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BTSの『Permission to Dance』

英語曲1曲目の『Dynamite』でファンを確実に増やし、K-POPの垣根を超えBTSを知らなかった層へのアピールにも成功した防弾少年団ことBTS。
2曲目『Butter』の快進撃は止まらず、2021/7/7時点でBillboard HOT 100の1位を6週連続記録中
そして、勢いそのままにEd Sheeranとのコラボ曲でもある3曲目の英語曲『Permission to Dance』が昨日7/9にリリースされ、BTSの連続1位記録を止めるのは、BTSの新曲かも…と、これから生まれる記録も楽しみです。
スタジアム公演、ビルボード1位、グラミーノミネート等の予言を当て、"ミンストラダムス"との愛称もあるSUGAの予言「『Butter』は連続1位を獲り続けて『Permission to Dance』にバトンタッチする」の発言が当たる気がしてなりません。

■『Permission to Dance』の魅力

『Permission to Dance』- BTS(防弾少年団) [2021]

ついにこの域まで到達。ミュージカル映画の大団円のように、めちゃくちゃハッピーで楽しい曲MVで、幸せな気分になると同時に泣けてくる…。

リリース日の7月9日はARMYの誕生日(2013/7/9にファンの名称がARMYと決定)でもあり、素敵な誕生日プレゼントを贈ってくれたBTSに感謝です。

◇【タイトル】
直訳すると『ダンスの許可』ですが、歌詞上では“僕たちがダンスするのに許可はいらない”という心の赴くがままに楽しむ自由を歌う前向きな内容。
また、『Permission to Dance』アナグラムで、並び替えると『Stories on Pandemic』になる『パンデミックの物語』あるいは『No Pandemic Stories』と話題にもなっているようです。狙ってでも偶然でも凄いの一言につきます…。

◇【歌詞】
コロナ禍のもどかしさとそれが終わった後の未来の世界への希望や、BTSの信念の根底にあるLOVE YOURSELFのメッセージ、邪魔する人たちもいるがBTSの勢いは誰にも止められない現実、そして“絶頂からの墜落は怖いが着陸は怖くない”といったスター故の苦悩を語った本人たちのインタビューの内容も織り込まれており、サビでは許可なんていらないみんなで踊ろう開放感に溢れ、聴き手の背中を押してくれるような明るい内容になっています。
また、"we"というワードが他の曲より多く登場し、BTSがARMYに向けて歌う曲というより、BTSもARMYもARMYでない人もとにかく一緒に今を楽しもうというメッセージを感じます。
さらに、前英語曲2曲『Butter』『Dynamite』とリンクした要素(バター乗せホットケーキの登場、"when you look yourself/in the mirror"な歌詞、"Da na na na na na na"など)も取り入れているのがファン心をくすぐります。

【曲調】
明るくノリ良くわかりやすくリピートしたくなる中毒性の高い王道ダンスポップス。ラップは登場せずヒップホップ感はゼロ。サビの辺りは特に手拍子が似合う曲で「みんなで歌って踊ろう」の思いが伝わります。

【MV】
K-POP特有の濃い目のメイクは影を薄め、広く晴れた屋外で明るい色使いの中、カウボーイ風のウェスタンなカントリースタイルで踊る彼らはしっかり好青年アイドルながらも自然体でとにかく楽しそうで、BTSをより身近に感じさせてくれます。老若男女人種問わず色々な方が登場して同じダンスをするシーンやミュージカル風演出は視覚的に幸せな気分になり、象徴的に青い空に浮かぶ紫の風船や、マスクをした登場人物たちが終盤マスクを外し笑顔になる流れは世界情勢とリンクし目頭にアツいものを感じます。全体的にリズミカルに真似しやすい集団で映えるダンスに加え最後には"楽しい"・"踊る"・"平和"の国際手話を取り入れた振付まで登場。ディズニー的な精神も感じ、単なる応援ソングではなく、現代の新しい様式の世界平和ソングとか賛歌にも思えてきました…。オリンピックの閉会式で歌われていても驚きません(笑)

