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6年〇組が授業してみた【Flipで算数授業動画づくり】

小学校教諭のsmyle(スまイル)です。
昨年度は6年生を担任していました。


ちなみに今年度は…
6年生です!(一昨日が始業式でした)

しかも異動だったので、飛び込みの6年生。
私の、育休エピソードの記事でも触れましたが、

やっぱり、みんな6年生を持ちたがらないから
転任組に6年生を任せる、というパターンが
多いのですね…
(2学級なのですが、ペアを組むもうひと方も、なんと転入者!)
2人とも、学校の文脈が分かっていないから
一昨日の始業式やら入学式準備やら、めちゃくちゃバタつきました。

この流れ、変えていかないとですね。


でも実は、
私は6年生を任されたこと、正直イヤではありません。

なんてったって、昨年度の経験が生かせますからね。
こうやってnoteに記している実践が、
今年度の自分を助けてくれるからです。
そして、
「この人なら6年を任せられる」と
思ってもらえた、ということでもあると解釈しています。
武者震いしますね。


ということで、
もう新年度に入っていますが、
昨年度の実践でまだ書き切れていないものを
書き記しておきたいと思います。
もしかしたら、誰か(と今年度の自分)の
お役に立てるかも、と思って。






⓪何より「Flip」を使ってみたかった


昨年度の6年生の算数、
とてもスムーズに学習を進めることができたので、
冬休みに入る前に
「算数のまとめ」単元まで学び終えていました。

残るは「中学校へのかけ橋」という
小学校で学んだ算数の「見方・考え方」を復習し、
また中学校の学習をちょっと先取りする、
まさに中学数学との接続をねらいとした、
40ページ程度の薄い冊子、のみです。

卒業までの残り2か月、この冊子を使って
どんな学習をしようか。


そうだ、授業動画を作ってみよう。


これまで、算数に限らず
学んだことをアウトプットする機会を多くとってきました。
例えば、プレゼンを作り、
個人でチームで発信する機会を繰り返し設けたので
伝え方もプレゼン自体の質も向上していきました。

そこで、今度は動画で発信するスキルを高めたいと思い。
「授業解説動画をつくる」をミッションとしました。


…という理由ももちろんあるのですが、
とにかく
「Flip」というアプリを使ってみたかったんです。

Flipの説明については坂本先生の記事にお任せします↓


私の自治体では、教育委員会が
いくつかピックアップしたアプリ一覧の中からしか
アプリをダウンロードできないのですが、
その一覧の中に「Flip」はありませんでした。

しかし、一覧に含まれていないアプリでも
「そのアプリの有用性をアピール」すれば
アプリ一覧に加えてくれるとのこと。

そこで、有用性を大いに語りつつ、申請したところ、
なんと使用許可が下り、アプリ一覧に加えてもらえました!
ありがとうございます!


(ちなみに、Padletも申請したのですが

「子どもがボードを作れるのがよくない」とかで
却下されています。どうにかしたい…)



①「授業動画」のイメージをもたせる


まず「動画動画」というものがどういうものなのか、
イメージを持たせるために
いくつかのYouTube授業動画を見せました。

YouTube全盛の子どもたちなので
授業動画も多くの子が一度は視聴経験があると
勝手に思っていましたが、
意外と子どもたちは見たことがないみたいでした。


そこで、私がピックアップした、
参考になりそうな授業動画をいくつか見てもらいました。

塾が運営している動画、小島よしおさんのおっぱっぴー小学校、等々。
そして何と言っても、葉一さんのYouTube。


②まずは自分で問題を解いてみる


授業動画を撮る、
つまり他人に教えるには、まずは自分が誰よりも
その内容を理解していなければいけません。

そこで、まずは自分で問題を解く、
解いたことで指導ポイント・つまずきポイントに気づく、
それを踏まえて指導の流れを考える。


授業動画づくりは、
個人でやっても何人かでやっても良いことにしました。
また、個人でやっている子も学びを個人で閉じずに、
他の子とも関わりながら
授業づくりを進めることを促しました。

1年間、そのような学び方の形を
繰り返しとってきたからこそですが、
各々が、自分の学び方を選択し、
自分で学びを進める姿は、とても豊かでした。



③動画作成アプリも選択制


いよいよ動画作成に入ります。

Flipは動画作成アプリなので、
もちろんアプリ内のカメラで撮影は可能です。

フィルターを掛けたり、背景を変えたり、GIF素材を入れたり、
着せ替えなんかもできたり。とにかく楽しい。

ぼくはくま©宇多田ヒカル

そう、この動画のデコレーションが楽しいのが
Flipの良さ…なのですが、

な・ぜ・か、学校のタブレットでFlipを使うと
それらの機能の一部しか使えないのです!

