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EP7 「人にお願いする、そしてムネアツな副産物」 SNOW SHOVELING BOOKS ON THE ROAD物語 〜いかにして街のはずれの本屋が移動本屋として遠くの人にも本を届けようと思ったか〜

(前回からの続き--- 移動本屋もすることになった駒沢の本屋ナカムラは、かなり無計画ながらも新しい目標、新しい刺激とともに良い兆しを感じていた。そしてまさかのクラウドファンディングに挑戦し、様々なことを進めていくなかで、ある重要なことに気づくことになるのだった・・・

この物語は、物語でさえないのだけれど、街のはずれの雑居ビルにある本屋が、「旅する本屋」と自ら称して、移動型の本屋をはじめるにあたり、何を想い、何を考え、具体的に何をして、その先に何があるのか--- そんなことをやってみる日々を、あるいは回想してみたり、そして起こるかもしれない未来の記憶を書き記す、現在進行形の雑記である)

まるで玉突き事故のように、「やるしかない」とクラウドファンディングに挑戦し、プロジェクト・マネージメントもへったくれもない、なし崩し的にやらなければいけないことを一つずつ、効率悪くto doリストをチェックしていくようにやっていると始まっていた。何がって、クラウドファンディング(以下CF)が。「移動本屋はじめます ”隠れ家みたい”な本屋が”サーカスのように”あなたの街へ!!」

「やってみないとわからないこと」というのは僕らの人生にも色々あると思うんだけれど、まだ終わってもいないこのCFで大きな収穫があったとするならば、それは『応援コメント』である。エモいです。はい。ご存じない方もあると思うので、ざっくり説明すると「CFのプロジェクトに賛同してくれる人から、その人なりの言葉で応援してもらう」ことだろうか。それをお友達や仕事仲間や、先輩や後輩や恩師などにお願いするというわけだ。

「クラウドファンディングするので、応援コメント書いてください」

って言うのは簡単なのだけれど、それを誰にどんな風にお願いしようかと考えると、ケンコーな中村にしては珍しく"胃が痛く"なる。自分の誕生日会を自分で開催し、自分で友人を招くようなものである。そんなの小学生の頃は自然にできたのだけれど、大人になるとどうしてそれが難しくなるのだろうか。それでもどうやら必要らしい、応援コメント。

(誰にお願いするか)人選だって難しい。気軽にお願いできる人もいれば、なぜか緊張しちゃってラブレターをポストに投函するみたいに最後までメールの送信ボタンを押す/押さないを躊躇するような人もいたり、この人からコメントもらったらインパクト大きいけれど気軽に頼める仲でもないしな〜みたいな自分の下心みたいなものに気付かされたりと大忙し。やれやれ。

そんな戸惑いと葛藤の嵐を掻き分け、メールやメッセンジャーやDM機能を使って思いつく人たちに送ってみた。驚くべきことに、殆どというか、お願いした人の全員が(おそらく)快い返事をくれて、そして次々と送られてくる、このナカムラに対する応援のメッセージは、控えめに言って”信じられない”くらいに僕を励まし、僕の知らないボクを発見する機会にもなり、昭和生まれとしては、ワザワザ出力して財布の中にでも入れておきたいくらいに、つまり「お守り」のような効力を持つ言葉が届いたのだった。僕のもとに。

応援コメントのお願いメール本文(一部編集済み)


CFを始める前後一週間の間に届いた「応援メッセージ」は全部で27通。大半はCF開始日7/12より前に届いたのだけれど、つまりこれから「クラウドファンディングがはじまるぞー」と戦国武将が戦に旅立つ狼煙を上げるようなタイミングに、もはや戦に勝って凱旋しているような気分になってしまった。相変わらず回りくどいのですが、つまり、もう応援コメントを読むだけで(いただくだけで)、ある種の達成のような気分になってしまった。ということ。大いに満足してしまったということ。(少しでも興味を持った貴方は下記のリンクから見てみてほしいヨ)

クラウドファンディングのページで掲載している応援コメント

大袈裟な言い方をすると、これまでに中村が生きてきたことや、大事にしてきたこと、やってきたことを、ある意味やってこなかったことを、その道すがらで交じり合った人たちから、肯定してもらった、あるいは恥ずかしげもなく(自分で)言うと、拍手してもらった気分になったのだった。

いつだったか「生前葬をしたい」と言ったり思ったりしてたことがあり、その時は藤井風の「帰ろう」をBGMにしようと心に決めているのだけれど、その会場には皆からもらったコメントを額装して飾りたい、今はそう思っている。


”青春ごっこを今も 続けながら旅の途中 ヘッドライトの光は 手前しか照らさない 真暗な道を走る 胸を高ぶらせ走る 目的地はないんだ 帰り道も忘れたよ ”

フラワーカンパニーズが「深夜高速」でこのように歌う。そしてエモーショナルなサビがやってきて、そこで僕も「うっとおしい」と思われようが、そのサビには参加しないわけにはいかない。

"生きててよかった 生きててよかった 生きててよかった そんな夜を探してる"

「深夜高速」フラワーカンパニーズ ©2004

フラワーカンパニーズ 『深夜高速 [LIVE at 東京日比谷野外大音楽堂(2013.4.21)]』



つづく

(この物語は、物語でさえないのだけれど、SNOW SHOVELINGの移動本屋ができるまで、あるいはできてからどんなことがしたいとかまで、そんなことをサリンジャーよろしく9つの話「ナイン・ストーリーズ」にまとめてみる試みであるが、今のところ9つにまとまるかも、どこに着地するのかもわからない僕の雑記である)

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