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9月の音楽レク【新米と秋の実】

9月になると、新米、栗など秋の味覚が話題に上がります。
入居者(利用者)も食べ物の話題にはとても敏感。
視覚と聴覚、そして想像力を働かせて、秋の味覚で
笑顔を引き出しましょう。

案山子

武笠 三(むかさ さん)作詞 作曲者不詳 明治44年

導入の歌は『案山子』です。
何と読むかご存じですか?
尋常小学唱歌です。
作詞家の武笠三は埼玉県の浦和市で生まれました。
実家は代々浦和市にある氷川女体神社の神主をしていました。
氷川女体神社は見沼田んぼの中にあります。
子どもの頃から、案山子をたくさん見て育ったのでしょうね。

蓑を付けた案山子のイラストは見つかりませんでした

案山子は田んぼの中に、突っ立って、じっと動かないで田んぼを見張ってくれています。
でも、子どもの心には、そんな案山子をからかいたくなるようなところがあるのでしょう。
そんな子ども心を歌った歌です。
足や聴覚に障がいのある方を揶揄している、などと批判的な声もありますが、
私はそんなことは決してないと思います。
純真な子どもの心を歌っていますね、と言って歌いましょう。

テンポがいいので、明るく軽やかな気持ちになります。
手拍子が出るかもしれません。
認知の重い方でも、必ず歌えます。

俵はごろごろ

野口雨情作詞 本居宣長作曲 大正14年

ここからは、お米を歌った歌を歌いましょう。
『俵はごろごろ』は童謡です。

歌詞は、どっさりこ、ざっくりこ・・というように
「〇っ〇〇こ」にあふれています。
とても親しみやすく、軽快な感じがしますね。

俵はごろごろ お倉にどっさりこ
お米が ざっくりこで
ちゅうちゅうねずみは にっこにこ
お星さま ぴっかりこ
夜のお空に ぴっかりこ

いねむりごろごろ 舟こぎぎっちんこ
こげこげ こっくりこで
おやおやお目目は ぱっちりこ
ちょうちん ぽっかりこ
鼻のちょうちん ぽっかりこ

雷ごろごろ いなずまぴっかりこ
夕立ち ざんぶりこで
洗濯 びっしょりこ
お庭も びっしょりこで
雨でお庭も びっしょりこ

昔は、穫れたお米は俵に入れて保管していました。
ネズミはそんな俵を狙っています。
なので、農家では猫を飼っていたのですね。

歌うのは1番だけでいいと思います。
このような歌も知らない世代が増えてきました。
楽しい歌なので、歌い継いでいきたいものです。

ずいずいずっころばし

わらべ歌

この歌にも、俵とねずみが出てきます。
今の若い人は知らないかもしれませんが、
私の子供時代、昭和30年代は、ふつうに天井裏にねずみが居ました。
天井裏を走り回っている音が聞こえたものです。
猫を飼っていなかった我が家は、もっぱらねずみ捕りにたよっていましたが・・


隣組

岡本一平作詞 飯田信夫作曲 昭和15年

この歌には「ご飯の炊き方 垣根越し」
という歌詞が出てきます。
戦争中(第二次世界大戦)は、隣組制度というものがあり、隣近所で助け合いをしたのです。
その他に、バケツリレーの訓練などもしたそうです。
いろいろと思い出して話をしてくれるかもしれません。
訊ねてみましょう。


里の秋

斎藤信夫作詞 海沼実作曲 昭和20年

ここからは秋の実について歌っていきましょう。
秋になる実にはどんなものがありますか?と問いかけ、
ホワイドボードに書いていきましょう。
栗は割と簡単に出てくるのではないでしょうか。

『里の秋』は戦後に書かれた童謡です。
高齢者は大好きな一曲でしょう。

1番、囲炉裏で栗の実を煮ているのは母さんです。
その側に子どもの自分がいます。
「ああ母さんと ただ二人」
2番では、栗の実を食べながら父さんの笑顔を思い出しています。
「ああ父さんの あの笑顔」
3番には椰子の島にいるお父さんの無事を祈っています。
「ああ父さんよ ご無事でと」
歌っている私たちも、父さんが無事に帰ってくることを祈ってしまいますね。


柿の木坂の家

石本美由紀作詞 船村徹作曲 青木光一 昭和31年

その次に上がるのは柿でしょうか。

『柿の木坂の家』も人気のある歌です。
乗り合いバス、機織りなど、今はなかなか見られないものが出てきます。
どんなものなのか、訊ねてみましょう。


白い花の咲く頃

寺尾智沙作詞 田村しげる作曲 岡本敦郎 昭和25年

柿、りんご、ぶどう、梨など秋の実の花は白い色をしています。
この歌自体は花が咲いているので、季節は春ですが、
柿の花は何色ですか?と問いかけ、この歌につなぎましょう。

『柿の木坂の家』同様、故郷や幼なじみの娘を懐かしがっている歌です。
このような望郷ものはこの頃の歌謡曲に多くありました。


どんぐりコロコロ

青木存義(ながよし)作詞 梁田貞(やなだ ただし)作曲 大正10年

歌詞の雰囲気から童謡のように思われがちですが、
青木は唱歌と言っているようです。
ただ、文部省唱歌には入っていません。

どんぐりは皆が知っている実ですが、食べられるのでしょうか?
訊ねてみましょう。
戦中戦後の食べるものがなかったころ、すりつぶして団子にして食べた、
という人がいました。


島育ち

有川邦彦作詞 三界稔作曲 田畑義男 昭和37年

「赤い蘇鉄の 実も熟れるころ」で始まるこの歌は
奄美大島の歌です。
2番には「黒潮黒髪(くるしゅくるかみ)」「女身愛しゃ(おなぐみぬかなしゃ)」といった方言が出てきますので、ふりがなをふりましょう。

ところで、歌詞に出てく加那さんですが、
西郷隆盛が奄美大島に島流しになっていた時に、結婚した女性が
加那(結婚した際愛加那と名前を変えました)という方でした。
調べても分からなかったのですが、なにか関係しているのでしょうか?

蘇鉄の実は見たことがない方が多いと思います。
タブレットなどで見せてあげましょう。


この道

北原白秋作詞 山田耕筰作曲 昭和2年

高齢者はこの歌が好きな方が多いように思います。
「ああ そうだよ」という歌詞がとてもいいですね。
1番と2番は、北原白秋が晩年に旅行した北海道が、
3番と4番は、母の実家である熊本県南関町から柳川までの道の情景が
歌われています。
短い歌詞ですし、最後まで歌わないと完結しません。
ぜひ4番まで歌いましょう。

実は4番に出てきます。
「山査子の枝も垂れてる」
山査子の実がなっている様子がわかりますね。

山査子はドライフルーツにして生薬として用いられるそうです。


くちなしの花

水木かおる作詞 遠藤実作曲 渡哲也 昭和48年

くちなしは親しみのある果実でしょう。
お正月の栗きんとんを作る時に、
クチナシを入れて煮るときれいな黄色になるのだそうです。



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