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1000日チャレンジ 495日目 PARCO劇場『桜文』観劇記録(一部ネタばれあり)

ゴールまで505日

★BMI:24.1

★昨夜、東京渋谷のPARCO劇場で上演された『桜文』を観たので、観劇記録を残しておきたい。

パルコ・プロデュース2022『桜文(さくらふみ)』
作;秋之桜子 演出;寺十吾
出演;久保史緒里(乃木坂46) /ゆうたろう/松本妃代 石田圭祐 阿知波悟美 加納幸和 木村靖司 有川マコト 塾一久/石倉三郎 榎木孝明 他 
企画制作:パルコ/二ベル  製作:株式会社パルコ
あらすじ(official web siteより引用);
明治後期(今から110年ほど前)、激動の時代の吉原遊郭。当代随一と謳われる花魁、桜雅(おうが)は、その妖艶な佇まいとともに、決して笑顔を見せないことでも、その名を知られていた。何とか桜雅の笑顔を引き出そうと、当代きっての大店、紙問屋の旦那、西条宋次郎(さいじょうそうじろう)は、その財力で豪華絢爛、贅を極めた花魁道中を開くことに。
一方、吉原のような世界とは全く縁のない堅物で生真面目な若き小説家志望の霧野一郎(きりのいちろう)に花魁道中の記事を書かせようと、新聞社が白羽の矢を立て、見物に参加させていた。全く笑わない桜雅を目の前に、霧野は、純真な心で思わず『笑ってください』と、叫んでしまう。途端に、『なぜ…』と発しながらゆっくりと倒れていく桜雅。混迷する花魁道中、騒然となる大勢の見物客。
それは、決して思い出さないように心の奥深くに閉じ込めていた想いが、一瞬にして呼び覚まされてしまった瞬間だった。桜雅がかつて花魁の見習い、雅沙子(まさこ)として過ごしていた頃、心から想いを通わせ合っていた少年、仙太。二人の淡く儚はかない初恋の想いと残酷な顛末てんまつ。仙太と同じ目を霧野は持っていたのだった。
花魁道中で笑顔を引き出せそうもなかった西条は、桜雅が突然意識を失ったことで体面が保たれた、と霧野をかばい、匿う。果たして、この奇妙な出会いがもたらす運命とは?物語の歯車が動き出す......。

★シンプルな舞台装置ながらテンポよく場面転換して、疾走するかのような序盤。花魁道中前のベテラン俳優陣の会話劇は見事。ただ、ここまでは、PARCO劇場なのか?明治座なのか?といった既視感も否めなかった(ごめんなさい、そういうものだと思っていなかったというだけであって、明治座さんを悪く言うつもりはありません。何度も観劇させていただいています)。花魁・桜雅が登場してから、だんだん物語に引き込まれていく。明治の終わりと昭和初期の2つの物語が行き来しながら進んでいき、照明や舞台装置の演出も観客を話の中にしっかり留めさせてくれる。休憩をはさんで、いくつかの謎が解かれ(観客にとってのという意味)伏線が回収されていく。最後は胸が締め付けられるような結末に衝撃を受けた。良い作品に出会えたと思う。
★若さゆえの過ちが誰かの死につながってしまう悲劇。若さゆえとはいえ、誰かのためを思って、という押し付けは自己満足でしかないことが多いんだよなぁ。物語はだいたいそうだけど、情報の不均衡というか、誤解から生じる悲劇は、全部を観てしまっている観客には重たくのしかかってくる。吉原という隔絶された世界が生み出す悲劇はよりいっそう悲しい。
◎主演の久保史緒里さん。素晴らしい女優さん。数年前の『三人姉妹』、最近では『夜は短し歩けよ乙女』での演技も素晴らしかったが、今回はさらに笑わない花魁という設定のなか、複雑な心理をしっかり伝えてくれていた。これから先も楽しみな女優さんだ。アイドルを全うした後、舞台女優として活躍してほしい。
〇少し残念だったのは、花魁になる前の女学生だった時の雅沙子のメイクが花魁の時とあまり変わらないように見えたこと、時代の行き来き時間的な余裕がなくて仕方ないのだとは思うが、もう少し対比があれば、花魁としての初めての日を迎えるときの彼女の悲しみがより際立っただろうに、と思った。
★2役を演じたゆうたろうさん元気ですがすがしい。花魁役の松本妃代さんも素敵だった。


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