34インチスケールと34.5インチスケールの比較音源 追記

使用した3本の楽器について、もう少し説明が必要と思い、続編を書きます。

クルーズにはSadowsky弦が張られています。Blackのステンレス、0.045〜0.125のセットです。Sadowskyのベースを使用していた時代から、それを手放してもこの弦が一番気に入っていました。張ったのは2年近く前で、以来交換していません。仕事の頻度に比例しています。

私は手に汗をまったくかかないので、弦が死ぬという感覚を知りません。自分の楽器なら、弦が古くても平気ですが、今回録音してみるとやっぱり劣化を感じました。これからもし、本番で使うようならちゃんと交換します。

このベースは、ブリッジでの弦間18mmにマッチした細めのネックが私にはもってこいでした。理想のボディシェイプ、ネックシェイプと言えるでしょう。不満は21フレットであること。22あればいいのに、と多くの現場で嘆いたものです。

音源の途中、スラップでローB弦に行くと、なんともだらしない音になってしまうのも、以前ならばこうしたラインを意識的に避けており、ある意味ローB弦は緊急避難用にしたり、わかりにくいところでさりげなく通過するように限定していたのは欺瞞だったと反省します。最近の視点からは、これで良いなどと言ってはいけないという思いが強いのです。

今回のサウンドクリップの冒頭はEm7コードを最低音のBから、最高音のEまでアルペジオで駆け上がり、駆け下りるというのを、できるだけ3本の弦にまたがり、かつローB弦もたっぷり使って弾いています。こういう練習を、もうずっとやっていなかったのがバレバレですけれど、どう弾けばいいか、運指は楽勝で出てきます。昔は色々な事をしっかりとやっていました。という話はどうでもよくて。これがやりやすい楽器とやりにくい楽器、差が大きいです。

ローB弦では12フレットのB音を小指でとるところまで上がります。その先、E弦で19フレットまで小指でとりますが、演奏姿勢を乱さないで弾くことが難しいのです。低音弦がハイポジションでも弾けるかどうかは、私にとって楽器選びの重要なポイントです。この楽器は合格。

アダモビッチは本年の初頭に入手しました。その頃にもローBをしっかりさせたいと呪文のように囁きながら楽器店巡りを繰り返し、これに巡り会ったわけですが、昨今、まだもの足りないと楽器探しが再燃していました。ネックが5ピース、シングルカットボディということで、やれることはやった感は見て取れます。

実はオーダーで17.5mmピッチのナローネックで34.5インチという楽器を作ってもらいました。今、本当にこのタイミングでそれが手許にあれば、これほど迷走することはなかったと思いますが、この6年間、家庭の事情に翻弄されて多くの大切な楽器も手放さざるを得ない状況にありました。それが人生だからしょうがないですけど、相変わらず仕事量が戻ってこない日々はつらいまま、というのが悲しいですね。嘆いても仕方ありませんが。

アダモビッチの、少しもったいない部分、というか好みではないところはピックアップの位置ですかね。全体にブリッジ寄りですから音が軽く感じます。というかジャズベース耳なんでしょうね。フロントが、あと5cmくらいネック寄りだといいのですが…。でもアコースティックな性能、響きに関しては極めて優秀と思います。

私のこれは、スタンダードネックで弦間18.5mmのようです。個人的にはワイドすぎて残念です。アルペジオネタでは一番弾きにくかったことを白状します。クラシックギターのように、ボディを左足に乗せれば良いのかもしれませんね。私はやりませんが。弦はR.Coccoのステンレス、045〜125が張ってあります。9ヵ月くらい張りっぱなしかと思いますが、全然劣化していません。

さて、3本目のdragonflyですが、冒頭お話ししたBe Bottomが21フレットなのが不満で24フレットをオーダーしたところ、ネックがぶっと過ぎて持て余し、それを下取りに出して購入しました。Geek in Boxさんの移転記念セールがめっちゃ激しくて、乗っからないと後悔すると確信しました。

dragonflyの34.5インチベースは、15本くらい弾いたかと思います。一番気に入ったものと、次点もシングルカットデザインの方でした。という意味でno.3を買ってしまったので、ちょっとだけ気持ちに翳りがあるのですが、現場で使ってどうか、という点では何を買っても賭けに違いありません。私のところに来てくれた1本が、この先も相棒としていけるかどうかは次の仕事で判断できるでしょう。

1本1本が結構キャラクターを持っていて違いが明確でした。良い素材でそのまま作りましたという、狙ってこうなる、というより、こんなのできました、という成り立ちです。にも関わらず、私たちが知る、材の傾向にそのまま即していてわかりやすい気がします。意外にオーソドックスだと思いました。

好みを言えば、アルダーボディが良かった。エボニー指板が良かった。シングルコイルPUが良かった、という風に項目毎の順位をつけることができ、そうやってフィルターにかけることができますが、全部載せが結果的に最高となるかどうかはわかりません(クルーズの24フレットは、ネック以外は満点のスペックでした)。

うちのはメイプルトップ・アッシュバック、パーフェロー指板のハムバッカー搭載ということで、代表的なモデルになります。音は太い、のひと言です。

ネックはグリップが厚く、細くもない、スケールも長いからちょっと厳しい。救いは18mmピッチ(19なら買っていません)。細くて薄いネックでオーダーかけたい。ネックだけ作ってもらうのも有りかな。で、それによって美点である音の太さは退行するかもしれません。難しいですね。まぁこのまま使っていきますよ。良さを生かして。

弦はまだ購入時のまま、ダダリオが張ってあります。これから金曜日に届いたケンスミス弦(7弦用)を張ってみます。また音源を録って同じようにアップしますね。弦のゲージを変えてどうなるか。比較したいのはそこです。

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