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EP6 「雲をつかむ」 SNOW SHOVELING BOOKS ON THE ROAD物語 〜いかにして街のはずれの本屋が移動本屋として遠くの人にも本を届けようと思ったか〜

(前回からの続き--- 駒沢の本屋ナカムラは、移動本屋もすることになり、かなり無計画ながらも新しい目標、新しい刺激とともに良い兆しを感じていた。そしてそれを更に大きな波紋を作り出そうと考えついたのは・・・・

この物語は、物語でさえないのだけれど、街のはずれの雑居ビルにある本屋が、「旅する本屋」と自ら称して、移動型の本屋をはじめるにあたり、何を想い、何を考え、具体的に何をして、その先に何があるのか--- そんなことをやってみる日々を、あるいは回想してみたり、そして起こるかもしれない未来の記憶を書き記す、現在進行形の雑記である)

「クラウドファンディングなんて」と考えていた自分です

"百聞は一見に如かず" とか "論より証拠" なんてよく言うけれど、ボーッと生きてたらチコちゃんに叱られるように、アグラをかいてるとそれを痛感することがある。今まさに、この原稿を書いてる現在、「移動本屋を始めたい!」とクラウドファンディング(以下CF)に挑戦している日々なのだけれど、まさか自分がそんなことやるなんて思いもしなかった。そして恥ずかしい話だけれど、クラウドファンディングに対して肯定的でもなかった(かつての)自分がいたことを正直にココで認めよう。

そこにはいろんな理由や(ここでは話せないスピリチュアルな理由も)、中村がナカムラである要因みたいなのがある気がするけれど、それをここでツラツラと書き記すとただの反省文になってしまうので割愛させてもらう。(もはやそんなことはどうでもいいことなのだ。それでも興味がある人はナカムラに直接質問してください。)

『絶好の手段』としてのクラウドファンディング

ではなぜ否定的だったCFをやろうと思ったのか——— これはシンプルに、今回の状況上、手段としてこの上ない方法だったからと言える。新しいプロジェクトを始める時に、その事業やサービスを誰かに知ってもらう必要があり、オールドファッションな手法でいくと宣伝広告費をかけて周知をはかるのがセオリーだ。当たり前だけれど、2020年代の今日は大ソーシャル・メディア時代なので、お金をかけずにいろんなプラットフォームを用いて知恵を絞って、様々なカタチで知ってもらう方法もあるのだろう。でもそれでも個人の力、個人のメディアがより多くの人にリーチするには限界がある。

今回SNOW SHOVELINGが移動本屋をはじめるうえで、必要課題となっていたのは優先順で以下の通りだ。

  1. SNOW SHOVELINGが「移動本屋をはじめる」ことを知ってもらいたい

  2. 移動本屋が訪れる場所(港)を日本中で開拓したい

  3. (移動本屋で)やりたいことを実現するために少しでも多くの資金が必要だ

CFの特性として、プロジェクトページに夢や理想や計画を語り、そこに共感、賛同する人が集まり、支援につながる。そしてそれが時に拡散し、同じような属性の人たちに波紋のように次第に大きく伝わっていく。そしてフォローしてくれた人たちはプロジェクトを見守り、サポーターのようなカタチで関わってもくれる。つまりプラットフォームを使って、ある程度広範囲に「夢を語る」ことができ、なおかつ(賛同してくれる)ロイヤリティーの高いファンを獲得することができ、なおかつ資金調達ができてしまうのだ。一石二鳥以上の効果である。

そんなわけで、「これは使わない手はない」と駒沢の自意識過剰な本屋は一念発起し、CFに挑戦してみることになったのだ。大袈裟に言うならば「清水の舞台から〜」という気持ちであったのは言うまでもない。

MOTION GALLERYにお世話になることに

さて、プラットフォームはどうしようと、いくつかのサービスを一通り調べたりしたのだけれど、「Bookstore AID」でその存在を知り、ちょっと前に知人のme and youの二人がまさにメディアを立ち上げるべくCF挑戦で利用していた[MOTION GALLERY]がよいのではないかと目星をつけ、そして図々しくも彼女たちの担当だった方を紹介してもらうことができた。(ありがとうTさん、Nさん)

MOTION GALLERYのTさんとUさんはとても親切で的確なアドバイスをくださり、そして励ましさえもしてくれた。そして(多分だけど)僕のことを気に入ってくれた(おいおい)。僕はといえば、打ち合わせとはいえ、初回からとても親密なやり取りができたような気がしたので、僕のCFへのバイアスはだんだんと削げ落ち、そこからは安心して進めることができたし、その後も遠慮なくいろんなことを訊いたりした。当初の予定では2022年秋にCF挑戦する目標だったのだけれど、ナカムラがヤルヤル詐欺を繰り返し、実際それができたのは2023年の夏のことであった。そしてそれが今まさに挑戦中の日々なのである。

***

後日談みたいな話をひとつ。CF開始直前まで目標額を100万円にしていたのだけれど、最後の最後で倍額(200万円)に変更した。それは7月のはじめにミコト屋の鉄平さんや山城さんに諸々と相談をしている時に「中村さんもっと頑張ってよ」みたいなことを冗談っぽく言われ、自分が守りに入ってることに気づかされたのだ。実現しやすいほう、恥をかかずにすむほうを選択していたのだ。ミコト屋の帰り道に246を運転しながら思ったのは、『中村は頑張りたい』ってこと。何かを達成しても「なーに、それほどでも」と気障に生きてきすぎたせいだ。格好をつけてきた悪い癖だ。

恥をかいてでも、ドロゴンボール7つ集めようゼ。
”この世はでっかい宝島 そうさ今こそアドベンチャー” だもんね。

というわけで、ありがとう鉄平さん、山城さん。

8/31まで挑戦中のCFは目標額を達成し、目下ネクストゴールを設定中。

CFに挑戦してみて、まるで運動会の本番がずっと続いているような感覚であるけれど、「人間は恐れをなくすと強いな〜」なんてことを実感している。始める前は『自分にできるのだろうか』『達成しないと恥ずかしいことになるぞ』と弱気な中村ハイドがシュプレヒコールをあげていたのだけれど、いざ始まってみるともうこれは、そんなネガティブなこと考えている時間も暇もなく、ある意味なりふり構ってもいられない。ただただ出来ることをやるのみなのだ。そしてそれは人生に対する結構な臨場感をもたらしてくれる。そして希望を持つことでそれがドライブするのだということをこの人生何度目か忘れたけど、また学んでいる。

そう、まさに今、雲をつかもうとしているのだから。

つづく

(この物語は、物語でさえないのだけれど、SNOW SHOVELINGの移動本屋ができるまで、あるいはできてからどんなことがしたいとかまで、そんなことをサリンジャーよろしく9つの話「ナイン・ストーリーズ」にまとめてみる試みであるが、今のところ9つにまとまるかも、どこに着地するのかもわからない僕の雑記である)

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