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蟻とわたし

こんなことがあった
テーブルの上を歩く蟻を見つけて
手で通せんぼをした

蟻はその手を避けて
先に進もうとした

わたしは更に行く手に
手を広げた
それでも蟻は触覚を上下させ
その手を避けて先を急いだ

だからわたしはとうとう
両手を使って彼のことを
牢に閉じ込めてしまった

彼は困ったに違いない
行く手が塞がり
おまけに真っ暗なんだから

君はこんな目にあったことはある?
上も下もわからない
壁に覆われて

それはひとは絶望ともいう
でも考えてもみて
君が蟻だったとしても
君の行く道に蓋をした人間は
最初は意地悪をしてやる
つもりだったかもしれない

でもずーっとずーっと両手を使って
君を閉じ込めておくわけにはいかないんだよ

君は塞がれている
でも君の存在が
相手の両手を塞いでもいるんだ

そんな時は相手が諦めるまで
やみの中で耐えるんだ
動くのをやめて
心配になって蓋を開けた瞬間に
逃げるんだ

光が貫くようにやってきた方へ

そして君を閉じ込めている
その壁が環境だったのなら
待つしかない

でももしひとがしていることだったら
くらやみの中で彼の手のひらに
噛みつくんだ!!
ガブリってね!