具体的な話

仕事へは、5弦がいいのでdragonflyのCHB5-345を持っていきます。34.5インチはf-bassがポピュラーにしましたが、国産でやっているところは少ないです。35インチは無理なので妥協できるかと思いましたが、やっぱり長時間の連続演奏で、徐々に精度が保てなくなるのを実感しました。昔にもFを始めadamovicも34.5だったので体験済みであり、わかっていたのですが、時々こうやって音がいいからと無理を押して買ってしまうことがあります。

dragonflyの満足度は、実際は高くて、気に入っているのは間違いないけれど、その振れ幅と同じくらい不満があって、それがスケールとネックの幅です。細いネックがいい、と言っているのは厚みではなくて幅のことです。左手の疲労度、私の演奏の仕方によるものですが、このサイズに耐えられない。それを本当に肝に銘じなくてはなりません。今も私は、性懲りも無く35インチの海外製のベースをいいなぁと思ったりするので、勢いで買ったりしては駄目です。

というわけで、重量4kgも大切な基準ですが(時々重いのを買いそうになる)、ネックの幅についても明確にしておくことにします。楽器の悪口を言うつもりは全く無くて、単純に、サイズ違いを買わないための覚え書きです。服や靴と一緒。それでは…。

私が所有するdragonflyのネックは、実測でナット47.35mm、12fで66.0mm、21fで73.85mm、24fで75.8mm、ブリッジ上の弦間は18mmです。

それまで使っていた(今も所有)のcrews maniac soundのBe Bottom' 21は、まさにネックプロファイルが気に入り、sadowsky NYC 24から乗り換えました。こちらがナット46.6mm、12fで65.0mm、21fで72.5mm、弦間はschallarのブリッジで調整し17.5mmにしてあります。弾き心地でこれがベストですが、更に細いネックでも歓迎します。

これに気を良くしてBe Bottom' 24をオーダーしたところ、滅茶苦茶太いネック、幅も厚みも!、一回り二回り大きくて手放しました。がっかりです。現在クルーズのhpにて、同社製エレキベースはJacksonのみとなっていて、これはフレットレス専用機ですが、Be Bottom' 24はそのフレッテッドバージョンであり、フレットレス用の分厚い指板にフレットを打っているため、極太のネックに仕上がるといった寸法です。この楽器はまた、そもそも19mmピッチで設計されています。違いはフレット数の差だけ、という言葉に騙されました。21とは全然違う楽器。落胆はしたけど音は理想的で、他の誰かにかわいがってくれればいいです。

それで入手したadamovicのhaloが手許にあります。これは手放すつもりですので、興味のある方がいらしたらご連絡ください(できればXで相互フォローしている方がありがたいです)。先に弦間を言いますが、本来18.5mmで設計されており、駒を寄せることで18mmに調整しています。以前17.5mmバージョンで34.5インチスケールのボルトオンを所有していましたが、手放していなければ、現在のメインベースになっていたかもですが、34.5はやっぱ駄目だーと思っていた可能性は五分五分ですね。余談でした。

さて、ナット46.6mm、12fで67.6mm、21fで76.0mm、24fで77.95mm。というわけでこれが一番幅のあるネックです。ナットはcrewsと一緒で、dragonflyの方が幅広ですが12fで比較すると、crews<dragonfly<adamovicの順で、はっきり太くなります。crewsの最終フレットが21なので、そこではdragonflyで+1.35mm、adamovicで3.5mmもの差が付きます。個人的にdragonflyをNGとするなら、目安となる数値は12fで65mmと覚えておくと良いでしょう。

ちなみに、フェンダー4弦の20mm弦間は、5弦をメインにしている身からすると遠いなぁと感じることが少なくなく、あるベースでは19mmピッチのブリッジに載せ替えて、それがベストと感じています。

6弦はk.nyuiブランドのmoonを持っており、フレットレスですが、こちらも採寸しました。ナットで54.3mm、12fで73.65mm、21fで81.3mm、24fで83mm。古い設計ですのでネックが細いです。ブリッジは元々kahlerが載っていたのを、重量減のためhipshotのモノタイプに交換し、弦間は15.8mmになっています(平均値です)。6弦の決定版。これ以上だと弾けません。

そんなこんなで、4弦なら19mm、5弦なら17.5mm、6弦なら16mmの弦間設定が、私の演奏法にとってベストの値です。トレンドからは逆行しています。

あんなに数多く、たぶん130本くらい買ってきたベースも、5弦はもうこの3本しか所有しておりません。adamovicも、おそらくdragonflyも手放すことでしょうから、今後の人生を支えるメインベースを探し出して入手しなければなりません。crewsはバックアップとして使っていきます。

お店で測定していないのでフィーリング判定ですが、先にもお話ししたようにsadowskyのミュージックマンタイプのHBを載せた5弦がナローネック&18mmピッチでお気に入りです。不満はフレット数が21と、音域が不足すること。価格は60万円くらい。ドイツサドはメトロラインの上にマスタービルド、さらに上のカスタムショップというヒエラルキーが有り(ボトムに中国製があり)、そのモデルはマスタービルド並の価格でメトロラインということで割高感が強いです。音は好きで、候補としては一番手。

valiant guitarsはサイズを詳細に公表しています。TNTの5弦でナット45mm、12fで62mm、22fで71mm、重量も4kgアラウンドで理想。22fなのも最高。データで見る限り文句なしです。ユークレイン製で60万円ほど。ですからサドのメトロと並ぶ感じですね。私は40万円しか出したくないですけど、昨今の趨勢で、この価格帯がスタンダードです(ハイエンドではありません!)。特徴はフロントをダブルコイルにしていて、PBのトーンを両立させるのが売りです。でもPB風でしかないので、上記のサドがかなりstingrayに迫っていることを思えば、ちょっともの足りないかもです。どうせJBセッティングでしか使わないだろうけれど。まぁ使える音が1個あればいいのですが。あと、本当はアッシュが欲しい。アッシュ/ローズ的なのが汎用性でベスト。

ネックは細めで、結構好きな marleauxというドイツの楽器があり、スルーネックも作っていますからken smith同様の使い勝手が得られそうです。と思って調べるとブリッジは19mmなんで、やっぱスルー。返すがえすken smithのBSRが今思えばいいですね。重いか。

以前の記事をお読みになったルシアーの方から、条件に合う楽器を作ってますよ(ナット幅45mm、4kg以下、シングルコイル搭載)、ということでバーチーズさんに在庫の楽器を紹介されました。olive instrumentsという楽器で、それはヘッドレスデザインでした。過去に彼の楽器は2本持っていました。弾かせていただくと、当時からは長足の進歩をしていることが窺い知れる印象的な楽器でした。こちらも50万円台と、日本製でも個人製作家の作品ですから手軽に買えるものではありません。でも間違いなく良かったです。

私にとって、ひとつだけ懸念なのは、座って弾く時に体にフィットする感覚が強すぎることです。安定は美点ですが、何度も言うように、とかく長時間スタンバイするのが仕事であり、楽器をこっちへ寄せたり、あっちへ向けたりと、体勢を変えないと苦しくなります。そこへいくと、fenderのようにショートホーンが内向きになっていると適当に「当たり」を逃がしたりできるのです。要はクラシック(アコースティック)ギターの、あのヒョウタン型アウトラインが望ましい。f-bassのBNシリーズ、実はそこが嫌い。あの突起が足に刺さって、特定部位が非常に痛くなります。

5弦ベース。日々digimartをチェックしますが、金額の枷を外したとて、一向にジャストミートする作と出会えません。全部数値で指定するから、その通りに作ってくれるところって無いのかな。予算内で。ははは



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