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芽吹く

月蝕の日というのは、占星学的にどういった意味があるのでしょう。今日の私は、いつもより能動的に動くことができ、得るものがありました。私以外の人にとって「どうでもいい」の極みと思いますが、自身ではひとつステップを踏み出した気分です。なんとなれば、象徴的に”芽吹く”と題しました。

少なくなった演奏仕事の都度、5弦ベースをどうにかしたいもやもやが募ってきて、毎日妄想を広げた挙げ句に、先日、もういいだろう、このままでと、終局宣言したそばから、この土日、私は長野まで足を伸ばし、翌日には都内のイベントにも出掛けました。

いつどうして、それを思い立ったのか、いまや思い出せませんが、あ、そうかエクストラロングスケールを再認識した日があったのでしたね。それを境にマルチスケール行ってみようかとか、枠を取っ払ってみる気になり、敬遠して試奏経験の一切無かったSugiのNB5が視界に現れたのでした。

信州ギター祭りへは、デバイザーさんとお話しすることを唯一の目的としていましたが、正に松本が本拠地であるSugi Guitarsの展示が、堂々たるもので、そこに居並ぶNBの4と5が壮観そのものでした。

眺めていると、金沢の島村楽器店に勤める方から声を掛けられ、35インチが無理かどうか確かめたいのだけれど弾かせて貰えるか尋ねました。快い返事で、とりあえず私の思う黄金の組み合わせであるアッシュボディにココボロ指板の1本を弾かせていただきました。

それは鮮烈な印象で、今までの35"の印象を拭い去れる弾きやすさでした。指板だけメイプルに換えた、ほぼ同仕様のショーモデルがありましたので、そちらも所望すると、私の好みは、むしろこちらでした。アッシュ/メイプルは避けようとしていたマイ・ルールもここで崩壊します。

NB4は2本所有したことがありました。35"のNB5は、その時のネガティブな要素を全て解決した完成度に思えました。音の美しさはそのままに、したたかな力強さが下支えしていることに驚きます。周囲に、次を待つ人がいないことを確認して、もっとSugiを知りたいとばかりに、陳列された5弦を全て弾かせていただきました。

仕様が同じで、重量もほぼ同じ、色だけが違う(意匠は同じ3色展開)3本は、当然と言えば当然、不思議と言えば不思議に、サウンドが異なり、そのうちの1本が、そこにある全ての中で1番良く、買うならこれ、という明らかな優位を感じました。まずこの日、7本を試しました。

錦糸町ではAtelier Zの方とお話ししたり、Red Houseさんのベースの試奏を勧められたりしました。目当てはKenneth Lawrenceでしたが拝んだだけで満足。買えないものを弾いても仕方がありません。Red Houseさんの5弦ベースは19mmピッチでしたので購買意欲はありませんでしたが、ポテンシャルを認めることができました。良かったです。アトリエさんは、小型のコントラバスでデタッチャブルネック仕様の試作機を展示されていて、これも大変良かったですが、ネック固定のほうが当然廉価ですので、私ならそちらで十分です。引っ越して防音室ができましたから、またWベースを始めたくなりました。

ギタラバTOKYOの会場では、海外買い付けの小物類の中に、80年代のビル・ローレンス製スティールギター用のピックアップが未使用のデッドストックで売られていました。在りし日のFoderaに載っていたPUです。だいぶ悩んでスルーしました。

前日よりも収穫はありませんでしたが、時間が早かったので渋谷のベースコレクションで、在庫のSugiを弾かせてもらおうと思いました。もちろん目下STRを狙っているので、それとのガチ勝負が可能な絶好の機会です。ある意味、34 VS 35でもあります。

その結果、私に今必要な楽器はSugiの方だと確信しました。NB5には33、34、35と3種のスケールが用意されますが、35インチが本当に弾き易い。ここまで楽ならば、挑戦してもいいと思いました。人生最後の挑戦です。

最後に使った35"はアレンビック5弦で、5年くらい前かと思います。Fの34.5"は2年前まで5弦、6弦と持っていました。それらを手放して以来です。あの時、もう一生34"で行くと決めて決別しました。

Youtuberの皆さんは、視聴者を巻き込んで盛り上がったマイブームに終焉が訪れ、次の山へ向かう時、「大切なお知らせ」などと煽り言葉を添えて、神妙な顔つきで謝罪動画をアップします。あんなにFIATを追っかけてたのにRenault買いました、みたいな結末について、謝罪しなければならないのは難儀だなぁと思いますが、それを含めてのエンターテインメントです。今日の私はそういう気持ち。

昨日は3日分くらいの働きをして休日の今日、洗濯物を干し終わると事務仕事を片付け、昼食はまだでしたが午後1時に家を出ました(2000文字書いてからのやっと本文開始、しかしボトムラインでしかない…)。

横浜線、小田急線、山手線、丸の内線、中央線、井の頭線、田園都市線を1680円分乗り継ぎ、8時間かけて6店舗を周遊しました。弾いたSugi5弦の総数、今日だけで13本。本当は15本の予定でしたが、2本は除外しました。都合3日間で、トータル4弦2本と5弦21本のSugiを試奏をさせていただきました。STR3本、RedHouse1本、AtelierZ1本(ポータブル・コンバス)FreedomCGR1本、Roscoe1本も弾いていますので、全部で30本。本当にありがとうございました。感謝の言葉しか出てきません。

そして今日、優勝者が決まりました。はっきりとこれ、という、私にとって特別な1本に出会うことができました。購入はしていません。それには準備が要り、2週間ほどはかかるでしょうか。売約もしていないので、売れてしまえばそれまで。残っていることを祈るばかりです。非常にすっきりとした結末でした。さぁこれで、仕事に戻れるぞと、正直安堵しています。具体的な話は折に触れて続けていこうと思います。

ちなみにさっきまでNBはナイト・バーズ(night birds)だと思っていました。コウモリだからさ、、、Breezeだったんですね。お店でもそう言っちゃってたよ。老齢とはそういうものですよ。

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