EXテレビ「国際反戦デー」

日本映画の名カメラマン、宮島義勇が監督した「怒りをうたえ」。70年安保闘争を題材にした5時間に及ぶ記録映画である。

この映画を使って、「EXテレビ」を作ろうという企画が出た。

キャスティングしたのは、映画監督の大島渚さん、作家の野坂昭如さん、脚本家の佐々木守さん(「ウルトラマン」「ウルトラセブン」等の脚本)、元赤軍派議長の塩見孝也さん、作家の小田実さん、そして、シンガーソングライターの高田渡さん(自衛隊へ入ろう)である。

小田実さんの御自宅に電話して、御本人が出られたので、番組の主旨を説明しようとしたところ、猛烈な勢いで怒られた。アメリカで生活していた事がある小田さんはまずギャラを決めるのが最初、とおっしゃった。改めて、芦屋の御自宅に伺い、非を詫びた。

本番当日。上岡龍太郎さんの司会進行。この出演者でトークスタート。

塩見さんが元赤軍派議長として、自分の考える理想を扇動的に話すと、野坂さんが「今までにあなた方が起こした事を総括せずに、新しい行動を起こすのはおかしい」と猛反発。これには、塩見さんも黙らざるを得ない。

一癖も二癖もある論客が揃っているので、話は終わるどころではなく、ヒートアップするばかり。

このスタジオトークに、映画「怒りをうたえ」を差し込んでいくことになるので、ディレクターの僕もトークの進行に焦ってきていた。

その時、プロデューサーがサブに上がって来て、「2本に分けよう」と言ってくれた。ホッとした。1時間の予定の番組、終わってみれば、トーク部分だけで1時間40分回っていた。

あれから、25年が経った。ゲストの皆さんも全員鬼籍に入られた。

あの時の番組の様に、「国の将来を本気で論ずるトーク」を展開する番組をほとんど見なくなった。さすがに淋しさを感じる。

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