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あれは優しさ

いまから15年前のこと。

「土曜の15時、浴衣着て三宿に集合ね」

と言われ、4つ上の女性の先輩と、15くらい上のおじさん的先輩2人、計4人で土曜の午後に浴衣で遊ぶことになった。

ピザやらパスタやら食べた後、タクシーでお台場まで行って、観覧車乗って、バッティングセンター行って、駒沢公園に戻って牛のうま煮を食べて、246沿いの白っぽいカフェで真夜中までお酒を飲んだ。

「わたし何でここにいるんだ。。」と思いながら、ぼんやりと先輩方の話を聞いていただけで、相当つまんない後輩だったと思う。

いま振り返ると、社会人2年目の当時、入社半年で女子の同期が部署から1人もいなくなり、その後も気を吐いて頑張ってはいたけれど、やがて限界を感じて相当ションボリだった。

くだんの女の先輩は、そんな状態を見かねて気晴らしをさせようと声をかけてくれたわけだ。そして、営業を楽しんでいるおじさん2人をわざわざ土曜にアサインし、働いている限りはこうやって自由に遊べるのだぞと示しつつ(健康的な遊び方だな)、営業ができるってのはいいことだよ、と暗に示してくれていた気がする。

そのあとずっと、あれは何だったんだろう、と思ったりしていて、いつの間にか記憶の底に消えていたけれど、その時と同じような気温の中ふと思い出した途端、あれは間違いなく優しさ、と思ったのでした。

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