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PARCO劇場 PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』観劇記録(一部ネタバレあり)

【日時】2024年3月22日(金)18:30開演
【会場】PARCO劇場
【原作】アルトゥル・シュニッツラー
【作】山本卓卓
【演出・美術】 
(以下、公式web siteからの引用)
東京のリアルを生きる“男”と“女”。
あなたのそばにある10の情事を髙木雄也と清水くるみが、一人5役で魅せる!

大注目の山本卓卓(作)×杉原邦生(演出)が問題作「輪舞」を東京版に!
オーストリアの劇作家アルトゥル・シュニッツラー(1862-1931)が1900年舞』(La Ronde)。
19世紀末の世相を背景に、男女の情事前後の会話をリレー形式で描写した本作品は、当時の性道徳や階級理念に反していたために、上演を巡っては法廷論争まで引き起こしました。しかし、人間の普遍的な関係性と欲望を描いた本作品は、時代が変わっても支持され続け、1950年、64年、73年と三度映画化され、93年にはオペラ化もされています。
映画『ダメージ』(1992)、『めぐり合う時間たち』(2002)でも著名な英国の巨匠、デヴィッド・ヘアー(1947-)は、本作品を20世紀末の英国に移して翻案。『ブルールーム』というタイトルで、ロンドンとブロードウェイで1998年から1999年にかけて上演しました。この舞台はサム・メンデスが演出、ニコール・キッドマンとイアン・グレンが女性男性5人ずつを演じ、世界的な話題を呼びました。
日本でも、2001年のT.P.T.公演などで上演されています。
本公演では、この普遍的な問題作『輪舞』(La Ronde)を「現在」「東京」に翻案し上演致します。
台本は、注目の劇団、「範宙遊泳」を主宰し、22年に『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞した山本卓卓。
演出は、プロデュース公演カンパニーKUNIOを主宰し、演出家・舞台美術家として活躍する杉原邦生。KUNIOによる『更地』『グリークス』などの上演に留まらず、木ノ下歌舞伎をはじめとするさまざまなプロデュース公演で高い成果をあげてきた杉原が、2021年の『藪原検校』以来3年ぶりにPARCO劇場に帰ってきます。」

【感想】2幕約3時間の上演時間がとても短く感じた。10組のカップルの情事がリレーのように、まさに輪舞するかのように連なっていく。そして、その10組を髙木雄也と清水くるみが全て演じる。すべてが同じ時間で進んでいるわけではないが、時間軸はややあいまいな描かれ方のように思う。(ある情報で明らかに時間の前後がわかる場面はあるのだが。)男女のカップルだけではない、LGBTQといった現代的な状況も反映されている。これが、東京の現在なのだろうか?少なくとも私の周囲で起きていることとは、離れているような気がして、何か浮遊感というか、地に足がついていない物語のように感じた、というのが正直な感想だ。もちろん、一つ一つの物語は、どこかで起きていそうな話なのだが、10個揃えられてしまうと、現実感を失わせてしまっていたように思う。それとも、私自身が現実から離れてしまっているのだろうか?
主演の2人は、それぞれの役を演じ分けていて素晴らしい。とくに清水さんのメリハリの利いた演技は圧巻だといっても過言ではない。
上演前のアナウンスでも、ロビーの掲示でも、「劇中で喫煙シーンがあること。使用しているのは茶葉スティックで人体には安全であること。」が観客に告げられいた。でも、劇中ではもっと刺激的なもの(ドラックの吸引シーン)も描かれている。こっちは、エクスキューズしなくていいんかい!と思ったのは私だけだろうか。まあ、そこで本物を使っていると思う人はいないからということなんだろうけど、東京は、まだ、それをアナウンスしなくても良いような環境であるということなら、少し安心できる。


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