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EP4 「10年ぶりの白いキャンヴァス」 SNOW SHOVELING BOOKS ON THE ROAD物語 〜いかにして街のはずれの本屋が移動本屋として遠くの人にも本を届けようと思ったか〜

(前回からの続き--- 遥か駒沢の書店店主ナカムラは、思いがけず移動図書館の車の売買情報を知り、ソレを見に(ほぼ買う気で)岡山へ行き、一晩かけて購入を決意し、シナリオ通りに手に入れた車を運転して東京へ帰ってきた。そしてそこで一旦深呼吸して考えたのだった。「さて、これからどうしよう」と。

この物語は、物語でさえないのだけれど、街のはずれの雑居ビルにある本屋が、「旅する本屋」と自ら称して、移動型の本屋をはじめるにあたり、何を想い、何を考え、具体的に何をして、その先に何があるのか--- そんなことをやってみる日々を、あるいは回想してみたり、そして起こるかもしれない未来の記憶を書き記す、現在進行形の雑記である)


この車がこの後にどのような変貌を遂げるのか


2022年の7月に車の登録をして、車検を通す。

そして9月にはクラウドファンディングに挑戦して、「2023年の春には旅に出る」、と言ってたわけだが、今はもう2023年の7月が終わろうとしている。人生というのは思った通りにいかないもので、あるいはナカムラがただ無能なだけなのかもしれない。

何事も「はじめて」となると時間もかかれば、回り道の必要もある。そして時間が経ってというか、事が進行してからようやく「あぁ、あれはこうしておけばよかった」などといったことに気づく。おそらく20代の頃はそんなこと言ってられなかったと思うけれど、40代の現在となっては「ソレ」が大事なんだよ。と胸を張って言うだろう。え、何を?うん、つまり、あれこれ悩んだり、優先順位を並べ変えたり、原点に立ち返ったり、他人の意見を取り入れたり、嘘偽りなき自分の「世紀の発明」の先に無情な先人がいたことを引き受けたり。

そんなことを経験しながら、大事なものを築いていくというよりは、大事なものだけを削り出していく。そして目の前にある造形物と、足元にひろがる選ばなかったもの(不要物)を眼の当たりにする。人はそれをPDCAサイクルと呼ぶかもしれないけれど、僕はそれはなんだか彫刻のような作業だと思う。

そしてそれを無心で削る、あるいは夢中になって考える、ことができたならば、大袈裟に言って小さくない達成なんじゃないかと思う。決して目に見える成果が上がらなかったとしてもだ。

Drawing by Kazuya Mougi


いったい何の話をしているかというと、(整理するよ)ナカムラは移動図書館の車を手に入れて、「さて何しようか」ってなった時に、通常業務(書店)をしながらも、いろんなことを考える必要があった。世の中的に言うと「新規事業」なわけだから。そんなの10年ぶりのことだ。そしてその時のテーゼはこんなところだ。

・さて、どんな移動本屋を目指すのか
・屋号はどうしよう(店名問題)
・ロゴはどうしよう(VI計画)
・どんな棚を編み、どんな本を選ぶのか(コンテンツメイキング)
・車はどんな仕様にしようか(色とかサインとか造作とか)
・どのように活動していくのか(実施計画)


ざっくり箇条書きにすると上記のような項目を、一つ一つ、おそらく上から考えていく必要があった。ここで書ききろうとすると、一人残らず読者がいなくなるので、要点だけでまとめてみよう。

画像は完全にイメージです

●さて、どんな移動本屋を目指すのか
当たり前だけれど、色々考えた。あんなことからこんなことまで。前の投稿にも書いたけれど、デッドヘッズの売店のような、ヒッピーのコミューンのような(個人的で)(懐古主義でもある)理想主義的なことを中心に。仮説と可能性を行き来し、その辺を14周ぐらいしてから辿り着いたアイデアはこうだ。吉本新喜劇もビックリの「それかいな!」的な誰も驚かないプランである。

「駒沢のSNOW SHOVELINGを車に詰め込むのだ」。自分のやってきたことを肯定するわけではないのだけれど、本屋と言いながら「お喋り」を大事にしたり、「フリー・スタイル」を、店に訪れる人たちに促したりしてきたわけだから、そんなVIBESも、それを可能とするアイテムや装置も車に詰め込んでしまえ、という答えに辿り着いた。

ではSNOW SHOVELINGがどんなお店か?と問われると、
「コーヒーやビールを飲みながら、本を見たり読んだりできて、面白そうな本があったらソファに座ってゆっくり読めて、そこから店主やそこに来てる人たちと本の話や、そこからそれて自分たちの話になったりする(こともできる)。そして本以外にもなんかガラクタも売ってるし、アパレルも売ってるし、いろんなイベントもやってる」と言うのが大体の印象だろう(そうであることを切に願う)。

SNOW SHOVELINGの店内

だから、それらをサイズダウンして(質は落としたくないね)、詰め込めるだけ本も椅子もコーヒーなんかも、そして何より、はっぴいえんどが"風をあつめる"ように、SNOW SHOVELINGのヴァイブスを集めて、それを車に積んで、それをいく先々の街の店先で広げるのだ。まさに"ポップアップ"ではないか。


読者へ「このnoteは2000字を目標にこの原稿を書くことにしているので、今日はこの辺で切り上げようと思う。続きはまたの投稿で。」

つづく

(この物語は、物語でさえないのだけれど、SNOW SHOVELINGの移動本屋ができるまで、あるいはできてからどんなことがしたいとかまで、そんなことをサリンジャーよろしく9つの話「ナイン・ストーリーズ」にまとめてみる試みであるが、今のところ9つにまとまるかも、どこに着地するのかもわからない僕の雑記である)

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