「私はお迎えが来たら月に帰るのよ」

　そういうと、悲しい顔をして必ず引き止めてくれた。

「お母さん行っちゃヤダ！」

　私は暖かくて両手に収まるその幸せを抱きしめて言う。

「うん、何処にも行かないよ」

　娘が安心する前に、私が安心しているのは、この子が親になるまでは内緒。
　いずれきっとバレてしまう事だから、それでも言わないかもしれない。

　まだまだ私の性格は意地悪なままなのだなぁと娘の背中を見送りながら思う。

　あなたは何をもらったの？　火鼠の衣？　龍の首の珠？
　私は知ってるよ。もっと素敵なものだよね。
　そして、それより素敵なものも貰えるのよ？　想像できる？

「お母さんニヤニヤしないでよ。すぐ帰ってくるからね」

「はいはい。足元に気をつけていってらっしゃい」

「明るいから大丈夫よ」

「僕もいますし」

「お母さん！　ニヤニヤしないで！」
　

　今夜はスーパームーン。次に同じ様な月が見られるのは十数年後なんだって。
　その時には、貴女も見守る側なのよ。

かーるさんのこちらのコメントから
https://note.mu/karly/n/ndc89fcf1e739

画像はスーパームーンが撮れなかったので、2016年最後の満月。
とても綺麗でしたよ。