『Butter』のMVが3分で再生回数を稼ぎやすく、内容もBTS自身のアーティストとしての魅力やかっこいいセクシーさを『Dynamite』より押し出した構成になっており、BTSというグループの印象付けや記録の更新を狙う要素が強いのに対し、PTDについては曲自体は3分程度ですがMVはスタッフさんとのダンスのおまけ映像を含めて5分。記録やアピールをがっつり狙う曲というよりも世界中のARMYへBTSチームからの素敵な贈り物といった感じの曲で、プレッシャーや肩の力が抜けた自然体な自由さを感じます。

【パートと表現力】
パート配分もバランスよくメンバーの個性や魅力が出ているし、彼らが音楽とダンスとBTSでいることが大好きでたまらないことが伝染します。ラップがないのは少し残念だけど、『Dynamite』では比重が少なかったラップラインのパートが3人とも複数回登場するのが嬉しいですね。いつもパートが少ないジンのパートも他のボーカルラインと同じくらいの割当で、“Da na na”はすべてジンくん担当!パフォーマンスでもちゃんと全メンバーがセンターになる瞬間があるのも嬉しい。
そして何よりやはり全員もれなく歌がうまく表現力が高く声がいい。みんな違った優しくて素敵な歌声…。
すべての英語曲で歌い出しを担当しているジョングクの今回の歌い出しなんてまるでジャスティン・ビーバーのようで一気に心掴まれるし、主旋律の後ろでジョングクやジミンが担当するコーラス・ハミング部分から感じるソウルとか秀逸でたまらなく好き!
そして、こういう「みんなで一緒に」の曲であっても、全員歌唱やユニゾンどころかハモリすらほとんどなく、メンバーが一人ずつメインメロディーを担当し、コーラスや掛け声が適度に添えられるのみで、ひとりひとりの違う個性が曲に奥行きを与えながらも一体感があるところがBTSの強さだなと思います。

英語曲すべてに共通しているのが、口ずさみたくなる元気の出る明るいダンスポップスというところ。今の時代にもぴったりですし、今回もきっとSNSで「踊ってみた」「PTDチャレンジ」動画がたくさん出るに違いありません。

ただ、私はもともと洋楽が好きで、BTSが洋楽ポップスに寄ってきて、国旗の壁を壊してきてくれたおかげで彼らのファンになったのは間違いないですし、英語曲のリリースは大歓迎で喜ばしいのですが、それでも過去の彼らのヒップホップ色が強い曲・難易度の高いダンス・強烈なメッセージや皮肉たっぷり歌詞も大好きなのです。「ヒップホップグループ」である彼らのゴリゴリのラップの入った曲を久しぶりに聴きたいですし、あらゆるジャンルを自分たち色に染められる彼らが歌う正統派R&BやJazz系の歌も聞いてみたいです。できれば彼らの母国語である韓国語で…。
なんでもできちゃう彼らには勝手にたくさん期待してしまいますが、兵役を考えると次の新曲を当たり前に楽しみにできる期限も近づいていると思うと寂しいですね。

この『Permission to Dance』をBTSとARMYが同じ空間でマスクを外して全力で一緒に歌って踊れる日が少しでもはやく訪れますように…!
そんな日を夢見て、今は彼らの曲を聞きながらささやかな日常を楽しみたいと思います。


■『Permission to Dance』を構成する要素

今回なんといっても大注目なのはエド・シーランが制作に参加!
声良し曲良し歌良しのイギリスのシンガーソングライターです。現在30歳。BTSの最年長ジンくんの1歳年上です。

『Thinking Out Loud』- Ed Sheeran [2014]

