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EP5 「やりたいこと / ロードマップ」 SNOW SHOVELING BOOKS ON THE ROAD物語 〜いかにして街のはずれの本屋が移動本屋として遠くの人にも本を届けようと思ったか〜

(前回からの続き--- 遥か駒沢の書店店主ナカムラは、移動図書館の車を岡山で衝動買いし東京へ戻ってくる。さぁて、この車を使って何しようかと考えるのだが、あれもしたい、これもしたいとアイデアが湧いてくる。決めなきゃいけないことはたくさんあるけど、それを考えること自体を呑気に愉しんでいるのだった。

この物語は、物語でさえないのだけれど、街のはずれの雑居ビルにある本屋が、「旅する本屋」と自ら称して、移動型の本屋をはじめるにあたり、何を想い、何を考え、具体的に何をして、その先に何があるのか--- そんなことをやってみる日々を、あるいは回想してみたり、そして起こるかもしれない未来の記憶を書き記す、現在進行形の雑記である)

"あれもしたい これもしたい もっとしたい もっともっとしたい"
「夢」THE BLUE HEARTS (作詞:真島昌利)

デンデンデンデデーンデンデデデデ♪
と、頭の中でブルーハーツが鳴り止まない。そんな気分が今も続いている。夢の途中とはなんと甘美な世界なのだろう。そして宇多田ヒカルは「TIME WILL TELL」と歌ったね。

さぁ、SNOW SHOVELINGが外に出かける心構えとヒントは見えてきた。そうそう思い出して(前回からの続き)。これまでお店でやってきたこと、プラハラードの言うところの『コア・コンピタンス』を濃縮パッケージで車に詰め込むのだ。そうすればどこかの知らない街角の、初めましての人にも、"雪かき"体験をしてもらえるはずだ。

では具体的なことも決めていこう。宿題は以下の通りだ。

・屋号はどうしよう(店名・活動名問題)
・ロゴはどうしよう(VI計画)
・どんな棚を編み、どんな本を選ぶのか(コンテンツメイキング)
・車はどんな仕様にしようか(色とかサインとか造作とか)
・どのように活動していくのか(実施計画)

***

屋号はどうしよう(店名・活動名問題)
屋号問題、これは割と悩むことなく決まった気がする。そう、決定案は「SNOW SHOVELING BOOKS ON THE ROAD」。もちろん他の案も出るだけは出た。知りたい?少しシェアしてみよう。(結構あるので説明は割愛) いま読み返しても、名残惜しいネーミングもあるね。

BOOK HOLIDAY
Read Trip
Easy Reader
On The Road Books
Catcher in the life
Nowhere Van
Street Wise
BiblioTrip
Readtrip
Books goes on
Snow Shoveling’s moving bookshelf
Snow Shoveling Mobile Bookshelf
Wander wonder Vender
Magical Literary Tour

我ながらよくもこんなに考えたもんだ。

ロゴはどうしよう(VI計画)
ロゴはなんとなく決まったというか成り行きで、仮で組んでたタイポグラフィーを、イラストをお願いしていた舞木さん(Kazuya Mougi)が起こしてくれたのが書き文字というか手づくり感があって思いがけず気に入ってそれを採用することになった。ありがとう舞木さん。いいバランスです。
舞木さんは、お店で展示を何度もやってくれたり、何かとご一緒する機会が多いのだけれど、彼の描く線や絵は「作為性の無さ」というか「無邪気さ」みたいなものが大袈裟に言うと尊く、何がしの浄化作用があると思う、勝手に。


舞木のラフ画
初期の構想イメージ


どんな棚を編み、どんな本を選ぶのか(コンテンツメイキング)

どんな本を持っって行くか、当たり前だけれど、一番大事なやつ。だからこそ考えるのは有意義だ。それは野球で言うとセンターライン、かつてのFCバルセロナで言うとバルデス、プジョル、チャビエスタ、メッシである。なんのこっちゃって話だけれど、要は各棚のテーマを象徴するようなタイトルを選び、そこから横に展開していく。そんなイメージである。これは駒沢のお店の棚でもやってることで、今回のON THE ROADではそれの厳選版でありながら縮小版にならないことを目指す。

例えば、「アウトドア」という棚を作るとしたならば、ソローの「森の生活」があり、フラーの「宇宙船地球号操縦マニュアル」があり、コリン・フレッチャーの「遊歩大全」があり、星野道夫の「旅の途上」があり、石川直樹の「全ての装備を知恵に置き換えること」などの顔ぶれが並び始めると、そこから関連したり、展開したりしていくうちに、その群れが何かを語り始める。

そのような点と点が見え隠れし、棚を見る側が勝手に線を繋いでしまうような、そんな生きた本棚が個人的には好きだし見ていて楽しい。そしてそれを考えたり、リストアップするのは修学旅行の前夜と同じくらい楽しいのだ。

車はどんな仕様にしようか(色とかサインとか造作とか)
車をどうするか---カスタム、カラーリング、装備品、機能拡張などなど。検討事項は山積みであった。細かいことは置いといて、大事なのはヴィジュアル。パッと見の印象、ジーっと見の深度、醸し出すバイブスである。60年代からヒッピーに愛用されているフォルクスワーゲンのタイプ2が理想と言えば理想なのだけれど、ここは三菱デリカ・カーゴという大前提なので、ベースを活かして、程よいヴィンテージ感といろんな風景に馴染むルックスを目指したいところだ。ここで活躍したのはPintrest(リンク貼る)である。ひたすらイメージトリップを繰り返し、理想に近いものをピンしまくり、そこから最適解へ辿り着いたのが、ボディはグレイッシュグリーン(マット塗装)で屋根は白というツートン・カラー。そうと決まったらD.I.Yでせっせと塗る塗る塗るっと塗ったった(2度としたくないくらい疲れたけど、手塗り、アナログ感にこだわり、我ながら納得のいく仕上がりとなった)。

ピンタレストでイメトレを繰り返す
Before
After

どのように活動していくのか(実施計画)
すっかり文字数を使ってしまったので、これはまた別の機会に。

つづく

(この物語は、物語でさえないのだけれど、SNOW SHOVELINGの移動本屋ができるまで、あるいはできてからどんなことがしたいとかまで、そんなことをサリンジャーよろしく9つの話「ナイン・ストーリーズ」にまとめてみる試みであるが、今のところ9つにまとまるかも、どこに着地するのかもわからない僕の雑記である)


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