逆説

ビジモ図解でメルカリ山田CEOの“真意”とミッションを理解した |復習

Nサロンの #ビジモキャンプ 第2回(2/27)までの共通課題として,フリマアプリ「メルカリ」の図解を実践しました。
ビジネス構造の理解が進んだ(メルカリ,いまだ使ったことない)ことに加えて,メルカリのミッションである「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」の意味を思い知った話を書きます。
後半にブロックチェーンやら価値経済やらが登場しますが,最後にまたビジネスモデル図解の話に戻ってきます。

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「マーケットプレイス」とは

上述のメルカリのミッションに含まれる「マーケットプレイス」という言葉を目にする度,正直ピンときていませんでした。
メルカリ自身が「フリマアプリ」と銘打っており,いわゆる物々交換を指す広義の言葉がマーケットプレイスなのかな,程度にしか思っていなかったのです。
今でこそAmazon内に「マーケットプレイス」がありますし,米版facebook内にも「マーケットプレイス」機能がありますから,事実上,マーケットプレイスは一般名詞でしょう。
しかし,マーケットプレイスが「BtoB」のビジネスを指していたことがあったと知ったのは,図解用の調査中でした。

資料を1つ引用します。

マーケットプレイスとは
・Marketplace(e-Marketplaceともいう)。電子市場のこと。売り手と買い手が自由に参加できるインターネット上の取引市場で、当初は、主に「企業間電子商取引(B to B EC)」として期待されていた
・その応用分野は広く、自動車の部品から鉄鋼、建築資材、繊維、加工製品の原料などの調達に利用されている。
出典:https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/marketplace.html

BtoBも,挙げられている業界も,フリマとは程遠いように見えます。
逆説を考えるという観点では,何かにたどり着いた感覚がありました。

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マーケットプレイスを起点にしたら,めっちゃ逆説が効いた

結果,以下のような逆説を採用して,図解を進めました。

マーケットプレイスってふつう,BtoBで巨額な請求書決済をするよね。
でもメルカリは逆で,CtoCで小額な現金決済なんだ

改めて逆説を眺めると,メルカリの決済はエスクローですし,必ずしも現金払いではありませんね。
ただ言葉としては,見事に逆説の構造が成り立ちました(この点はレビュアーにも褒めていただいた)。

ちなみに,後述するように,今回の僕の図解フローでは逆説を最初にたくさん挙げていきました。

フリマってふつう,買い手と売り手でお金の受け渡しがあるよね。でもメルカリは逆で,お金は受け渡さないんだ
ネットオークションってふつう若者向けだよね。でもメルカリは逆で,高齢者の利用が多いんだ
ネットオークションってふつう,出品者の値付け以上でしか買えないよね。でもメルカリは逆で,出品者の値付け以下で買えるんだ

各種メディアの記事やブログから、「1ファクト→1逆説」のつもりで挙げていったのですが、まあ仮説レベルのものも・・・。
ともかく,自分の中ではこれら“小粒”な逆説に比べて,「BtoB→CtoC」という構造が最も重要そうに思えたのです。

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山田さん,もしかしてBtoB→CtoCを狙った?(妄想)

そもそもmercari事業を生んだきっかけは何だったのでしょうか。
メルカリの創業者である山田進太郎・会長兼CEOは,過去のインタビューにおいて,出自である「インターネットサービス」や,世界旅行中の「ソーシャルグッド」の観点を語っています。

■インターネットサービスの観点↓

ウノウもメルカリも同じく、「世界で使われるインターネット・サービスを創る」というミッションを掲げています。目標があって、それにあわせてテーマを選んでいく流れですね。
出典:https://careerhack.en-japan.com/report/detail/255

■ソーシャルグッドの観点↓

「資源をもっと大事に使っていく必要性があると思っているし、途上国の人も循環的な社会でみんなが総体として豊かになれる。」
出典:https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/01/0106.html

