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夏だから……背筋が凍る「景表法」の怖い話

 昨今のゲーム運営に携わるなら、避けては通れない法律。
 そう、それが景表法だ。

 コンプガチャに対する法的な規制として使われたことで、景表法についてはプレイヤー側にもかなり認知されていることだろう。

 しかし、この法律……ガイドラインを読めば読むほどに、クリエイターにとってヤベーことが書いてあるのである。

 今回はそのヤベー部分について、noteにまとめてみた。
 夏だし。


■景表法とガチャの関係性についておさらい

 景表法がゲーム運営に影響を及ぼすのは以下の2点だ。
 ●ガチャによる「絵(カード)合わせの禁止」への抵触
 ●オマケ品の扱いについて


 今回は特に話題にあがりがちな「絵(カード)合わせの禁止」について、まずおさらいをしてみよう。

 景表法における「絵合わせ」とは、有償でランダムに物品を提供するシステムを使った場合に、特定の物品の組み合わせを条件として、追加サービスを提供すること指す。
 ちょっと分かりづらいので、OKなパターンと、NGなパターンを図解してみよう。

 まず最初は、コンプガチャと言われてしまうタイプ。ビンゴガチャなんかもコレに抵触する。

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 似たようなシステムだけどOKなパターン。これは同じもの集めるので、絵合わせに該当しないのだ。

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 システム的にはコンプガチャなんだけど、完全無料で一切お金かからないならOK。

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 こんな感じだ。
 上図は2種の組み合わせだが、実際は3つ、4つのアイテムの組み合わせになることが多く、これが「途中まではすぐに集まるものの、次第に集まりにくくなる」という欺瞞性を持っているため、こういった組み合わせを掲げて課金誘導しちゃダメですよってことだ。

 なので「同じアイテムを複数集める」であったり、「システム的には絵合わせそのままだけれども完全無課金」ってことならOKということになる。

 このあたりは、景表法の「絵合わせ禁止」ルールの基本なので、知ってる人も多いと思うし、ゲーム運営に携わる人間なら、必ず把握している内容だと思う。


■一体なにがヤベーのか?

 さて、簡単に「絵合わせ禁止」の内容について、簡単に説明したが、じゃあ何がヤベーのか? って話だ。

 個人的に背筋が凍ったのは、消費者庁の【インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A】のQ17だ。

 画像引用してみよう。

景表法一番ヤベエやつ

  という感じだ。
  分りづらいかもしれないので、最初と同じ形で整理してみよう。

画像5

 こういう形になる。

 このQ&Aに書かれているのは「イベント用のドロップブーストアイテム」という感じだが、ガイドラインにはこう書いてある――

アイテムAを購入すればイベント等を進行しやすくなり、特定の2以上の異なる種類のアイテム等をそろえて経済上の利益の提供を受けることが容易になる場合には……

 これ「イベント等が進行しやすくなり」とは書いているが、景表法は別にゲームのイベントのためにある法律じゃあない。

 つまりアイテムの組み合わせで何らかの効果が発生するシステムがあるとして、そのアイテムの入手が課金によって容易になる構造……これがアウトになる可能性があるということだ。

 これは解釈によっては――
 「スタミナ制のゲームにおける、スタミナ回復剤を有料販売」
 「基本無料だけど、サブスク課金でドロップ率アップ」
 こういうのも課金による、入手率のブーストと見なされる可能性がある。

 これとアイテムの組み合わせが重なるパターンを考えると……


「スタミナを消費し、クエストで進化アイテム複数種類を集めて、キャラクターを進化/合成/改造」みたいなことやってるゲームが、ほぼほぼ景表法に抵触してしまう可能性があるのである……。

 
 ……というか、そういうシステムを搭載していないゲームの方が珍しいから!

 お分かりいただけるだろうか……。






 世に出ている運営型ゲーム、そのほぼ全てが景表法に抵触しているかもしれないのだ……。






 ただ慌てずに、もう一度ガイドラインを見てほしい。

 景品規制の対象となり得ます

 そう、あくまで「なり得る」

 可能性の話でしかない。
 OKかNGか、その線引きは消費者庁にしか分からないのだ。

 しかしそれは、大部分の運営型ゲームは、首に刃を当てられている状態とも言える。
 消費者庁が「うーん、あのゲームやり過ぎてんね」って思えば、景表法を理由にいつでもスパっとやれるのだ……。





 もし消費者庁が一度この刃を振るいはじめたら、ダメージを受けずに残っているゲームは、日本に存在しないかもしれない……。

 (ここで「世にも奇妙な物語」のテーマ流れる)

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