フィルターはかけられるけれど、
背景は変えられないし着せ替えもできない。
だから「ぼくはくま」もできない。

これでは正直、Flipの魅力半減です。
なぜこうなってしまっているのか、

Flipに詳しい方、もしご存じでしたら教えてください…


というわけで、子どもたちには
Flipでフィルターや画像を入れるなどして作ってもよし、
他のアプリで作った動画をFlipに取り込んでもよし、
という形で提案しました。


子どもたちが実際、動画撮影で使ったアプリはというと、
まずシンプル派は、ロイロノートを使い、
「教科書の画像を取り込み、書きこみながら解説する様子を画面収録」
のパターンが多かったです。

ロイロノートは毎日使っているし、
動画作成の負荷も低いので、凝り性ではない男子たちに人気でした。


あとは、やはりCanvaも人気でした。
どんなときでもCanvaな子は、当然動画もCanva。
フレームがあって、そこに動画と文字を挿入すればいいだけですから、
作業量に対する動画の質の高さは、さすがのCanvaクオリティ。


ただ今回、一番人気だったのは
キネマスター」という動画作成アプリ。

元々、自分の趣味の動画づくり(アニメ系・実況系)に
このキネマスターを使っている子が居て、
その子が「総合学習で学んだこと」のアウトプットなどで
このキネマスターを使い、その動画のクオリティの高さから
じわりとその良さが広まって、大人気に。

動画を切り貼りしたり、テロップや効果音を入れたり、
自分が描いたキャラクターがまさにアニメのように動いたり喋ったり、
「とにかくすごい」のですが、
なんでいつにも増して説明の語彙力がないのかというと、
このキネマスター、
私は全く使ったことがないのです。

子どもが、アプリ一覧から勝手に使いだし勝手に広まり
いつの間にやらすんごい質の高い(アニメーションとして)動画が
生産されるようになったのです。

私はその動画をのぞき込み、
「すごっ!」「そんなことできるの!?」とただ驚くだけ(本心)。


自分が分かっていないのに、子どもたちに手渡していいのか…
いいんです!

「自分が理解してから」なんて言っていたら、
その一歩目を踏み出すタイミングが、大きく遅れてしまう。
良いものはすぐにでも子どもに手渡して、
一緒に学んでいくくらいで良いのだと思います。
(まあ私は、キネマスター未だにノータッチで一緒に学んでないのですが)

キネマスター使いの中でも一人、とんでもない子が居て、
その子は自作のマンガを書くくらい、画力も構成力も高い、
さらには算数をはじめとした学力も高い子なのですが、
全員が「この動画のクオリティはすごすぎる…」
という代物が出来上がりました。
キネマスターマスター現る。

ちなみにこの動画アウトプットミッション、
連続で2回おこなったのですが、
1回目にその子の驚異の動画を見た他の子たちが、
影響されてキネマスターを使ったり、
良いところを「真似」して動画のクオリティを上げたりしていました。

手段を限定し過ぎず、良い成果物は共有する。
良いと思った子はマネして、自分の成果物の質を上げる。
この動画アウトプット学習、やってよかったと思いました。



④コメントやハートで相互評価


上記のように、なぜか学校のiPadだと
Flipの機能が制限されていて、
Flipの面白みがかなり減ってはいるのですが、
それでも「Flip」を使ったのは、
おたがいにコメントやいいねを送り合えるからです。

SNS世代、いいね世代の彼らの感覚にも
とてもマッチするだろうと。


子どもたちは動画を投稿し、そのうちの多くの子が
「いいねやコメントお待ちしています!」と書き添え、
実際に、もらえたコメントやいいねに
モチベーションを上げてもらえている。
ちゃんと見てくれたんだと思える。
頑張ってよかった、次も頑張ろうと思えている。
良い循環になっていたと思います。

動画撮影は、意識しないと相手が見えず
一方通行の一人語りになりがちですが、
コメントなどのフィードバックがあることで
相手意識が生まれ、動画の内容や伝え方も変わってくる。

さらには、コメントも送る側も
「コメントを送るために」という視点により
より焦点化された動画の見方ができたりする。

この点だけでも、Flipを使った価値はあったかなと思います。



⑤ただ課題もあった


出来上がった動画は
どれも素晴らしいものでしたし、
動画でアウトプットするというスキルも
とても高まったと思います。

ただ、少し不十分だったのは、
完成した動画をどう受け取るかという部分のデザインが
甘かったというところです。


私は、出来上がった動画をもとに
それぞれが自分のペースで、ときには友達と一緒に動画を見て
それをもとにノートなどにまとめ、学習をすればよい。
YouTube等の授業動画で学ぶということはそういうことだろうし、
塾などの映像教材も、まさに同じようなことだと思っていました。

ただ、今回は
「アウトプットする」活動ばかり子どもたちの中で肥大化してしまい
受け取る時のデザインの構築や、
どう受け取ると良い学びになるか、という部分への子どもたちへの語りが
足りていなかったし、今でも定まっていないところがあります。


今回は、動画作成の第1段が
冊子「中学校のかけ橋」の前半部分にあたる
「算数で見つけた考え方」
そして、この第1段の経験を踏まえた第2段が、後半部分の
「中学校へのかけ橋」

前半部分も後半部分も、
7つ、8つくらいに章立ててあるので、
そのうちの1つの章を選び、
その章の学習内容を教える動画を作成する、
という流れでした。

ということは、いざその出来上がった動画を見て学ぶとなると
前半部分を網羅するだけでも、少なくとも
7、8本の動画を続けて見なければならないということです。


動画世代の子どもたちですが、
それぞれの動画の長さが、10分に満たないとしても、
動画の連続視聴を通して
(しかも見るだけでなくノートを取るなど学びながら)
学び続けるのは、なかなかに集中力を要するようでした。

動画学習にしっくり来ている子もいたのですが、
「私、動画で学ぶの苦手です~」と
正直に話してくれた子もいました。

もし今後、また同じように実践をするのなら、
動画作成→その後、をしっかり描いて進めたいと思います。


それでも
「やってみた」からこそ見つかった、改善点。
けテぶれ回して、
何度でもチャレンジしていきます。

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