短編小説 私の味方

「ごめんね。守れなかった」


ある日、声が聞こえたんだ。それが夢の始まりだった。
「うっっ…ぐすっ…」
「大丈夫?泣いてるの?」
泣き虫だった私にとって1番の味方だったお人形から声がした。
「僕がいるよ。君は大丈夫だよ。」
それからはずっといっしょにいた。
最悪な日常。代わりはしないけど少しだけマシになったんだ。周りはそれを面白くなさそうにしていたし、親には「あの子人形と話してるわ、気味が悪い。」なんて言われていた。けど誰に何を言われてもこの子が居たから、周りなんて関係なかった。
でも…
「やめてっ。離してよ!」
「気持ち悪い。こんな人形。」

ボロボロにされた君。声はもう聞こえなかった。
また、独りぼっちになっちゃった…?
親は私を心配してやったことらしい。けど
「みんな敵だよ。私のためじゃない。お前らの自己満のせいで、私が崩れてく」
ボロボロになったお人形をなおしながら、独り言になってしまう言葉を呟く


「死ぬときも一緒だよ」
お人形を抱きしめながら、私は永遠の眠りについた。さよなら、悪夢。



-あとがき的なやつ-
対物性恋愛みたいなやつです。声は本当に聞こえたのか…救いを人形に求めるくらいには気を病んでいたのでしょう。「あなたのため」って残酷ですよね。わかってくれてないんだって失望するときもあります。誰かのため、が自分のためになっていたり、自己満足に巻き込むな!って言いたくなったり。
人形はいいですね。喋らないし、かわいいし、安心します。

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