PTDのJungkookの歌い出しが『Thinking Out Loud』の歌い出しに似ているなと感じました。

エド・シーランの最大のヒット曲は、2017年の『Shape of You』。イントロのリフから耳に強く残る曲で、翌年のグラミー賞[最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)]も受賞、Billboard Hot 100 12週1位の記録も持っています。

『Shape of You』- Ed Sheeran [2017]

脅威の再生回数53億回
以前の記事でも何度か言及していますが、同年にリリースされたBTSの『Go Go』はリフの感じがこの曲の影響を受けているのでは?と思っています。

『Go Go』- BTS [2017]

『コミンボダGO』大好き民なんですが、BTSのこういう系の曲をまた聴きたい…。『Butter』のMVでジャージ姿が登場したときは歓喜しました。『Butter』をジャージでステージパフォーマンスしてくれる日を期待。

エド・シーランは2019年以降はしばらく結婚休暇やお子さんの誕生でお休みしていましたが、今年ついに復活!

『Bad Habits』- Ed Sheeran [2021]

MVではエド・シーランの新しい面を見せてくれています。6/24リリースの『Bad Habits』は7/7付の全米ビルボード HOT 100でも、5位の位置。

◆7/7 billboard HOT 100

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『Permission to Dance』『Butter』『Bad Habits』でBTS&エド・シーランの1,2,3フィニッシュもありうるかもしれません。他のアーティストの曲も素敵で私も好きな曲が多いのでそう簡単には行かないと思いますが…。

エド・シーランとのコラボは今回が2曲目で、1曲目のコラボの『Make It Right』 もリフが特徴的で、何よりBTSの歌声とハーモニーが素晴らしい曲。

『Make It Right』- BTS [2019]

思えば2019年6月、サムネイルがThe Beatles風なのに釣られて偶然クリックしたことから見てしまったこの番組の『Boy with Luv』と『Make It Right』の2曲のパフォーマンスで沼入りしARMYとなった私。まさに人生を変えた動画です。ありがとう『LATE SHOW』…。

『Boy With Luv』- BTS [2019]


さて、ここからは『Permissino to Dance』を聞いて感じた要素を紹介。

『What Makes You Beautiful』 - One Direction [2011]

『Permission to Dance』を初めて聴いたとき、ワン・ダイレクションのデビュー曲を思い出しました。特にイントロのリズムが似ているし“na na na na na na”だし、何より世界No.1ボーイズグループの共通点!どちらの曲も明るくて好感度抜群の曲。
1DだとMVの雰囲気で言うと、『Steal My Girl』の方が似てますかね。

『Steal My Girl』- One Direction [2014]

余談ですが、私は以前からしつこく宣言しています通りマイケル・ジャクソンの大ファンでもあるので、当時1DのこのMV見たときは『Black or White』を連想した思い出。バブルス君みたいのも出てくるしw

『Black or White』- Michael Jackson [1992]

マイケルの『Black or White』は明るい曲調と個性的なギターリフやラップが印象的ですが、様々な国の人が登場するMVからわかるように、歌詞は強烈な人種差別批判ソング
『Butter』の方は『Black or White』に影響を受けているように感じる部分があり、人種問題の白と黒にようやく黄色い『Butter』が加わったようにも感じていまして、これは『Butter』の記事で改めて触れたいと思います。

マイケルもWe are the WorldMan in the MirrorHeal the Worldといった時勢を反映した心に響く影響力の高いソングを届けてくれましたが、マクロ的で、シンプルで優しいメロディーに簡単な単語ながらも強く重い地球規模のメッセージが込められていたのが特徴で、困っている人を救おうという他己愛が根底にあったのですが、BTSの『Permission To Dance』はよりミクロな目線1人1人の幸せや1日1日を楽しむ積み重ねが広がればいいねと軽やかにメロディーに乗せ、自己愛が前提にあるまさに現代らしいそしてBTSらしい作風だと思います。
日本で言うと、SMAPの『世界に一つだけの花』のような、曲の力とアーティストの表現力がよい化学反応を起こしていて、BTSが歌うからこその伝播力。こういう歌はある意味、アイドルにしか歌えない曲というか、アイドルが歌うからこそ意味がある曲かもしれません。

