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作られた分断:第十三部 大阪生まれ大阪育ちがなぜ、沖縄の県民投票に関心を持つのか

米軍普天間基地の辺野古移設の是非を問う県民投票がこんや投開票されます。
今回、沖縄に足を踏み入れたのはこの県民投票を取材するためです。なぜか。関心があるからです。

米軍基地問題は対岸の火事ではない

じゃあ沖縄県で生まれ育ったわけでもない人間が、なぜ他県の問題に頭をツッコむのか。単にそういう趣味を持ったおじさんだからなのか。
当たり前ですが違います。米軍基地を日本のどこに置くべきか。ひいては、日本の安全保障を他国の軍隊に委ねていいのか。要するに、「よそのことだから関係ない」とは言ってられない問題だからです。

政治に関心を持ったきっかけは”年金”と”戦争”

そもそも、政治に広く関心を持つようになった動機は至って単純。「戦争をして無駄死にをたくさん生み出すか否かを決めるのは政治家だが、その政治家を選ぶのは私たち国民であるから」、「定年を迎えて、安心して余生を送れるだけの年金がほしいから」です。

「戦争をしたいヤツがいるのならどこにいるのか教えてくれ」と返ってきそうですが、実際に戦争をすることで莫大な利益を得る対象が存在します。戦争をするためには、空母・護衛艦・戦車・銃器・戦闘機・レーダー.....などが必要となり、これらを製造する企業に政府から受注が入ればメシウマになれるのは容易に想像できます。「それでも、日本は70年以上戦争してこなかった。」本当にそうでしょうか。終戦後長らく軍事同盟関係にある米国はなにかにつけて、戦争を繰り返してきました。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク・アフガン戦争。そのすべてに日本が関わっています。朝鮮戦争では、日本人が造った戦闘機が多数の死傷者を生み出し、湾岸戦争では日本による多額の支援金(すべて税金)が人殺しに使われた。ベトナム戦争でも在沖米軍基地から戦闘機が飛び立った。イラク戦争では、これから人殺しをしに飛び立つ戦闘機に自衛隊が燃料を注入した。それも、わざわざインド洋に出向いて。米国にとっては、日本は利用しやすい。だから、米国は”タダ”で軍事基地を日本に置いているわけです。「日本に何かあったら守ってやる」との理屈を盾に。

そしていま、強行されている辺野古の新基地建設は多額の税金が投入されています。その額2兆5500億円(沖縄県試算)。これは、消費税2%分の税収分に匹敵します。つまり、この工事をやめれば消費税を上げる必要はないのです。さらに、政府はこの工事を「普天間基地の危険を除去するため」とうそぶいていますが、辺野古の新基地建設完成には少なくとも13年かかります。それだけではなく、13年もかけて完成させても米軍が要求する条件を満たしていないので、普天間基地は返ってきません。危険が除去されるどころか増大するだけです。大阪の汚い海や淀川を埋め立てて、米軍の要求する条件を満たす基地を造る方が、普天間は返ってくるし、工期も短くて済むし、工費も圧倒的にリーズナブルなのです。一部のゼネコンや政治家のメシウマのために数兆円の税金が投入され、社会保障費は少子高齢化を理由にどんどん削られる。だから、一日でもはやくこんな政権を引きずり下ろして、常識的な金銭感覚をもった政治家に行政権を与え、少しでも多くの年金をもらいたいのです。

地元に基地を受け入れる気持ちはないのに、沖縄県にだけ負担を求める身勝手さ

冒頭で「よそのことだから関係ない」と思っている人が多いということを言いましたが、その人たちに沖縄に集中している基地負担を受け入れてくれと求めると「それはイヤだ」と返ってきます。私たち本土の人間がイヤだと思っていることを、沖縄県の人たちは今まで押しつけられてきたわけです。それを、自分たちはイヤだけど沖縄は仕方ないとなるのはあまりに身勝手な考え方です。もちろん、いままで負担を強いられてきた人たちの気持ちをすべて理解することはできません。だから、沖縄県の外に住む人たちこそ関心を持って日本全体の問題としてとらえて考えなければならないのです。

無関心でいることが最もタチが悪い


無関心は一番の罪です。お上に逆らうことを悪とする全体主義のネトウヨの論理はめちゃくちゃで見るに堪えないですが、まだその論理矛盾をさらけ出しているので、それを正すことで考えを深める人も出てくる可能性はゼロではないのです。しかし、無関心な人たちは自分の意見すらないのでその矛盾に気付く機会が待てど暮らせどやってこない。だから気付かないうちに誰かを傷つけている。そしていつの先になるかは分かりませんが、そのツケが必ず回ってくる。だからといって、いきなり国会前に行って「安倍はヤメロ!」と叫べと言っているわけではありません。まずは、自らの意見を持ちそれを誰かと共有することが大事です。それを恥ずかしいと思うことの方が恥ずかしいです。

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