5本以上のインタビューを読みましたが,BtoBの観点は出てきていないようです。
しかし,過去の資料を漁ると,2000年代前半の時点でBtoBのマーケットプレイスは5〜10兆円の取引金額があり,CtoC市場の拡大も予見されていました。

2003年のeマーケットプレイスの取り引き金額は約7兆9000億円で、前年の4兆7000億円から67%の増加。BtoBの約1割がeマーケットプレイス経由の取り引き
出典:https://japan.cnet.com/article/20069191/

BtoBのモデルを,CtoCへ━━。
創業者である山田進太郎・現CEO兼会長の脳裏に,このような逆説が生まれたことはなかったと言い切れるでしょうか(妄想)。

まあ山田氏は,もともとCtoC自体に強い興味を持っていたとのことなので,あまりに当たり前だったというのが妥当な線ですが……。

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ブロックチェーンへの取り組みは,「新たな価値」の創造

さて,「CtoC」の文脈で考えると,メルカリの研究開発組織R4Dやメルペイが「ブロックチェーン技術」に取り組んでいるのも頷けます。

世間一般に知られるブロックチェーン(=パブリック型)とは,本当にざっくりいえば,個人(C)の力を仲介者(B)に対して相対的に強める技術だと言えると思います。
流行りの言葉でいえば,個人のエンパワーメントでしょう。

個人がエンパワーメントされた世界では,極論すれば,メルカリのような仲介者は,ほぼ不要になっていきます。
それなのに何故,メルカリはブロックチェーンに取り組むのか。
その答えが,以下のインタビューでも述べられているように

曾川:(中略)メルカリは価値経済なので、貨幣経済に依存しない形で共助の経済ができる可能性があると感じました。

「貨幣経済に依存しない経済圏」の創造にあるはずです。
価値経済圏を実現するのにブロックチェーンは適しています。
そして,この経済圏の実現こそ,メルカリがそのミッションでうたっている「新たな価値」だと思うのです。
もちろん,既存の貨幣経済の中でもメルカリが新たな価値を生んでいるのは明白ですが,中間者が不要になりうる次の時代を見据えているからこそ,メルカリはブロックチェーンに取り組むのでしょう。

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貨幣経済を超えた図解が見たいし,作りたい

最後にビジネスモデル図解の話に戻ってくると述べました。

現状のビジモ図解は“貨幣経済に止まっている”と言えるかもしれません。
ブロックチェーン技術は,貨幣経済(現・資本主義)におけるツールとして捉えられているようですし,例えばブロックチェーン技術を使ったSNS/メディアを運営する「ALIS」の図解もそうなっているように見えます。

でも本当はそうじゃない。
”本来のブロックチェーン”の思想に惹かれている人々(自分を含む)は,貨幣経済のアップデートを夢見ています。

このアップデートされた経済圏自体を図解することに成功したら。
貨幣経済と別のトークン経済圏のレイヤー関係を図解することができたら。
ビジネスモデル図解はそれ自体が「2.0」へと進化するんじゃないかと思っています。

参考:ブロックチェーンについてはこの記事が役立ちます。長文ですけど,noteも登場します。

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APPENDIX:メルカリ図解フロー

僕の図解フローはこんな感じでした。

①起点・定説・逆説の文を思い付いたら、Slackの自分DMに送る📨〔スキマ時間に。~2週間〕
②オフラインで一度あつまって共通資料を作成📃〔1h〕
③逆説の構造を1つ選んで、図解まで一気にガガガっと終わらす〔3h〕
④寝かす、他チームの取組を見る👀〔スキマ時間に。~1週間〕
⑤レビュー依頼🙏
⑥レビューを元に共通資料を足しながら手直し〔1h〕

単純だけどオススメしたいのは,Slackで自分とのDMです。
まあslackがビジモキャンプの標準ツールだと言うのもあるのですが,会話しているっぽいUIが自分の内なる対話を可視化する感じで使いやすいです。

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