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AI人材になる この先の未来の生き方

前回、AIがもたらすオフィスの変化では、AIのオフィス進出が仕事の抽象度を高め、組織構成の変化をもたらすと考察しました。また、その変化に対応するために必要な5つの素養も紹介しました。後編では、この素養を育てるために、今私達にできること、に焦点を当てて考察していきます。


同僚のAIとうまく付き合うために必要な素養

簡単に前回記事をおさらいすると、AIに仕事をさせるためには、1)AIとのコミュニケーション能力が新たに必要で、AIの仕事を管理するためには 2)答えを知っている(もしくは導き出す力)が私たちに求められます。その答えを知るためには学習期間が必要なわけで、究極的には人から教えてもらうことになるので、3)人に愛される人格も引き続き大切です。また、教える側も適切なAI人材を育てる必要があるため4)AI人材の育成力が不可欠で、AIの出現により仕事全体の抽象度が上がるため、これまで以上に5)抽象的思考力が求められます。

AI人材の創出

AIとのコミュニケーション能力とAI人材の育成については、AIがどの様に設計され、学習する機能を有しているのか構造を理解することで、AIがわかりやすい話し方、AIの活用方法、AI人材の育成方法が見えてくることでしょう。これについてはボリュームが大きくなりすぎるので、元文系商社マンの私がどの様にエンジニアへ転身していったのか、学習方法や着眼点を別の記事でご紹介させていただきたいと思います。

答えを導き出す力

アメリカでは州ごとに教育内容の判断や資金提供が違うため、住む場所によって教育水準が異なりますが、日本の教育システムは全国的に定型化されており、どこに住んでいても一様の義務教育を受けることができます[参考文献]。ちなみに、教員の採用や配属は市町村に決定権がありますが、仮にその市町村が資金不足等の問題がある場合には、その権限が都道府県レベルに権限委譲されるようセーフティネットが敷かれています。

また、シンガポールでは学力の高低に応じてクラス分けされます。教育環境が学習に与える影響は、感覚的にも科学的にも理解されている[参考文献1][参考文献2]ため、毎年行われるクラス分けは、バイアスを産みます。語弊を恐れずに言えば、日本では中学までちゃんと勉強すれば、高い教育を受ける道が残されています。

Reviews of National Policies for Education, Education Policy in Japanより抜粋

また、日本の算数や識字率は世界的に評価されているそうです。私は日本で幼少期から27年間過ごしましたが、この記事の導入で評する通り「試験を中心とした教育システムである」が故に、想像力や固定観念に縛られない発想力が育まれづらい一方で、日本では「正解を導く力」はつくと思います。これは多くの日本人の方々も、ご自身の経験からうなづけるのではないでしょうか。

AI時代に求められる人格形成

多くの研究がなされている分野ですが、人から好かれる人格、人付き合いがうまくできるできない、は幼少期の育ての親との経験に起因するとの考えられてます。極端な話、幼少期に泣いていた時親に抱っこされたかどうか、すら関係する様です。

よく叱ってばかりいたり、子供に関心を示さない親のもとで育った子供たちは、大人になっても自尊心が欠如してしまったり、不安に襲われる、激昂する癖があったり、人間不信になる傾向があることが様々な研究結果や専門家からも示されています[参考1][参考2][参考3][参考4]。

平たく言えば、激しい受験競争に向けて正解を導く力を欲するあまり、子供の精神的な部分に向き合わなかったり、80点取ったのを褒めるより20点失ったと叱ることが、大きなリスクを伴うと言うことです。このことからも親として未来を担う自分の子供にできることは自明でしょう。

現代社会は共働きや通勤、受験競争の激化により、子供の精神的な部分へ向き合う機会が奪われやすい環境にあります。しかし我々親世代が今できることは、子育てへのアプローチに信念を持って向き合っていくことだと断言できます。詳しい心理学から見る子育てについては、別の記事でまとめようと思います。

抽象的思考力

抽象的思考力は、創造的な活動や思考をする中で、訓練的に育組むことができます。先の「答えを導き出す力」項でも触れましたが、日本では正解を導く力が育ちやすい一方で、抽象的思考力は育ちづらい環境にあります。

友人や同僚との会話でも「高校はここに入って、大学はここに行って、大企業に入れる」「お金貯めて車・マンション買う」「〜に旅行行く」等、物質的な話が多くなり、具体に目が行きがちです。将来どんな人間になりたいか、どう自己実現したいか、その手段はなんなのか、とメタ思考から具体論に落としてみるのも良いですし、車買いたいんだという友達がいたら、「どうしてなの?」と聞いてあげるのもメタ思考を助けますね。

余談になりますが、私はアメリカで車を買いたいと考えています。本当はレンタカーの方が安く済みますが、思いつきで出かけることができたり、予定を流動的に変えたりできる「小さな自由」が私の人生にとって大切な要素なので、車を買いたいと思ってます。結論だけ見ればただの物欲の話ですが、この理由付けに至るプロセスはメタ思考のを経ていたので、具体例に出させていただきました。

また人との関わりからも抽象的思考力は発達します。「人の気持ちを思んばかる」能力や共感力は抽象的思考力の表れです。空気を読む力は我々日本で育った人間が体得する世界でも珍しい能力です。想像力を働かせ、相手の置かれた状況をメタ認知することで、他人の思い=空気を感じ取れるわけです。元々AIの話をしているのに矛盾するように聞こえるかもしれませんが、人との関わりを通じることで、AIと共存する時代へ備えることができるわけです。

まとめ

AI共生時代に向けて私たちが、今からできることを見ていただきました。意外なことに家族や友人との人との関わりが多くをカバーしていることを感じ取っていただけたら幸いです。

次回号以降では、文系商社マンだった私がエンジニアになるまでに辿った学習法や、心理学から見る子育て、不安やストレスとの付き合い方、について紹介していきたいと思っています。


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