからこそできること。そこに私たちの存在意義があると思います。

日本のお茶の間に、もっと「投資」を

― これまでのお話を伺って、「投資」がより身近になったと感じました。最後に、竹山さんから読者のみなさんへメッセージをいただけますか。

竹山:よかったです!少しでも読者のみなさんのお役に立てたのならうれしいですね。

これから投資を始めたい、まだ始めたばかりの方にお伝えしたいのは、「しっかり腹落ちしたうえで投資をしましょう」ということ。

コツコツ学んで、コツコツ実践。そうやって自分なりに理解しながら投資していくほうが楽しいし、結果的に長く続くと思うんです。

― まさに今日はたくさん「腹落ち」できました。投資を勉強しようとすると、つい情報過多になってしまうので…

竹山:私たちCIOも、各支店のメンバーも、「情報が一方通行にならないように」という点はすごく意識しています。

たくさん情報があることも大事ですが、情報を出しっぱなしにするのではなく、お客さまがしっかり理解できるようにお届けすることも、私たちの重要な役割ですから。

一人でも多くの方に「できる範囲で今からでも始めてみようかな」と思っていただけるように、もっと投資の意義を広めていかなければと思います。

「貯蓄から投資へ」という考え方を広げて、日本のお茶の間で、投資の話題が当たり前のように出てくるのが理想ですね。CIOには同じ志を持ったメンバーが集っているので、これからよりいっそう精力的に推進していきたいと思います。また他にも質問があれば、いつでも聞いてくださいね。

編集部あとがき

CIO部長としてチームをマネージメントしながら、社内外向けに季刊誌の解説や勉強会も行う竹山さん。

証券に携わるメンバーを支える、まさに投資のプロフェッショナルですが、本当に些細な質問にも、丁寧に答えてくれました。最後までお読みいただいたみなさんの「腹落ち」につながっていれば、とてもうれしく思います。

今回は初級編としてお届けしましたが、さらに詳しい投資の話やおもしろさについても、今後のnoteでお伝えできればと考えています。

ぜひお楽しみに!


この記事が参加している募集

企業のnote

with note pro

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!