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東京富士美術館 常設展「東京富士美術館所蔵西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」 

【開催場所】東京富士美術館
【会期】 2024年2月24日(土)~2024年3月24日(日)
【主催】 東京富士美術館:本館・企画展示室1〜4
【主催】東京富士美術館

特別展「源氏物語 THE TALE OF GENJI ─「源氏文化」の拡がり 絵画、工芸から現代アートまで─」を観に行った際に、常設展も観てきた。ずっと気になっていた美術館だが、近くて遠い(私の家からはアクセスがちょっとめんどう、という意味です)ところでした。
今回初めていってみて、お宝たくさんでびっくり。平日午前中だったので、小学生が課外学習で来ていたのだが、西洋絵画の入門にはちょうどいい、というか、むしろ贅沢すぎる場所かと思う。
ほとんどの作品が撮影可能だったので、いくつかお気に入りを紹介しておきたい。

◎ジョルジュ・ド・ラ・トゥール『煙草を吸う男』(1646年/油彩、カンヴァス)
ラ・トゥールさんは、明暗を強調した画風が特徴。そういう意味ではカラヴァッジョに影響を受けたのかもしれない。でもカラヴァッジョのような劇的な場面というよりは、とても静かな画面が多いように思う。この絵もとても静かな感じ。それにしても太い煙草やね。。

煙草を吸う男(東京富士美術館蔵)

◎ジョセフ・マラード・ウィリアム・ターナー『ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号』(1832年/油彩、カンヴァス)
はい、風景画の代表選手ターナーさんもありましたよ。この絵は1688年のイギリス名誉革命の際にオランダが差し向けた艦隊の一部とのこと。ようするに歴史画なのだが、もうすっかり現在の絵のように写実的に描いている。波の表現が素晴らしい。

ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号(東京富士美術館蔵)

◎ウジェーヌ・ドラクロワ『オランのアラブ人』(1834年/油彩、カンヴァス)
ドラクロワの作品が2つ上下に配置して展示されていた。両方とも40cmほどの小さめの作品。こちらは、地中海に面したアルジェリアの港町オランの風景のようだ。小さい画面の中にもアラブ人の衣服の白と褐色の肌の対比が鮮やか。

オランのアラブ人(東京富士美術館蔵)

ウジェーヌ・ドラクロワ『手綱を持つチェルケス人』(1858年頃/油彩、カンヴァス)
こちらのチェルケス人というのは、ヨーロッパとアジアの境に位置するコーカサス地方(現在はロシア)の人のようで、奴隷として重用された歴史がある。この絵でも白馬の白、鞍の青、衣装の赤など鮮やかな色彩が心地よい。

手綱を持つチェルケス人(東京富士美術館蔵)

◎アルフレッド・シスレー『牧草地の牛、ルーヴシエンヌ』(1874年/油彩、カンヴァス)
ルーヴシエンヌは、パリの西方30キロにある小さな村。シスレーはここに移住して風景を描いた。遠近法のきいた風景画のお手本のような作品。

牧草地の牛、ルーヴシエンヌ(東京富士美術館蔵)

◎ピエール・ボナール『若い女』(1905年頃/油彩、カンヴァス)
最後は、大好きボナールさん。比較的小さな(70.5×46.7cm)作品。ボナールと言えば、色数が多くて派手目な画面という印象だが、こちらの作品はおとなしめ。モデルの若い女の人の少しはにかんだような表情が魅力的な作品だ。

若い女(東京富士美術館蔵)

※この他、ユトリロ、モディリアーニ、キース・ヘリング、イヴ・クラインなど近現代の作品もたくさん展示されていた。コンパクトながら、満足感の高い美術館だった。
この美術館のwebの収蔵作品紹介は、とてもよく整理されていて解説もわかりやすく、とても好感が持てる。

★ミニ知識★
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール:Georges de La Tour
(1593―1652)フランスの画家。
ジョセフ・マラード・ウィリアム・ターナー:Joseph Mallord William Turner(1775―1851)イギリスの画家。
ウジェーヌ・ドラクロワ:Ferdinand Victor Eugène Delacroix, 1798ー1863)フランスの画家。
ピエール・ボナール:Pierre Bonnard(1867ー1947)フランスの画家。







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