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推しが退場しても見続けられる魅力

進撃の巨人は登場人物がどんどん物語から退場していきます。
作品の特性上、それは仕方ないことだと覚悟はしていましたが実際その時が来た日はものすごく落ち込みました。
でも毎月欠かすことなく本誌を読み、最終回まで見届けることができました。
それは単純に進撃の巨人のストーリーが引き込まれるものだったからだと思っています。
「このキャラが好き!」という特別がいてもどのキャラにも感情移入できる部分が最初から最後までありました。
それってすごいことじゃないですか?


私の推しは…

調査兵団13代団長 エルヴィン・スミスです。
最初は推しとかなく読んでいたんですがリヴァイ兵長とのやりとりで一気に落ちました(笑)
エルヴィンのことを話し出すといつもドン引かれるのですがここに記したいと思います。
お暇な方はお付き合いください。

エルヴィン・スミスとは

先ほども触れましたが調査兵団の13代目団長を務めていた方です(ちなみに前回の記事のキース・シャーディスは12代目団長です)
初登場は原作・アニメ共に「二千年後の君へ」。
身長188cm、体重92kg、10月14日生まれでアニメのCVは小野大輔さんです。
一人称は「私」ですが気を許した一部の仲間の前では「俺」になり、口調や態度も多少砕けたものになります。

分隊長時代(悔いなき選択)

本編ではなく、スピンオフで語られるのですがリヴァイと出会った頃のエルヴィンはまだ分隊長でした。
地下のゴロツキだった当時のリヴァイの能力に着目し、万年人員不足の調査兵団に入団させます。

詳しく知りたい方は↓

共に地上を目指した仲間を壁外調査中に失ったリヴァイはエルヴィンに刃を向けますがそれを正面から受け止め「私の部下を、お前の仲間を殺したのは誰だ?」と問いかけます。
その後のやりとりで我に返ったリヴァイはエルヴィンの元に下る決意を固めました。

「悔いなき選択」はアニメにもなっていますがエルヴィン推しの私は断然コミックをおすすめします!!

と言うのもコミックとアニメではエルヴィンのセリフが全く異なり、アニメの方は失意のどん底にいるリヴァイを奮い立たせるには弱いなと感じるから。
コミック版ではリヴァイの痛みに寄り添いつつ語りかける感じでしたがアニメはただ突き放したように映ってしまって……性格変わった!?感がすごいんです…。
なのにリヴァイはついていっちゃうし「おいおいおい、それでいいのか!?」です(笑)
推しだからこそあそこは絶対に変えないでほしかった…!
小野D(小野大輔さんの愛称)の美声で聞きたかった…!!と未だに悔しいところです。
映像や音楽は素晴らしいんですよ!?だからこそ余計に無念さが……。
この話、友人には何十回としました(笑)

調査兵団団長としてのエルヴィン・スミス

類まれなる頭脳とリーダーシップで兵団を率います。
前例のない作戦を立て、それを実行に移す力も持っています(その結果、多くの犠牲者が出たのも事実ですが)
分隊長時代にゴロツキのリヴァイを調査編団へ引き入れるという荒業を使いましたが団長になったエルヴィンもまだ何者か分からないエレンを調査兵団員として迎え入れます。
部下からの信頼も厚く、必要とあらば自分の命も平気で差し出します。
エレンが攫われた時、リーブス会長殺害容疑で身柄を拘束された時、最終奪還作戦の時などなど(頭の中に策はあったとはいえ)何度も命の危機を迎えました。
それでもなお先頭に立ち、兵士らを奮い立たせる姿は調査兵団を率いるに相応しいものでした。

個としてのエルヴィン・スミス

人間には必ず表の顔と裏の顔がありますよね。
裏というと悪いものに聞こえますがエルヴィンの場合は「素の自分」と表現するのが正しいかもしれません。
人類のために戦う完璧な団長であった彼は実は「子どもの頃に抱いた疑問」の「回答」を追い続ける少年の心を持ったまま大人になった人でした。
最終奪還作戦の戦場で、まさに兵士たちが戦っているその場所で、エルヴィンは「今までずっと自分の夢のために戦っていた」とリヴァイに打ち明けます。
それを聞いたリヴァイは「お前はよく戦った」「夢を諦めて死んでくれ」と返します。
私はエルヴィンが語っている内容を聞いても彼が本当に私利私欲のためだけに仲間をコマにし、騙したとは思えませんでした。
全てリヴァイが代弁してくれたのですが調査兵団団長としての彼も、小さい頃に抱いた疑問の答え合わせがしたかった彼も確かに「エルヴィン・スミス」という一人の人間でした。
それをリヴァイに認めてもらい、最後は「調査兵団団長」として兵士達と共に命を捧げる選択をします。
その人間らしさこそエルヴィンの最大の魅力だと私は今でも思っています。

白夜(コミック21巻収録)

エルヴィン退場回ですね。
もう本当に辛くて辛くて…コミックやアニメでは未だに見返すのすら怖いです。
二次元のキャラクターにここまで思い入れることってなかったので時々自分でも戸惑います(笑)

最終奪還作戦前にエルヴィンは巨人化能力を得られる薬を入れた注射器をリヴァイに託していました。
使えば誰か一人救えるそれの使用権はリヴァイにありました。
目の前には瀕死のエルヴィンとアルミン。
エルヴィンを救おうとしたリヴァイでしたが注射を打とうとした瞬間に手を挙げ「先生(エルヴィンの父親)」に質問をし始める意識のないエルヴィンを見て「もう休ませてやらねぇと」という結論に至ります。
結果アルミンが巨人化能力を得て、息を吹き返しました。
前項で「エルヴィンは調査兵団団長である自分を選択した」と書きましたが本当の最期には子どもの頃の自分に戻っていたんですね。
注射器を渡された描写が出た時点で「あ、これヤバいな」と思いましたし、最終奪還作戦前の決起会でエレン・ミカサ・アルミンの話を兵長がこっそり聞いているシーンも描かれました。
選ばれるのはアルミンだと分かってはいたけどいざ推しの死が目の前に迫ってくる恐怖は今も言葉では言い表せません。
だけどここまできれいな幕引きを用意してもらえたことは諌山先生に感謝しています。

最終回を迎えるまで

エルヴィンは地下室に行くことも、壁の外を見ることも叶わずその生涯を終えました。
人類VS巨人のターンが終わり、人同士の戦争のお話が始まった時「エルヴィンがここにいたら」と何度も考えました。
実際ハンジさんやアルミンもそう口にすることもありました。
しかし物語が進むにつれて目の前で戦っているキャラクターの生き様をしっかり見なくてはという気持ちに自然となっていきました。
私がエルヴィン推しかつ同担大歓迎な人間なので私の周りにはエルヴィンの退場と共に進撃から去ってしまった友人も数人います。
それはそれで友人たちが選択した道なので無理に引き戻そうという気にもなりませんでした。
強制されて目を通すものでもないですしね。
ただまた何かのきっかけで最終回まで読んでもらえると嬉しいなという感情はずっと持っています。
進撃は誰か一人大好きなキャラを通して物語を見るのもいいし、たくさんのキャラを通して見ることも可能です。
そこが作品の面白さであり、深さなのかなぁと勝手に解釈しています。





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