もともと音楽が持つ可能性やパワーにBTSの持つ力や魅力やARMYの力が加わって、言葉も国境も世代も時空も越えて親しまれる曲・ダンスになると嬉しいです。


さて、MVの雰囲気の話に戻り、『Dynamite』の記事でも紹介した、ジャスティン・ティンバーレイク『CAN'T STOP THE FEELING!』に構成が似ていて、なんだか今見ると『Dynamite』と『Permission to Dance』を足したようなMVに見えてきます。この曲も踊りたくなる中毒性があります。

『CAN'T STOP THE FEELING!』- Justin Timberlake [2016]

こういう、一般の方が踊る系のMVは、長らくチャートインする傾向がある印象。元気が出るし、ノリよく真似しやすく、SNSでも二次利用されることが多い要因もあるからでしょうか。ファレル・ウィリアムス『HAPPY』Billboard HOT 100 に10週1位の記録を持つ、中毒性がありタイトル通りの気分になり、体を動かしたくなる曲ですよね。

『HAPPY』- Pharrell Williams [2013]


そして、ハイスクール・ミュージカルグリーを見ているかのような大人数で踊る醍醐味の音楽性とエンタメ性がMVの特に終盤で爆発。

『We're All In This Together』- from "High School Musical"

中盤のミラーボールの部屋で踊り、くるくるターンするジョングクティーンミュージカル映画の主役感が個人的に好み過ぎて今回のMVPです。

『Loser Like Me』- from "glee"

『glee』は大好きだったドラマですが、出演者たちが次々と不遇な目にあっていて切ない。今もドラマが続いていたらきっとBTSの歌も歌われていたことでしょう…。

今回もこういった、アメリカ&イギリスの大衆好みな要素をしっかり入れてくるのがさすがですし、特に多感でコロナ禍で自由を制限されているティーン世代にはより響きそう。
『Dynamite』ではレブロン・ジェームズ、『Butter』ではアッシャーのアメリカンな名前を歌詞に登場させていましたが、『Permission to Dance』ではイギリスの偉大なシンガーエルトン・ジョンの名前を登場させていて、イギリス人アーティストのエド・シーランとの共同作らしい感じがしていいですね。

『Your Song』- Elton John [1971]

言わずとしれた名曲。ミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』でも大きな役割を果たす曲です。

※7/11追記
エルトン・ジョンもツイッターでウィットの効いたコメントをしてくれました!

RMのパートの下記の部分を素敵にもじってくれていますね!

"When it all seems like it's wrong Just sing along to Elton John"


■『Butter』

『Butter』についてまとめている最中だったのですが、勢いで『Permission to Dance』を先に更新してしまいました…。

『Butter』は軽快な曲ながら、BTSの魅力であるラップもしっかり入っており、非常に緻密に練られた曲でオタク心をくすぐるポイントがたくさんあり、特に以前マイケルの記事を書いたときに紹介で述べた通りアッシャーのファンでもある私は、公開時、歌詞の中にUsherの名前と彼の曲名『U Remind Me』『U Got it Bad』を見つけたときは悶えましたし、『Dynamite』に引き続き、随所でMichael Jacksonリスペクトを感じたのでそちらにも触れた記事を書いていますので、近々更新したいと思います。


4月に仕事で異動があり、4-6月は記事を書く時間が取れないながらも、カムバにFESTAにソウジュコンに、しっかりBTSの活動は追っていました。忙しい中、癒しと元気を分けてくれるBTS一緒に楽しんで共感しあえるARMYの皆様に感謝です。ようやく落ち着いてきたのでまたちょくちょく更新していきたいと思いますのでお付き合いいただければ幸いです。

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