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サクちゃんが聞いてくれたよ(出会うために動く)

前回の序章でも書いたが、私が一方的にサクちゃんを認知していた歴はざっと10年以上あるので、1回目の雑談はもはや推しとの長時間のオンラインファンミーティングだった。
ファンミは経験のない私だが、一般的にアイドルとのオンラインでのファンミは通常たったの数分で、ファンはそのたった数分に一生分の想いや願いや伝えたいことを布団圧縮袋のようにギュギュギュと、まるでブラックホールに入れた後のようにドス黒い塊にしてまとめ、思いの丈を一方的に推しにぶつける。ファンミ中は手汗だらだらで頭の中は真っ白になり、何で時間は止められないの、今この一瞬を永遠に、、、と今時カメラの広告にも使われない陳腐で何度も擦られてきたことを皆当たり前のように思うのだろう。


ところが今回の私のサクちゃんファンミはなんと90分。
しかもあと残り4回もある。こんな素晴らしいことがあるだろうか。
サクちゃんとの雑談に当選してから約1ヶ月ほどあったので、何を話そうか本当に悩んだ。なんせ思いの丈は10年分あるのだから。


私は元々友達が少ない人生だったが、女性特有のこの年代の独身結婚問題や、自分から連絡を怠ったせいで、ゆっくりと年月をかけて1人離れ、また1人離れ、今や0人となった。
年月をかけて友人が消えていく中、結婚で地元を離れ、子が産まれ、ママ友というなんだか得体の知れないものの中に勇気出して飛び込んでは見たものの、仲良くなれたと思っていた人が実は私の一方的な片思いだと知った時のぬか喜び。
悲しいより悲しいことはぬか喜びだとカルテットのまきさんも言っていた。


この地に来てから10年以上になるが、こと友人関係においては、空回りして、人間不信になり、勝手に自分から孤立して、気づけば私はひとりぼっちになった。
明るいことがない10年だった。
一言で言えば、「つらい」。
慣れない地で頑張って奮闘したつもりだったが、なんだかずっと友達関係がつらかった。
今も現在進行形でつらいけれども。


そんな今や友達0人の私が得られた雑談の機会は、喉から手が出るほど欲しいものだった。
この10年をかけて築き上げてしまった人間不信による自分自身の生き方の悩み、人に対しての悩み、物事の考え方の悩みは、今や超未来型都市のように隙間なく堆くどこまでも広がっていて、それを安心して話せる人がいないせいで都市開発ができず、何から手をつけたらいいかわからない状態だった。


果たしてこんなどす黒いものを推しのサクちゃんにぶつけてしまっていいものか、、、と悩んだが、せっかく得られた奇跡のような機会。思う存分に推しを堪能しようではないか。
「サクちゃんならどう思う?」
聞いてみたいことが山のようにあった。


実際に動いているサクちゃんと画面越しに対面した時に思った事は、「サクちゃんが動いて私と話をしている、、、!私を認知している、、、!」というオタク根性丸出しのものだった。手汗はダラダラ、頭は真っ白。何を話しているか途中から迷子になってしまうほど、私は浮かれていた。


そんなテンパっていた状況でも印象に残っているやり取りがある。
漠然とアウトプットをしたい思いがあるが、継続できないと相談した時だった。
友達0人の自己肯定感低い私は、漠然と【認められたい】という気持ちばかりが、手に負えない魔獣のようになり、とけない呪いにかかってしまっていた。
何でもいいから認められたい。
私が存在する価値が欲しい。
こんな私でもいていいんだと自分で自分を肯定したい。
その為の手段として、好きなイラストやnoteを頑張ってやっていたが、反応がない事に虚しくなってしまい、続かないのだという悩みをサクちゃんに聞いてもらった。サクちゃんはコロコロ笑い、そんなもんだよー私も意地で書いてたよ、とサラッと認めてくれた。私はびっくりした。サクちゃんみたいな選ばれた人は、元々才能があって、人脈もあって、シングルマザーという大変な環境ではあるけれど、きっととんとん拍子でここまできたのだろうと思っていたからだ。サクちゃんが最初にnoteに書くきっかけこそ仕事上で友達になった人がcakesの人だったというものだが、「毎日書く」という目標を自分自身で決めたとのこと。言葉がうまく出ない日もあったけど、でも毎日書くと決めたから、意地で書いていた事も多くあったらしい。
そういえばサクちゃんは3年間意地で作っていた高校生のあーちんへのお弁当を、毎日意地で#あーちん弁当としてInstagramにあげていたと後にInstagramで語っていた。あの人の意地は生半可な意地ではない。甘くみてはいけない。そんなサクちゃんは爽やかな笑顔でサラッと私にこう言った。


「出会いたい人に出会うために書くんだよ」


私の目から大量の鱗が滝のように落ちた瞬間だった。この一言をもらえただけで、私はこの雑談に申し込んで本当に良かったと思っている。
反応がないから虚しい。
有名になりたい。
認めてほしい。
そんな打算的な考えで書いていた自分が心底恥ずかしくなった。
余談だが、サクちゃんはスーさんが以前から好きだったらしく、過去に紹介してもらえる機会があったそうだ。けれど、それじゃただのファンに成り下がってしまう、とその機会を断ったそうだ。今じゃない、と。まだまだだ、会うべき時は今じゃない。


そしてサクちゃんは後にスーさんとポッドキャストの番組を持つまでになった。
すごい。すごいよサクちゃん。脱帽だよ。
私もサクちゃんみたいになれるかな。打算的ではなく、純粋に出会いたい人に出会うために。


屋久杉のような深い深い根を張ったサクちゃんを前に、まずはタンポポを目指そうとちっぽけな私は拳を握った。


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