生徒さんのベースを選定する その3

最初に訪れた楽器店では、サドウスキーのメトロ・エクスプレスを用意していただきましたが、そのアクティブタイプの性格を知るために比較したヒストリーとJ.W.Black JP(ユーズド)、つまり、オーソドックスなパッシブのジャズベースの方が、生徒さんの心に響いたようでした。

よく楽器選びをアドバイスする際、本人が好きなのを買うのが一番だよ、というのがあります。フィーリング、印象、重視というやつです。外観が気に入らないだけで弾きたい気持ちは萎えていくかも知れません。そうした部分では格好とともにカラーは大事な要素です。そこは人の好みですので、千差万別。私などは木目が出ているより、メタリックカラーなどの方がエレキ楽器らしくてアガリますが、3トーン・サンバーストしか受け付けない方も多数いらっしゃいます。この生徒さんの場合、キャンディ・アップル・レッドに惹かれるものがあるようです。用意されていたサドが、まさにそれでした。メタリックがお好みとは、通じるものがあって嬉しいですね。

しかし、音が気に入らなければどうしようもない、とのことで、気に入る音が出てカラーが好みのものがあればいいな、ということになります。ヒストリーだとアルダーボディ・ローズウッド指板のタイプに、バリエイションが有り、取り寄せ可能でした。その話は、また後にすることにして、とりあえず我々はその店を出ました。先に述べたように、もう一店、見ておきたいところがあったからです。

そもそも10万円の予算というときに、このエリアの在庫(新品を扱う店が市内に3箇所ありました)をデジマートで見て、FGNではプレシジョンとジャズベースに1本ずつ、重量が4kgジャストのものが見つかり、その2本共が、これから訪れるお店に並んでいるはずです。売れていなければ。

今は予算枠が拡張していますので、事前にチェックしていないものも見た方がいいです。そちらのお店には、くだんのFGNもまだあり、それはFGNらしく明瞭な音で(アッシュ/メイプルですが)、十分なクォリティと思いました。ヒストリーと同様に、ペグは軽量なものに交換する必要があります。でも合計したって10万円程度に収まり、コスパ重視なら本機一択です。

その方は、私より少し上の世代ですが、若い頃からブラックミュージックを好み、ゴスペルを歌うことも趣味の一つ、往年のスティービー・ワンダーなどが嗜好する音楽を代表しています。ベース界のことは詳しくありませんが、マーカス・ミラーの名くらいは馴染みがあり、サドウスキーはマーカスが使っているんじゃないですか?と尋ねられました。そうは言ってもフェンダーがメインですよ、と答えます。彼がメインで使っている楽器は70年代のフェンダーをサドウスキー氏がモディファイしたもので云々と、軽く説明し、同じ楽器を使ったってプロの音はそうそう出せないと伝えました。

プレシジョンを持っているから、今回買うものはジャズベースで決まりと。このFGNは、このようなブラック・ミュージック志向にもマッチします。答えはすぐに出そうな気配でした。


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